MIKE OLDFIELD / VOYAGER('96年英WEA 0630-15896-2) 全10曲/58.31
WEAに移籍して以来、デビュー作の現代的解釈、SF小説を題材にしたアンビエント・コンセプト・アルバムと作品を発表してきたマイクの３作目は、彼にしては短めの作品を集めたアルバム。10曲中6曲がトラッドのカバー。80年代に発表したシングルのB面に収録されていたインストナンバーに近い印象である。控えめな打ち込みをバックにマイクのギターが独特のフレーズを奏でる、というあの感じ。前作のようなアンビエント・ハウス色はかなり抑え目である。要所要所で入ってくるパイプやハープといったケルト民族楽器も非常に効果的である。
全体的に非常にリラックスした雰囲気の楽曲が多く、RP誌読者にはあまりお薦めできないかもしれないが、個人的には非常に楽しめる音になっている。マイクは初期の大作しか認めない、という意固地な？リスナーにも是非一度は聴いて欲しい美しい音楽である。
ところで、前作におまけトラックとして一部が収録されていたCD-ROMは一体どうなってしまったのか？ 彼のことだから凝りすぎて予算オーバーとなってしまい、お蔵入りになってしまった、なんてことは無いよう祈りたいところだが。