V.A. / RING RING 1997(IZDAVAC RADIO B92 D-016)
９７年５月にユーゴスラビアのベオグラードで行われたフェスティバルに日本からGROUND ZERO一行が参加したが、本CDはそのフェスティバルのダイジェスト版である。
GROUND ZERO以外には数組現地のアーティスト等が参加しているが、こちらはあまり強烈なインパクトは無く、ALTERED STATES,内橋+田中悠美子,GROUND ZEROといった日本勢にやはり耳が行く。面白いのはどれもライン録音で、いわゆる「ドンシャリ」の音になっている点。HI-FIでは劣るが質感重視のGOK SOUND系の録音に耳が慣れているだけに、こういう音には新鮮味を感じる。GROUND ZEROは「革命京劇」短縮版が演奏されているが、ライヴでは他の音にマスクされがちな松原の毛語録絶叫朗読が、非常にクリアな音質で聴ける。また、録音として初登場の内橋+田中デュオは、田中のパワフルな義太夫三味線弾き語りを内橋が絶妙にサポートする、必聴の内容。GROUND ZERO本体以外にも、さまざまな組み合わせのセットが見れるという、このユニットの最大の強みが多いに生かされている。
海外のフェスティバルで、日本のアーティストがこれほど熱狂的に迎えられるのは嬉しいような、振りかえって自国の盛り上がりの少なさは寂しいような、複雑な気分にさせられる。日本でもこうした独立系のフェスティバルがマスコミに取り上げられる機会が増えて欲しいものである。