EGG / THE BROKEN EGG(BOOT)
別稿でブートの話を書いたが、アーティスト側でどうにも出来ないのが「隠し録り系」のもの。これをカバーしようと思ったらフランク・ザッパの"BEAT THE BOOTS"シリーズのようにするしかないのだが、ほとんどのアーティストには不可能だろう。
さて本作は、EGGの７２年のライヴを収録したブートＣＤ。クラシカル・ロック・オルガン奏者としてのDAVE STEWARTのおそらく最後の姿を収録したものと言える。内容は"CIVIL SURFACE"収録の３曲と"POLITE FORCE"収録の３曲。クラシック・コンプレックスの強く出たファーストからの曲はセットリストから姿を消し、後のカンタベリー・サウンドへ向かう過渡期のような演奏が聞ける。この当時のDAVEは、ハットフィールズに入ってRHODESを買う前なので、とにかくオルガン一辺倒のプレイである。"CIVIL SURFACE"の曲は、ウィンド・カルテットやＳＥが入っていない以外は、かなりＣＤヴァージョンに忠実な演奏。このころ既にアレンジがほぼ固まっていることを思わせる。全６０分弱とボリュームたっぷりだが、最後の"NEWPORT HOSPITAL"が３分くらいでフェードアウトしてしまうのだけが残念。
音質はダイナミックレンジが狭く、悪い部類。値段も高めで、"CIVIL SURFACE "のライヴテイクが聞けるならどんな音でもいい！ というファンのみにお勧めする作品。