宝示戸亮二 / PIANO WORKS 1994-1998
宝示戸亮二は札幌在住のピアニストである。年一度のペースで上京して、新宿 PIT-INN等でライヴを行っている。その演奏スタイルは完全即興の上、各種の玩具・小物類を併用したり、ピアノの中に放り込むことにより特殊な音響効果をもたらす、という個性的でユニークなものであるが、運良く数少ないライヴを見に行くことが出来なければその演奏を耳にするのは非常に難しい。
そこで本テープである。これは宝示戸の９４年から９８年にかけての演奏活動の中から、よりすぐって集められた活動の記録である。６０分テープいっぱいに収められたその内容は、９４年のロシア公演、９５年のSPACE WHO公演、９６年の札幌NOW MUSIC FES.での巻上・高良との共演、同年ＦＢＩでの巻上・江崎との共演、９７年のドイツ公演、同年・札幌でのヴォイス・コンピュータ奏者との共演、９８年のヤマハ・アヴェニューホール公演、同年琴似パトスでのジョエル・レアンドレとの共演などからの抜粋。多彩な組み合わせと録音場所による雰囲気の変化など、初めて聞く人にも飽きずに楽しめる。ぜいたくを言えば、フルレングスのコンサート１本分を収めたテープも聞きたいところだ。特に今年７月、札幌で行われた三橋美香子とのデュオライヴは、リリースを熱望（なんと三橋さん、ここでも「右翼コーナー」をやってしまったとか！）。
彼の持ち味は、多彩な小物群に隠れてしまいがちではあるが、その叙情的なメロディにあることは、このテープを聞いても十分に感じられる。もっと多くの人にその音を聞いてほしいと願いつつ、本稿で紹介する。
本テープの問い合わせ先：hojito@mx5.nisiq.net