大陸男対山脈女 / VIVA YOUNG FLORIDA（日・磨崖仏 MGC-15）
大陸男対山脈女の、９３年以来実に５年ぶりのアルバム。この５年間のライヴ活動も決して活発とは言えず、実にマイペースな活動ぶりである。
大陸男といえば大人数による未整理かつ力業的アンサンブルといった印象が強い。このアルバムでは佐藤HALが抜けて津山がギター兼任に変わっているが、その印象はあまり大きく変わっていない。津山のギタープレイはなかなか本格的なもので、その隠れた才能を存分に聴かせている。吉田のベースといい、こうした側面は大陸男の大きなセールスポイントと言っていいだろう。またゲストとして参加しているHACOのヴォーカルも、タイトル曲等でいい味を出している。
曲は吉田と城戸が半々ずつの割合で書いている。特に吉田の曲は"RAIN SONG"に代表されるように、フルート＆アコギ＆雨音のＳＥによる叙情的なイントロ→一転してコミカルなメロディを大編成ユニゾンで演奏→再び叙情プログレ的展開、といったように大胆かつおちゃらけた大陸らしいものばかりである。純粋なプログレファンは聴いててバカにされているような錯覚に陥るかもしれないが、怒ってはいけない。これはあくまで吉田のプログレに対する屈折した愛情の裏返しなのである（ホントか？）。
また、"CENTER OF DISCOMO"は９３年にシルエレで行われたライヴで一度だけ演奏された曲。これがヴァン・マッコイとハチャトゥリアンとプロコフィエフとクリムゾンをごちゃ混ぜにしたような実にふざけた（ここではほめ言葉です）曲で、もう２度と日の目を見ないだろうと思っていたもの。きっとライヴ見た人も忘れてるだろうなぁ。また、最後の "SINNE"は津山のペンによるもので、これは津山節全開のトラッド風ナンバーである。
ところでこのアルバム、歌詞付きの曲はほとんど日本語でスリーヴに歌詞まで載っているのが面白い。珍妙なスリーヴデザインと合わせて、大陸男の世界をたっぷり楽しんで欲しい。