NATIONAL HEALTH / MISSING PIECES('96年 米EAST SIDE DIGITAL ESD81172) 全12曲/56.25
ナショナル・ヘルスの結成初期から1stアルバム制作までの７５年秋〜７６年春の期間の音源を中心にしたＣＤ。過去ブート"DREAMS WIDE AWAKE"でリリースされているが、今回はオフィシャルということで、音質もほぼ完璧。
トラック１〜８、１０のスタジオ録音はCAMPBELL５曲、STEWART３曲、GOWEN１曲という内訳。いずれもこの時期の７人編成を十二分に生かした複雑な曲ばかりで、論理的なフレーズの積み重ねで高度に構築されたCAMPBELL、HATFIELDS直系の叙情性とユーモアを聴かせるSTEWARTと各作曲者の個性が感じられるのも楽しい。GOWENの曲は"CLOCKS AND CLOUDS"の前奏曲という印象だったが、ここでは単独の曲として収録されている。CAMPBELLの"CROQUETTE FOR ..."はブートにもそれ以前に出回ったテープにも収録されていない、恐らく完全に初公開の音源。
スタジオ録音部分以外のトラックはいずれもマニア向けの物ばかりで特筆すべきものは無いが、CAMBELLの曲"STARLIGHT ON SEAWEED"をカバーしているSTEWART & GASKINの録音が９５年となっているのが要注目。以前から噂にはのぼっていた"SPIN"以来の新作が聴けるのも間近か？
SOFT MACHINEやHENRY COWの例にもあるように、正式デビュー前の録音（いわゆる０枚目というやつ）には内容より資料的価値で語られる物が多いのだが、このアルバムに関しては内容でも正規アルバムに劣らない、いやもしかしたら凌いでいるかもしれない。ブートが呼び水になったとはいえ、この貴重な音源がオフィシャル（しかもHERESIEの国内盤）で発表されたのは喜ばしい事である。願わくばもっと早くリリースされて正当な評価を受けてほしかった。
最後に訂正。Rotter's Paper誌２０号のブート"DREAMS WIDE AWAKE"の項で"TRIDENT ASLEEP"と表記していた曲は"THE TOWPLANE & THE GLIDER"であることが判明しましたので、ここに訂正します。当時ライヴで演奏していた"TRIDENT..."は即興性の強い曲で、"THE TOWPLANE..."の一部が引用された、というのが真相のようです。