ACID MOTHERS TEMPLE AND THE MELTING PARAISO U.F.O. / PATAPHISICAL FREAK OUT MU!(PSF PSFD-106)
97年リリースのファーストアルバム（本誌37号川辺さんのレビュー参照）に続く彼らのセカンドアルバム。メンバーに若干の異動があり、中心メンバーは河端一(g)、津山篤(b)、小泉一(ds)、COTTON CASINO(vo,syn)、東祥之(g,syn)の５人。これに多数のゲストメンバーが入る形となる。ファーストで主力メンバーだった須原敬三は、アルバムにはクレジットされているが津山の加入により一歩引いた形となっている。ファーストでは全13曲ながらインデックス無しのぶっ続けだったが、今回は12曲を５つのパートに分けているのも特徴。曲ごとに作曲者クレジットも加わっている。
ファーストに比べて大きく変わったのはやはり津山の存在。"MONSTER BASS"とクレジットされた津山と河端・小泉とのパワートリオはバンドの核として確かな存在感を生み出している。ハイテンションな"ACID TAKION"、ヘヴィ・ブルーズ・インプロヴィゼーションの"GOLDEN BAT BLUES DEAD"など、聴き応え十分。また、津山のアコギとCOTTONのヴォーカルにシンセの発信音が加わり、スペース・アシッド・フォークといった趣の"WHITE SUMMER OF LOVE、吉田文夫のハーディ・ガーディに津山のヴォーカルが乗る"MR.HARDY GUIDEY MANもバンドの新機軸といっていいだろう。
もう１つ、HACOのゲスト参加も特筆される。彼女が多重録音のヴォーカルで加わる"ASTOROLOGICAL OVERDRIVE"は、クールでアシッドな演奏もあいまって、幻想的なムード漂う素晴らしいもの。本アルバムのハイライトといってもいいだろう。
昨年11月のライヴは７人編成と大人数で、曲も40分全１曲の混沌としたものだったが、今年２月に見たライヴでは、最初に書いた５人編成で引き締まった演奏を聴かせ、非常に好印象だった。なお、バンドは現在この５人で欧米ツアーを敢行している。帰国後の活動も楽しみである。