HOPPER,DEAN,TIPPETT,GALLIVAN / MERCY DASH
('85年 仏CULTURE PRESS 3012802) 全6曲/37.15
７６年に"CRUEL BUT FAIR"を発表したHUGH HOPPER,ELTON DEAN,KEITH TIPPETT,JOHN GALLIVANの４人による、９年越し２作目のアルバム。マーキー３８号でこの存在を知ったときには随分驚いたものだったが（坂本さんにこのＬＰ聴かせた友人って、伊藤さんだったのね）、中古市場でも全くと言っていいほど見かけなかったこのアルバムがＣＤ化されるとは、予想外だっただけに大変嬉しいことである。
やはり聴きものはしょっぱなの１３分に及ぶ"CALYX"。当時IN CAHOOTSに在籍していたHOPPERとDEANの提案によるものと思われるが、IN CAHOOTSでのアレンジ同様、あのテーマを目一杯拡張して各人のアドリブを思いっきりぶち込むというアレンジ。特にTIPPETTのテンションが無茶苦茶に高く、圧倒的である。
"CALYX"に限らず、このアルバムでのTIPPETTの暴走はすさまじく、メカニカルな反復フレーズやフリーフォームなプレイでアンサンブルの緊張感を１人で高めている。エレピを多用してジャズロック的な印象を受けた"CRUEL BUT FAIR"とは対照的にこのアルバムではアコピ１本。GALLIVANのシンセも抑え目で、あくまで部分的な使用にとどまっているのも、ここでは正解のように思える。
個人的評価としては"CRUEL BUT FAIR"より上、TIPPETTのリーダーアルバム諸作に匹敵する英ジャズ史上に残る名盤。ＣＤ化を機会に是非数多くの人に聴いて欲しい。