ZAO / ΠΑΡΙΣ ∋７３(SPIRAL SPIRAL-012)
昨年ころからリリースが告知されていながら一向に発売されず、昨今の状況から完全にお蔵入りしたのかと思っていたZAOのファーストアルバム発表直前のライヴを収録したブートが発売された。限定３００枚。
このＣＤ，SPIRALレーベルからのリリースということであまり音質には期待していなかったのだが、Ｓ／Ｎやダイナミックレンジこそ劣るものの、一応サウンドボード音源ということで割と聞きやすい。演奏はファーストアルバムの曲ばかり５曲。ここで目立つのはMAURICIA PLATONのヴォーカルとJOEL DUGRENO+JEAN-MY TRUONGのリズムセクション。どちらもライヴならではのアドリブの効きまくった演奏で、スタジオ版よりも迫力を感じさせる。特にPLATONのソウルフルで野太いヴォイスは実に異色で、他の女声スキャットをフィーチュアしたジャズロックバンド群と比べ、決定的なオリジナリティを感じさせる。SEFFERとFATON CAHENはアンサンブルの支えに回った印象。プレイヤーとしての自己主張よりも、立ち上がったばかりの自分たちのバンドを支える方に力点を置いているようである。
ZAOのライヴだけだと３５分のみで少ないと思ったか、ボーナストラックにMAGMAの７２年の"MEKANIK KOMMANDOH"が追加収録されている。これは前半フリーぽいヴォイスのパートが入るもので、７１年のライヴや"SIMPLES"に収録された「ボサノバ・ヴァージョン」からオリジナルへの移行期のテイクのようだ。興味深くはあるのだが、このＣＤのボーナスとしてはどんなもんだろうか。