吉田達也／百万年（日磨崖仏 MGC-12）全11曲、57分06秒
待望の吉田ソロアルバム。内訳は過去ソロライヴで演奏されていた２曲と残りの全くの新曲とに大別される。
まずソロライヴでおなじみの曲は"EBORIMISOLDA" "MUCHOS ANOS"。前者はペダルポイントのベースと後半の展開を加えるとまるで別の曲との印象。後者は11分を越える大作で、キーボードのみをバックにした厳粛なヴォーカルがまるでチャールズ・ヘイワードやワイアットを思わせる。
新曲はバンド編成用にアレンジされた曲とミニマル的なアイディアの小曲に分類できる。前者の代表は不思議なポップ感覚の"HORIZONS"、キャメルを思わせる王道歌物プログレナンバーの"SEMPREMORR"。これらの曲では特に吉田の歌心満載のシンセソロが聴き物。後者はヴォイスにテープ処理を加えたと思われる"BAMBLING"、アコギをバックにした"HEWZERMONDI"、まるでマグマがミニマル化したようなアコピとヴォイスによる"DREVOREDO"など、ユニークな試みが多い。"VRESCHIGO" "TREGASTEL"などはおなじみの吉田節と言っていいだろう。
"SEMPREMORR"や"MUCHOS ANOS"あたりを聴いていると、以前に比べて肩の力が抜けてやりたい事をやっている、という印象を受ける。この作品、これからの吉田のソロ活動のターニングポイントとなってきそうだ。