MIKE OLDFIELD / GUITARS（ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-10407）
昨年"TUBULAR BELLS III"を出したと思ったら、この新作のリリースである。一時の寡作さはどこへやら、最近のマイク・オールドフィールドの創作意欲はかなり高いようである。さてこの新作、前作が「葵の印籠」を引っ張り出してテクノ的要素も取り入れ、かなり一般向けアピール度を意識した作品だったのに比べ、今回は「各種ギターのみを使って多重録音された小品集」という、打って変わって実に地味な作品である。路線としては前々作の"VOYAGER"に近い雰囲気なのだが、 "VOYAGER"で前面に出ていたケルト的な要素はあまり無く、割とポップなインスト集といった風情である。音もギターシンセ（ドラムの音もこれで出しているようだ）を多用し、バンドアンサンブル的志向も見られる。楽曲の好みは分かれるだろうが、マイクのギタープレイはとりあえず楽しめる佳作である。個人的には次は、マギー・ライリーあたりと再び組んで極上歌物アルバムを出してほしいところだ。前作の"MAN IN THE RAIN"はてっきりその布石だと思ったんだけどなぁ。
さてマイクの近況だが、前作ＴＢ３や"THE SONGS OF DISTANT EARTH"の曲を中心にしたセットで欧州ツアーを行っている。この編成で日本にも来てほしいところだが相変わらず規模が大きすぎることがネックになって実現は難しいようである。また、西暦2000年を記念した新作（ＴＢ４？）をフィーチュアする大スケールのコンサートをベルリンで開き、それを "MILLENIUM"というタイトルでレコーディングするといった計画もあるようだ。こういう話を聞いていると、彼は欧州では本当に大スターなんだなと実感。