RUINS / VRRESTO
前号で紹介した"MISSIG FOSSILS"は、増田在籍時の旧レパートリーを現編成で録音した、いわばメモリアル的な作品だったが、本作は新メンバーの佐々木恒加入後に作られた現在のライヴでのレパートリー曲ばかりの、現在進行形の彼らの姿をとらえた作品である。
目を引くのがクレジット。全13曲中６曲が吉田と佐々木の共作になっていることに注目してほしい。これはかつてのRUINSにはなかった事で、佐々木の RUINSにおける立場の重要さを物語っている。
演奏面では、吉田のエレクトリック・パッド、佐々木のMIDIギター使用によりシンセ音色が加わり、以前に比べてより多彩な音となっている。佐々木はギター弦を張った６弦ベースを使用し、さらにディレイを使ったループや、サンプリングシタフレーズをペダルをトリガーにして鳴らすなど、内橋和久ばりのエフェクト奏法を聴かせる。さらに曲も過去に類を見ないほど複雑な作りとなっており、２人という人数の少なさを力業でカバーしていた印象だったのが、２人とは思えないほどの音の厚みを得られる結果となっている。
すべての曲にあまりにもアイディアを詰め込み過ぎたためか、昔からのファンからはかつてのシンプルな演奏を懐かしむ声さえ聞かれるほどである。欠点といえばこれくらいか。ただ、これほどに進化を遂げてしまったRUINSがかつてのようなシンプルな音に戻る可能性はもはや少ないのではないだろうか。文句無しの力作。