ELTON DEAN / JUST US(ARCANGELO ARC-2103)
ＣＤ再発が進んだ現在でも、なかなかＣＤ化されずにファンをやきもきさせているアルバムはまだ多い。それらの多くは、大メジャーレーベルから出された、一般的には名盤とされていないものである。７０年代はプログレもメジャーからバンバン発売されていた時期ではあるのだが、考え様によっては困りものである。
ＣＢＳから発売されたELTON DEANのファースト・ソロアルバム（通称「蠍」）もこうした「中途半端にメジャーリリースされたため、再発が遅れた」作品群の一枚である。
内容についてはとにかく絶品。ELTON DEAN, PHIL HOWARD(ds), NEVILLE WHITEHEAD(b), MARK CHARIG(cornet)の４人を軸に、ゲストにMIKE RATLEDGE(kb) , ROY BABBINGTON(eb)を加えた演奏は、４〜５あたりのソフト・マシーンの音に非常に近く、さらにこのユニットならではの個性を感じさせるものとなっている。それは「熱さ」。ソフツのアルバム群に感じられる、どこかクールな印象とは違い、ここで聞かれる演奏は非常に熱い。それはPHIL HOWARDのドラムの音を聞き比べると顕著である。この「熱さ」がソフツの他のメンバーとのプレッシャーから開放されたことによる精神的なものなのか、それともプロデューサーの EDDIE OFFORD のロック的なアプローチによるものなのか、はたまたHUGH HOPPER のあの独特のリフの不在によるものかはわからないが、この違いは興味深いところである。
また、本編以外にもELTONがその後に結成した"JUST US"時代の音源も追加されている。ここではLOUIS MOHOLO(ds)らが在籍していた時代のアフロ・ジャズ的な展開が興味深い。OGUN時代のELTONの作品も再発掘を熱望。