聖家族 / アウトテイクス'66〜'78（磨崖仏 MGC-10)
河端一が働いていた今は亡き名古屋の自然食レストラン兼ライヴハウスから取った名前を持つこのバンド、66年から78年までの13年間に及ぶ活動の中からライヴテイク、レアなスタジオセッションからの音源を多数含む、サイケデリックロックの歴史の生き証人とも言うべき彼らの集大成とも言えるアルバム....というのはもちろんまっ赤なウソである。
実は吉田、津山、河端の３人は、９６年５月のまぼろし・磨崖仏ツアー名古屋公演で「贋MUSICA TRANSONIC」として演奏を行っている。場所はもちろんその聖家族。この時のセッションが本バンドの結成のきっかけになったのは疑いのないところである。
内容はテンションを落としたMUSICA TRANSONICというような曲が中心だが（やっぱり音が歪んでいるのが笑える）、他にもランダムなシンセ音に吉田のドラムが絡むエルドンのような（にしたかった？）曲、吉田のオーボエや津山のヴァイオリンやカズー、河端のひょうたん三味線（？）などをフィーチュアしたエスニック・アコースティック・チェンバー風味の曲まで、多彩な曲調で飽きずに楽しめるのが特徴。ちょうどMUSICA TRANSONICと赤天の中間のような感じか？
本作はリリースされるまでに２年を要したが、「磨崖仏サンプラー」のライナーによると、セカンドアルバムもすでに録音されているとのこと。果して世に出るのはいつの事であろうか。