KEN FIELD / SUBTERRANEA(OO DISCS OO25)
BIRDSONGS OF MESOZOICのサックス奏者、KEN FIELDが９月にひょっこりと来日した。別の用事で来日したため、ライヴは8/27に大泉学園 in Fで鬼怒、勝井、清水一登を迎えての１回のみであったのは残念だったが、そこで96年にリリースされた彼のソロアルバムを入手出来たので、紹介したい。
本作は基本的にKENのサックスとパーカッション（と言っても、ビンや缶を使った簡素なものばかりだが）による多重録音が多くを占め、曲は即興をベースにしたもの。彼のパートナーであるKAREN AQUAによるアニメーション作品のサウンドトラックとして作成された曲も含まれている。これらの作品は８月に広島で行われた国際アニメーションフェスティバルに出品されたそうだ。
BIRDSONGSで聞かれるくどいまでの音の厚みとは全く違って、シンプルだが実に味わい深い曲ばかりである。ライヴを見たときも感じたのだが、彼のサックスは個性的なフレージングや音色はほとんど聞かれないものの、アンサンブルに自然に溶け込んでいくようなプレイが持ち味。彼が本国ではセッションに引っ張りだこというのは、こうした相手を生かす「受け」のプレイぶりに理由があるのだろう。プロレスラーに例えれば、全日本の小川良成か冬木軍の邪・外道か？ そういった自己主張の少なさはソロ作品でも変わらないのだが、実にユニークな世界をつくり出している。入手が難しいのが難点だが、おすすめの１作。