BRAND X／MANIFEST DESTINY（日PONY CANYON PCCY-01046）全10曲 51分13秒 定価\2,500
ブランドＸの92年発表の"X COMMUNICATION"以来５年ぶりの新作。マネージメントが同じという縁で、昨年のゴング来日公演に同行することが噂され（結局実現しなかったが）、同公演の客入れBGMとしてこの新作の曲が流されてもいたのを覚えている方もいるのではないだろうか。
PERCY JONES(b),JOHN GOODSALL(g),FRANK KATZ(ds)の３人のみで作られた前作がシンプルであまりハッタリの無い作風だったのに比べ、今回は前出の３人に加えてMARK WAGNON(vib),FRANZ PUSCH(kb)らが加わることにより、より空間的な広がりのあるサウンドとなっている。特にDOCTOR NERVEのメンバーでもあるWAGNONのMIDIヴィブラフォンを使用したプレイは非常にユニーク。
曲作りの面では、かつての綿密な譜割りや曲芸並みのユニゾンのキメはかなり後退し、変わって隙間の多い曲を各人のインタープレイ等で埋めていくというような型が増えている。聴きようによっては、今流行りの「音響系」を意識したような部分が見られるのも面白い。こうなるといかにもGOODSALLらしい泣きの曲はかえってアルバムから浮いてしまっているようにも感じられる。
かつてのブランドＸを念頭に置いて聴くとちょっと肩すかしを食らったように感じる人も多いかもしれない。しかし、マイペースながらも彼らなりに新しい音を追求していく姿勢には好感が持てる。勿論JONESとGOODSALLの個人技は存分に楽しめるので、そっち方面の人はまず聴いて損のないアルバム。