V.A. / JAPANESE NEW MUSIC FESTIVAL（磨崖仏リミテッド MGC-16）
９７年秋に欧米ツアーを行った上記イベントの出演メンバーによるオムニバスアルバムである。タイトルを見ただけだとさぞ豪華なメンバーが集まったのだろうと思うでしょうが、実は吉田達也・津山篤・佐々木恒の３人だけの組み合わせで５ユニット作ってしまうという、実にリーズナブルでトホホで、しかし内容は伴っているという傑作企画である。登場するのは以下の５ユニット。
ズビズバＸ：Ｘといえば９６年５月、大阪での吉田・津山・さがゆきによる演奏が強烈だったが、今回は佐々木を加えた３人によるズビズバ。注目は新曲「モンゴル＋ピグミー＋日本民謡」。爆笑モノの演奏だが、欧米ではどんな反応だったのか知りたいような、そうでないような。また、組曲ヨーロッパも一部改定されて演奏されている。
吉田ソロ：相変わらずのハイテンションと楽曲としての完成度を誇る同時演奏ソロ。ここではぶった切りの編集により、各曲２〜３ずつ収録する形を取っている。
赤天：欧米向けらしく「海」や「はさみ」が英語ヴァージョンで収録されている。また、すでにライヴではおなじみの新曲「カーペンターズ」も収録。なぜか歌は入っておらず（さすがに欧米ではマズイと思ったか？）、金づちとのこぎりによる純インダストリアルな？作風。「組曲・鳥」などはライヴテイクではなく、「参」収録のテイクと同じと思われる。
津山ソロ：曲名の"RIVER OF LIFE" "TAKE A PEBBLE"に騙されてはいけない。内容はおなじみの弾き語り津山ソロナンバーである。叙情的なものばかりかと思うと、ハードな音のものもあったりしてちょっと意外。
ルインズ：本作品最大の聞き物。"VRRESTO"録音後に作られたバリバリの新曲ばかり４曲を収録。この部分だけはほとんどルインズの新作と考えて間違いない。ちなみに最近のライヴの選曲はここに収録されているもの、"VRRESTO"収録曲、全くの新曲以上の混合というパターンが多い。収録曲は相変わらずの過激なスタート＆ストップと複雑な曲構成を持つ、"VRRESTO"路線のものが目立つ。吉田ソロでも感じたのだが、録音がミキサー卓からのライン録りのようで、音質良好の上ドラムのステレオ感が凄い。まるで吉田が演奏している位置で聞いているような錯覚に陥るほど。
「やっつけ仕事が多い」という声もある吉田のリリース作だが、本作は内容十分・値段も２０００円とお買い得度も高いおすすめ版。とりあえずルインズの１５分のみでも買いでしょう。なお、９９年秋に再びこのメンバーで欧米ツアーを敢行するとのことである。東京での凱旋公演（名古屋では過去実現）にも期待したいところだ。