ROVO / HORSES! c/w KMARA!（１２インチシングル DOHB DISCS SYUM-0096）
ROVOの１２インチシングルリリース２作目。この形態でのリリースは彼らの戦略の一環として続いているものだが、今回は内容もその戦略に劣らないほどユニークなものとなっている。
まずＡ面の"HORSES!"。岡部・芳垣のツインドラムが終始疾走リズムを叩き出し（まさに馬群の疾走のようだ）、原田が曲の骨格となるベースラインを加えていく。山本のgと勝井のvlnはディレイ／ゲートによって寸断され、決してはっきりとしたメロディを生み出すことはない。曲の終盤近くなってのブレイクで、初めてシンセによるベーシックなメロディらしきものが提示される。おそらくこのメロディは曲の中心的存在だったと思われるが、大胆なダブミックスによりそれは大幅に曲から削ぎ落とされている。
Ｂ面の"KMARA!"はさらに強烈だ。チベタンベルによる持続音がフェードインし、芳垣と岡部のパーカッションがこれに加わる。おそらく芳垣のものと思われるジャンベ太鼓の乾いた音色が印象的だ。これにツインドラムの疾走リズムが加わり、曲が加速していく。熱狂がピークに達したところで、リズムは突然カットアウトされ、チベタンベルの持続音のみが残る。これがゆっくりとフェードアウトしていき、曲は終わる。最後までg,b,vln,synは登場しない（synはツインドラムのバックでうっすらと鳴っているようにも聞こえるが）という大胆さ。ここまでリフや上物を排除したした曲は彼らのレパートリーの中でも特に異色だ。確かにこうしたアンビエント＆エスニックな要素はROVOや想い出波止場のライヴでも部分的に使われてはいたが、これだけで１曲押し切ってしまうとは。
この作品で、ROVOはそのリズムに対するクールでストイックなアプローチにさらに磨きをかけたように感じる。１２インチリリースを経て、今年夏には待望のフルアルバム（勝井の弁によると、録音３日、ミックス１１ヶ月！だそうな）がリリースされるという情報もある。はたしてどのような内容になるか、今から楽しみである。