八木美知依 / SHIZUKU(TZADIK TZ 7218)
ジョン・ゾーンのTZADIKレーベルの"NEW JAPAN"シリーズは、なぜこのアーティストの作品が国内リリースされないのか？というものを拾い上げて、積極的にリリースしている、ある意味では日本のレーベル以上に日本の現在のシーンに近いレーベルである。皮肉な話ではあるのだが。
本作は98年10〜11月、ニューヨークで録音された八木の完全ソロアルバムである。当初の予定では多重録音も考慮したスコアも用意していたようだが、ジョン・ゾーンのリクエストにより、すべて一発録りのソロ演奏となった。
98年11月7日、大泉学園 in Fで行われた八木＋さがゆき＋坂本弘道のライヴを見た方なら、当日の演奏がこのアルバム収録の演奏にかなり近いものだったと気づくだろう。たとえば、静謐で「間」の美しさを聴かせる"REMEMBRANCE"は後半１セット目、さがとのデュオのモチーフになっていた。"MONOCHORD"（１弦のみを使った特殊奏法）は後半のラスト、といった具合である。もちろん得意のプリペアード奏法も随所でたっぷり聞ける
また、アラーキー撮影のジャケット写真も話題になっている。八木ファンは必携の１枚。八木は今後、灰野敬二とのデュオユニット「響魂」や、三橋美香子との"RINGAM"、中村明一のグループ"KOKOO"、コブラの自分の部隊のオーガナイズ、下北沢LADY JANEでの日替わりゲストを招いての月1回の定期ライヴなど、活発な活動が予定されており、今後も要注目。