GONG DREAMING 1-2

本ページはDaevid Allenの著作「Gong Dreaming 1&2」を独自に翻訳し、概要をまとめたものです。語学力の問題で不明確な箇所もありますがまあご了承ください。

（前史）
 （１９６６年）
（１９６７年）
（１９６８年）
（１９６９年）
（１９７０年）
（１９７１年）
（１９７２年）
（１９７３年）
（１９７４年）
（１９７５年）
（追記）
（ゴング・ストーリー秘話）
（１９７５年以降）
（歴代ドラマー）

（前史）
・１９６０年代前半、オーストラリアからイギリスにやってきたデイヴィッド・アレンは、カンタベリーのワイアット家に居候し、若いロバートやその友人たちにジャズや様々な悪い事を教え、彼らのスターとなる。

・１９６３年、アレンはワイアット、ホッパー、ラトリッジとカルテットを結成し、詩とジャズをミックスしたパフォーマンスを行う。アレンの最も古い録音物。その後アレンはモロッコに渡り、スペインのデヤへ流れ着く。

（１９６６年）

・デヤでの満月のイースターの日、アレンの見た夢から物語は始まる。アレンはこの夢から「種子のヴィジョン」と呼ばれるインスピレーションを得る。これは後にわたってアレンの創造の源となる。

・その夢にはブランド・ジョージ、ロバート・グレイヴズ、ジリ・スマイス、ケヴィン・エアーズらが登場する。

・夢から覚めたアレンは、ケヴィンと共にアメリカ人実業家ウェスと会う。彼は事業を売り払い、バンドに投資したいという。話に乗ったバンドは新しい機材を買い、カンタベリーに住居兼練習スタジオを得る。バンド名はミスター・ヘッド、メンバーはアレン、ケヴィン、ワイアット、ラリー・ノーラン。

・ウェスは妻と離婚し、２人の娘を誘拐同然に連れ出しており、娘をバンドの家に隠す。ウェスは逮捕され、警察がバンドの家に踏み込み、娘たちは確保される。ウェスは釈放されたが、転落事故で負傷しアメリカへ帰る。

・バンドはシャーボーンハウスの委譲を祝う、スーフィーたちが集うパーティで初めてのギグを行う。

・ノーランの彼女はアニマルズのマネージャー、マイク・ジェフリーズの事務所で働いており、そのコネでバンドは週給１２ポンドの契約を得る。マイク・ラトリッジが加わり、バンドはワイアット家に居候しながらロニー・スコッツで連日リハを行う。

・バンド名をソフト・マシーンと改める。アレンは１９６１年にバロウズと一度だけ面識があった。

・バンドのマネージャはヘンリ・ヘンリオッド。彼はいわゆるギョーカイ人で、下世話なジョークや調子の良いMCを得意としていた。

・ヘンリのブッキングによるハンブルグのスタークラブでのギグ。観客の反応は賛否真っ二つで、ついには客同士で喧嘩が始まる。これはアレンにとってトラウマとなる。ギグは中止となり、バンドはギャラをもらえず、クラブで「働いていた」女の子たちに慰められてイギリスに帰る。

・アレンの彼女だったジリがラトリッジと浮気する。アレンは意外にも嫉妬心を持たなかったが、ラトリッジはアレンに対してより辛辣に発言するようになり、２人の仲が微妙になる。

・ジリがウェスト・エンドのワトキンス書店から探してきたオカルトやミステリー、宗教などの本を読み、インスピレーションを受ける。

・アレンはマーキー・クラブへヤードバーズを見に行き、ジェフ・ベックのプレイに感銘を受ける。ノーランは首になり、アレンがバンドのリードギタリストとなる。

・ラウンドハウスでのITの創刊パーティでのギグ。バンドの演奏中にオノ・ヨーコが現れてハプニングを行う。ポール・マッカートニーが会場に現れ、ソフツと後にピンク・フロイドとなるバンドの演奏に関心を示す。

・ラウンドハウスからの帰りに、キム・フォーリーというエキセントリックなアメリカ人と出会う。彼は"Feelin' Reelin' & Squaling"の題材となる。

・ITのイヴェントは社会変革を示し、大きな反響となる。マイク・ジェフリーズはバンドに金を払わずにクリスマス休暇に出かける。アレンは２９歳となる。

（１９６７年）

・チャス・チャンドラーのプロデュースで最初のシングル「Love Makes Sweet Music」が製作される。

・２月、ジェフリーズの事務所に来ていたジミ・ヘンドリックスと初めて出会い、親しくなる。

・リハ場所が新しく確保される。アレンが１９６３年にカルテットとして演奏した場所。上の階ではジミが結成したばかりのエクスペリエンスのリハを行っている。ジミのプレイにアレンはいたくコンプレックスを感じる。

・チャスに発売前のパープル・ヘイズを聞かされたアレンは「アヴァン・ロックとしては最高だがヒットはしないだろう」と答える。

・悩むアレンをジミは"Play Like Yourself"と励ます。

・ロンドン経済学校での重要なギグの前にアレンはギターを盗まれ、ジミの左利き用のギターを借りて演奏するが上手くいかず、最後にはステージでそれを破壊してしまう。それを見たジミは「それでいいんだ」と笑っていた。

・アレンは解散したアニマルズのヒルトン・ヴァレンタインからテレキャスを譲り受ける。ケヴィンはジェフリーズの事務所全員のお茶にＬＳＤを入れるいたずらをして、大混乱に陥れる。

・ラリったジェフリーズはパープル・ヘイズの歌詞について同性愛の歌か否かをBBCの検閲部門と大討論する（"Kiss The Sky <-> Kiss This Guy"）。

・彼らの周囲ではエリック・バードンが喋り、ズート・マネーがジャーナリストに小便を飲ませるいたずらをし、チャスがジミの曲を繰り返し大音量でかけ続けている。

・ヘンリが見つけてきたバンド用のツアーバスはポンコツで、故障のためサンダーランドでのギグがキャンセルとなってしまう。アレンはツアーバスを運転するのは懲り懲りであると誓う。

・ノッティングヒル・ゲートでオノ・ヨーコと偶然再会し、彼女の「尻」を題材にしたアート（？）映画に出演する。

・アレクサンドラ・パレスでのITの続編のギグ。通称「アリィ・パ−リィ」。アレンはここでの演奏で、ずっとアウトサイダーだった自分が世界変革に参加しているというポジティヴな感覚を初めて受ける。反対側のステージでは、ピンク・フロイドのシド・バレットがスライドギターを弾いており、アレンはここからグリッサンド・ギターの着想を得る。

・アリィ・パーリィは日曜日のタブロイド紙にスキャンダル的に取り上げられる。バンドはトッテナム・コートロードのUFOクラブで毎週金曜に定期ギグを開いており、バンドが激しいライティングとともに演奏し、同時に別サイドでフリージャズの演奏や様々なイメージの映像の投影が行われ、実験的で過激なギグが毎回行われている。

・ソフツの最初のUFOクラブのギグの対バンはアーサー・ブラウンのクレイジー・ワールドだった。頭に火をかざし、凄まじい低音で歌うブラウンは強い印象を残し、後の交友にも繋がる。

・ソフツのライヴでライトショーを担当しているのはスコットランド人彫刻家のマーク・ボイルで、液体を使ったイメージはソフツの音楽に完璧に適合していた。その方法は誰にも秘密にされていた。

・ITのジョン・ホプキンスがドラッグで逮捕された際、UFOクラブで支援のためのギグが行われる。アレンはここで「ロックの死」と題された詩を上演する。

・バンドのプロデューサーにジョルジオ・ゴメルスキーが就任する。彼はストーンズ、ヤードバーズ等の元マネージャーで、彼のコネでバンドは「スピーク・イージー」などにも出入りできるようになる。当時イギリスでは新参者だったジミも行動を共にする。

・スピーク・イージーのパーティに招かれる。ブライアン・オーガーが葬送行進曲を奏で、ズート・マネーは棺桶の中から生まれ変わったフラワーチャイルドとして現れる。アレンはローレンス・ファーリンゲッティに触発された「ロックの死」という詩を上演する。これはアレンが感じた封建主義的な英国ロック業界に対する異議申し立てを含んでおり、当然のように賛否両論を巻き起こす。

・アレンは会場のバーで働くドイツ人の女の子ジュリアと恋に落ちる。

・バンドは南仏での休暇中にサン・トロペで事務所を通さない仕事を得る。浜辺の仮設会場で、騒音に対する抗議で中止になるまで３晩演奏する。

・７月４日、ブリジット・バルドーのパーティに招聘され、"We Did it Again"１曲を４０分間演奏し、大きな反響を受ける。さらに数日後、ピカソのハイソな演劇「欲望は尾でつかまえられる」のオープニング・アクトとして出演し、ソフツはフランスでビートルズ、ストーンズに次ぐ３番目の人気バンドとなる。アレンはこの成功から来る喧騒に違和感を感じる。

・イギリスに帰る前の夜に行ったギグでアレンはコカインが原因で酷い演奏を行い、ワイアットに「音楽的に私に関連づけられるのは恥ずかしいことだ」と非難される。この言葉はミュージシャンとしてのアレンにずっと付きまとうこととなる。

・イギリスの入国において、アレンはビザの問題で入管に引っかかり、１人フランスに戻る。アレンは３年間イギリスに入国禁止となる。

・アレンはモンパルナスのアメリカ人黒人富豪女性の知人のアパートに住み込む。彼女と一緒にカフェで食事をしたアレンは、黒人の彼女を侮辱する店員に怒るが、彼女はその程度の事には動じない大人物だった。

・アンティーク商人である彼女の前夫の、十九世紀の婦人科の手術器具の話から、グリッサンドギターへのインスピレーションを膨らませる。

・その後、イヴェットという女性ジャーナリストの押しで、映画スターのエロールの子息に会い、ギターとアンプを譲り受け、モンパルナスのイヴェットのアパートで初めてグリッサンドギターを弾く。

・イヴェットと同居し、恋人となる。彼女は雑誌に記事を書いてアレンをプロモーションする。有名になったアレンはテレビ番組にも出演して演奏を行う。

・ソフト・マシーンからの別れのメッセージを受け取る。ソフト・マシーンのパリでのギグで、イヴェットはアレンをステージに押し出してパフォーマンスさせ、それを記事にした。

・ジミの最初のパリのコンサートで再会する。ジミはアレンに、共にアメリカツアーを行うソフツに復帰するよう依頼する。しかしアレンの目から見て、ジミは自分を失いつつあるように見えた。アレンがジミと話をしたのはこれが最後だった。

・フォルメンテーラのバレアレス諸島で、フォトジャーナリストのティム某（ベトナム戦争の写真で有名になった）と付き合っていたジリは、娘のタスミンとともにポンピドゥー通りの古いアパートに戻る。アレンは野心的過ぎるイヴェットと別れ、ジリとよりを戻す。

・アメリカ人富豪のビクター・ハーバートが日曜午後に行っている、各種芸術家や批評家が出入りする「サロン」で、エルソン、ジシカ、タナーの３人と出会う。この３人はアレン曰く、オリジナルの「マジック・ブラザーとミスティック・シスター」。

・５人でプロトタイプ・ゴングの活動を開始する。エルソンはアレンに様々な知識やヨガ、菜食などを教える。ジリとジシカは「スペース・ウィスパー」のスタイルをここで作り上げる。これとアレンのグリッサンド・ギターを、タナーは１９６８年の最新技術である、センプリニの６チャンネル・エコーチェンバーでミックスし、当時前例のないアンビエントな音楽を作り上げる。タナーは最も初期のスイッチ・ドクターとされる。

・パリのレフト・バンク・カフェで５夜連続のギグを行う。金銭的には小さかったが、音楽的に実りは多かった。その後も会場のオーナーのモーリスの勧めでサイケデリック・ライトショーと共にギグを続ける。対バンはオーネット・コールマン、オノ・ヨーコ、ジーン・ジェイクス・ルベルなど。

・TV映画の音楽の仕事をする。その後、ストックホルム現代美術博物館で、ドン・チェリーと共演する。チェリーは自分のスタイルを取り下げて、彼らの演奏に加わった。演奏後チェリーの家に招かれ、まだ赤ん坊だったネナら家族とも交流する。ジリはその際家にローブを忘れてきてしまう。これがエルソンとジシカとの最後のギグとなった。

・映画製作者ジェローム・ラペルーザズと会う。彼のアイディアで、マーク・ブラン(ds)、パトリス・ラ・フォンテーヌ(b)と３人のバンドで、２〜３の長いギターソロと４曲、計３０分のTVクリップを製作する。２人は技術的には並だったが、ルックスが良く映像映えしていた。

・キャプテン・ビーフハートがメーデーにローマのフェスに出演したのを見に行ったが、１日遅れで見逃す。パリに戻ると、学生暴動が勃発していた。

・エルソンとジシカは暴動を避けようとアメリカへ帰るが、ケネディ空港で麻薬所持で逮捕される。以後彼らとは音信不通となる。

・ジェロームの提案で、カルチェ・ラタンに行き、警官隊に向かって大量の熊のぬいぐるみを使ったアジテーションとパフォーマンスを行い、緊迫した警官たちから笑いを誘い、それを撮影した。ジェロームはORTFから解雇され、学生たちはそのORTFを占拠して自主放送を開始する。

・ジェロームに雇われたイギリス人ライトショースタッフは、アパートの窓から騒乱の街にサイケデリック・ライトショーを投影する。また、学生側に加勢して暴動にも参加する。アレンの友人たちは逮捕されたり逃げたりで多くが消息不明となる。

・セーヌ川流域のジーン・ピエール・Merle(モダン・ダンスの祖、イザドラ・ダンカンの甥)の場所を尋ねる際、黒シャツ（ファシスト）の一群に襲われるが、ジリの敢然とした態度で救われる。

・食物を探すため車で街に出るが、外国人で長髪のアレンは警官隊の絶好の的だった。危機一髪で衝突から回避し、アパートに逃げ込んだが、パリにとどまるのは危険だった。

・一度逮捕されて釈放されたオランダ人の友人から、　アレン達が警察にマークされているという情報を得る。住んでいたアパートを彼に譲り、小型バスでバルセロナに向かって逃げる。後で入れ替わりに警官が来たことを知る。

・同行者の家で休憩中に、連れてきた２匹の猫が逃げたのを煙突を上って確保し、煤だらけのまま国境へと向かった。アレンは猫を捨てて逃げようと提案し、ジリとタスミンと争いになる。

・国境での検問で、入管は抜けたが税関で引っかかりPA機器を没収されるが、なんとか国境を越える。ドラッグ類はタリのバービー人形に隠してあった。マヨルカ行きのフェリーのそばで一安心したところで猫が糞をして大騒ぎとなる。

・６月、マヨルカのデヤのバナナムーン観測所へ帰還する。そこで魔女と称する妻を連れたウェスと再会する。彼は"Stoned Innocent Frankenstein"となっていた。彼はアレンから投資した金を返してもらうことを望んでいた。

・アレンが朝の瞑想の習慣を開始する。家から海に向かう途中に女神の森があり、その情景にアレンは強くインスパイアされる。

・ウェスは「海の上を歩ける」と公言し、それを実行してみせるなど奇行を続ける。しかし、村民をそそのかして子供をひき殺させそうになったことで怒りを買い、村を追い出されてアメリカへ帰る。数年後、皮肉なことに交通事故で死んだことを知る。

・バルセロナのタブロイド誌の取材を受ける。取材時は好印象だったが実際の記事はスキャンダル的で、アレンは再び村を追われることを恐れる。しかし村の聖職者は毎朝瞑想していたアレンを庇護する。

・バナナ・ムーン・バンドの２人がデヤにやってくる。ジェロームがフランスへアレンを帰すよう工作しているという。アレンは２人とリハを始めるが、機材の貧弱さと、音楽的に不満にもかかわらず聴衆が好反応を示したことに焦りを感じる。ワイアットの言葉が回想される。

・イギリス人友人のサイモン・サンドウィッチの車でフランスに不法入国する。「リビング・シアター」（アメリカの先鋭的演劇集団）の人々がいたアビニョンにまず向かったが、そこはすでに黒シャツ軍団に駆逐されており、プロヴァンスに向かう。ここで共演するジャズバンドに在籍していたジョン・マクラフリンと出会う。

・ジョンの規則正しい生活とマクロビオティックな食事、練習魔ぶりに舌を巻く。彼らとのツアーは通常の会場ではなく、閉鎖した店舗やにわか成金のいるナイトクラブ、屋外の養鶏場でのフェスティバルなどでの演奏が続いた。ジャズではないアレンのバンドへの反応は賛否半々。

・アレンは彼らの演奏をビデオ・ジュークボックスに入れてフランス中に配備するというオファーを断り、アビニョンに戻って、ボブBenamouと会い、Montaulieuの水車小屋を購入を薦められる。

・ボブの家の地下で、アーシュラムの人の前でハリ・クリシュナ・マントラの即興ロック・バージョンを歌い、評判を得る。翌日彼らがテンプルベルで起床を促すのを見て、前世での生活がコールバックする。

・デヤへ帰るフェリーで、運賃の替わりに食堂で演奏するが、イージーリスニングを望んだ乗客からは不評。さらに連れてきた犬が演奏中にステージで糞をし、それに足を取られたウェイターが転んでしまう。船長は怒って解雇を宣告するが、すでに出航していたため後の祭り。

・デヤに帰ってきたが、フランスで創造的なエネルギーに点火しており、前の平穏な生活には戻れないと感じる。

・BBCワールドサービスのニュースを聞こうとしたところ、1965年にアレンが製作した音響コラージュ作品「スイッチ・ドクター」がオンエアされるのを偶然耳にする。

・イビザ島のパーティに行ったが、疎外感を感じる。そこでエアーズと偶然再会し、互いにその後の状況を語り合う。ソフツはベースにホッパーを入れてジャズぽく演奏したがっている、アメリカツアーがいかに過酷で食べ物もまずかったか、等々。

・デヤへ戻り、アレンは数ヶ月間瞑想・読書・作曲の日々をすごす。木製フルートを演奏するカルロスCastanettaと称するマジョルカ人と出会い、「もっとふざける」ことを諭される。そして、これ以後の活動についてのヴィジョンを得る。気がつくとカルロスの姿は消えていた。その後数ヶ月でアレンは約１００曲を作曲し、それは以後数年間の活動のベースとなる。

（１９６９年）

・ジェロームの手引きで再びフランスに密入国する。パリでバナナ・ムーン・バンドで３曲のデモを録音する（CD収録）。パトリックの家に向かう途中で検問にあう。アレンとスミスは旅行者を演じ、運転していたパトリックへの罰金のみでなんとか逃れる。

・フランスの映画スター、ジーン・ピエールCalfonの家の地下室のスタジオでジャムセッションを行う。夜、火事が発生し、Calfonから地下室に武器や火炎瓶が置いてあることを聞くが、スーフィーの格言で落ち着かせ、結局爆発も発覚も免れる。帰りもジェロームの手引きで難なく帰着する。

・アレンの両親がデヤにやって来る。彼らはアレンの活動についての話を聞き、葉っぱを試し、Montaulieuの水車小屋の購入資金を提供する。

・水車小屋を購入したが、荒廃した家を建て直すための資金が必要となり、パリに渡ってロスチャイルド家のメンバー、Sylvina de Boissoneuxが芸術に対して資金提供をしていると聞き、３度の審査の後旧１００万フランをゲットする。トム・Fu（エンジェルズ・エッグのジャケの絵を描いた人）が彼女とともに合流し、家の再建を手伝う。彼は石工職人だった。家を本格的に建て直すにはもう１００万フランが必要と分かる。

・野心的なレーベルオーナー、ジーンKarakosと会い、意気投合して彼のオファーを受ける。条件はまず１００万フランを受け取り、９月に彼が借りたスタジオで録音し、その音源をもう１００万で買い取るというもの。

・KarakosのレーベルはBYGといい、フランスで大規模なジャズ＆ロック・フェスティバルを計画していた。アレンのバンドはポスターの一番上に乗るだろうと伝えられた。録音のためアレンはフランスへ向かう。

・「マジック・ブラザー」の録音を開始する。まずプリプロダクションから。プロデューサーはピエールLattes。スタジオにあったのは旧式の８トラックのみ。それをカバーしたのはエンジニアのドミニク・ブラン=Francardの腕だった。

・リズムセクションの２人はアーチーLeggetの推薦。Rachid Houariは繊細で優しいモロッコ人。クリスチャンTritschは冷静で善良なパリジャン。アレンは自分でベースを弾くことにこだわったが、クリスチャンに任せるべきだったと述懐。

・ディディアー・マレルブは女運の悪い気まぐれな天才。彼をマイクの前にとどめておくのは難しいがいったん演奏を始めると凄まじい。

・これにヴァイオリンのゲリー・フィールド、アメリカ人ジャズピアノ奏者バートン・グリーン、元アルバート・アイラー・バンドのコントラバス奏者でで落下傘部隊スーツがトレードマークのアール・フリーマン、フィリー・リー・ジョーンズ・バンドのメンバーでアメリカ国外追放中のバール・フィリップスらが録音に加わる。

・最初の「神秘的なシスター」は、銅鑼とスペースウィスパー、グリッサンドギターのデュオ。

・「魔法の力を持つ兄弟」でのアコギとベースの音には不満があったが、アラビアン・パーカッション、フルート、バールのアルコベースの音には十分満足した。

・「言うのが悲しいのが嬉しい/世界変革」でも、バールのベースが効果を出している。最後のナレーションは１９６６年ごろデヤで会った預言者の言葉。

・「かわいい乳頭さん」のギターサウンドが、録音時と再生時で大きく異なることにまた失望。Rachidは徐々にアレンのベースプレイのスタイルに慣れてくる。

・「ゴング・ソング/なぜあなたはそれほど気分がよいか」はトラディショナルなロックバラードから、ジャズメン達の即興が加えられた。

・「エゴ」はバールとバートンとのセッションが中心。

・「おお私の、嬉しいと言うことが悲しい」はデヤからもたらされたテープをバックに演奏。

・「君が緑色の髪をしていたから」はディディアー不在時に出来上がった。

・「プリンセス・ドリーミング」はタスミンが９歳のときの時に読んだジリの詩「目」のテープワークが元になっている。

・オリジナルのトラック名が誤って印刷されていることについて、またマネージメントの中間搾取について、「Magick兄弟」「流動するアナーキー'77」「Daevidアレン N'exists」の曲はすべてジリの名前で署名されている。１９６９年の最初の前払い以来、アルバムの著作権料を受け取ったことがない。

・アレンの昔からのアイドルであるフィリー・ジョー・ジョーンズと、バール、バートンとともにセッションする。セッションの前半が録音されていなかったことについてフィリーは怒り、そのとき録音された声はアレンによってサウンドコラージュの素材となる。

・初めてとなるブースでのヴォーカル録音に苦労する。また、ジリは自分のスタイルに固執し、コーラスを歌わせようとするアレンと衝突するが、彼女は結局自分の意見を通す。

・アレンはヴォーカル録音の３日目に前歯を折り、歯擦音が出なくなってしまったため、セッションは中止に。ジリの祟り？

・ミックスは現場では上手く行ったと思われたが、家に帰ってそれを聞くと最低だった。すでに時間と金銭は尽きていたが、Karakosはそれに十分満足した。

・１０月２５〜２９日、AmougiesでのBYG / Actuelフェスティバルでデビューギグを迎える。フランク・ザッパが司会し、ロック勢ではピンク・フロイド、ソフト・マシーン、ナイス、イエス、キャプテン・ビーフハート、イースト・オブ・エデン、プリティ・シングスが、ジャズ勢はアーチー・シェップ、サニー・マレイ、ドン・チェリー、スティーヴ・レイシー、アート・アンサンブル・オブ・シカゴが出演。さらに現代＆前衛クラシックも加わる。

・Karakosはフェスの開催に向けて奔走する。多くのジャズマンと契約したが、彼らはアメリカで既に他のレーベルと契約済みだった。

・当初はパリ中心で開催する予定だったが、開催１週間前にパリ市長が警察の圧力で突然中止とし、それに対してKarakosはフェスをベルギー国境５マイルにある小さな村に丸ごと移動した。

・バンドはアレン、ジリ、Tritsch、Houari、ディディアー、Dieter Gewisslerとゲリー・フィールズのヴァイオリン、角笛とマーチングドラムのダニエル・ラルーという面々。

・フェスティバルの前日、パリから会場に向かうバスでドン・チェリーと再会。彼はジリが忘れていったローブを持ってきた。

・バスの中はスティーヴ・レイシー夫妻のみが白人で、あとはアーチー・シェップ・バンドの黒人が多くを占めていた。アレンはレイシーからモンクのピアノについての甘美な話を聞く。検問を気にせずに中では皆がトリップしていたが、税関検査員はこれを通してしまう。フリーマンは落下傘部隊の制服姿で到着をアナウンスする。

・会場は破壊的な政治集会のような熱気に満ちていた。リリースされたばかりのビートルズの新曲「カム・トゥゲザー」が場内に流れ、それを会場にいた１０００人ほどが大合唱し、このフェスの賛歌となった。

・ゴングの出演は１０月２７日、３日目の午前４時。前のバンドの「夢のような」演奏で、観客のほとんどは寝てしまっていた。司会者のザッパはゴングに彼らを起こすようにはっぱをかける。

・演奏は決して素晴らしいものではなかったが、観客からは良い反応を得る。ダニエル・ラルーは「ワーテルロー」のパフォーマンスを演じる。

・デビューギグは総じて成功といえた。ゴングを軽く見ていたザッパもちょっと見直した風だった。Karakosはもう夢中だったが、アレンはよりバンドの音が練られる必要を感じた。

・「魔法の力を持つ兄弟」のアルバムが生産工程に入る。カバー写真はこの時のギグのもの。

（１９７０年）

・１月、ジェローム・ラペルーザズは前年のAmougiesフェスティバル全てを撮影したが、録音に失敗し、アフレコのためゴングを彼の親族が持つノルマンディーのBurnayの近くの城へ招く。バンドは前年のクリスマスに到着し、春までそこで生活し、リハも行うこととなる。

・アレンはジャムセッションから曲を生み出すことを重視しており、２台のリヴォックスのレコーダーを回してセッションを繰り広げ、その部分を編集して曲作りを行った。アレンはさらにギグのイントロテープ作成にも着手。

・バンドリーダーのほかに代理人、マネージャ、ソングライターの役割も兼ねるアレンは次第に疲弊する。ディディアーは引越してくる直前にジャンキーから脱するため２週間入院し不在となる。ストレスからアレンは荒れ始め、クリスチャンからバンドを辞めると宣告されるに至り、今度は鬱に沈むようになる。

・２月、見かねたジリはボブBenamouにマネージャとなることを依頼する。彼は伝説の自動車強盗の息子で、ノミの市で骨董屋をやっていたやり手。陽気でエキセントリックなユーモアを持つ男で、ユダヤ人的な商才やフランス人的な執拗な攻撃性をも持つ男で、この仕事には適任だった。

・助手のジャックFivelは、如才ないジャン・コクトーとジャック・タチのねじれたクロス・ミックスと言われ、グラフィックデザインの才能やファッション業界での広い交友を持っていた。

・退院したディディアーは、よい日はBloomdido悪いdeグラース、悪い日はパーディドと名乗り（両方ともチャーリー・パーカーのチューンから来ている）、全快し再起した。アレンは彼と惑星ゴングのキャラクターのアイディアを出し合い始める。

・春になり、住んでいた城から出て行くこととなる。バンドの音は即興から構築に向かうと共に、Dieterのフリーなヴァイオリンがフィットしなくなるようになり、バンドを脱退する。

・Dieterの別れのトリップの中で、アレンが「７人のラマ僧」と出会う。一方、Rachedはジェロームの上流階級の親類の前でラリって変テコなパフォーマンスを行い、閉口させる。

・４月、シングルの録音を行う。アレンはただヒット曲を出すことには興味がなく、フライング・リザーズの「マネー」、ハンコックの「ロックイット」、ローリー・アンダーソンの「オー・スーパーマン」のような革新性のあるものを作りたいと思っていた。

・"Es Que Je Suis Garcon ou Fille" "Hypnotise Ya"の２曲を収録。"Big City Energy"は選に漏れる。ダニエル・ラルーはこの録音を持って脱退。

・ピエールLattesのコネにより、フランスの全国放送ラジオ番組「ポップ・クラブ」出演。これはイギリスでのジョン・ピール・ショーに相当する番組で、ここでのふざけたパフォーマンスによりゴングの悪名が高まる。

・BenamouとFivelのマネージャーチームは、スーパーマーケットの駐車場からオルセーの宮殿まで、普通でないどんな場所でもギグをセッティングした。

・バンドはPA機材もバンも持っておらず、ジョージVidonをTanar以来の専属サウンド・ミキサーとして雇用する。

・５月のメーデー、パリで行われたオープン・サーカスという５日間のフェスティバルにマグマ、アンジュらとともに出演する。フランスの独自のロックシーンの開花をアレンは実感する。

・ボブが見つけてきたLes Hallesの地下のリハーサル場所は、大きな犬の小便跡で満たされており、すぐに退散する。アレンはBeaubourgの昔住んでいたアパートに戻る。

・ニースから来た男のオフィスで、黒帯のジョージをローディとして雇用し、さらにVenuxデラックスと出会う。

・北西の大きな町のテントでの印象深いギグで、アレンはヘッドバンドの洗礼を受ける。以後、アレンはこれをステージ衣装の一部とする。

・アレンは封建的なイギリスのロック業界に対する疑問を強め、作られた階級の枠から外れる事を思考する。

・６月１日、ジリは誕生日に電話帳から直感的に探し当てた相手が偶然、パリから100km離れたVoisinesの森に大きな貸家を持っていることを知る。そこはPavillon Du Hay（干し草のパビリオン）と呼ばれと呼ばれる場所だった。バンドは忙しく、秋まで入居は延びる。

・夏、南仏での不成功となったツアーの後、バンドはMontaulieuに入り、連日のリハで「ダイナマイト」「熱帯魚」などの曲が出来上がる。

・ボブの手腕によりヴェゾン・ラ・ロメーヌでのフェスティバルに出演する。

・Biotの屋外フェスティバルに出演する。会場は数千人が無料で入場。ジョルジオGomelskyがＭＣとして雇われる。バンドはジョーン・バエズの出演後、ただちにステージを急襲してセッティングしたが、舞台監督と対立し、またバエズの後でカルチャーショックを受けた観客から投げ入れられた石によりアレンは負傷。素晴らしい演奏ではなかったがフェスティバルでは筆頭だった。その後、アモン・デュールIIのギグを見る。

・Montaulieuに帰ると、トムFuは月タワーを建てていた。アレンはセッションやライヴのテープ編集に取り組み、記録されたディディアーのプレイを聞き嫉妬する。

・ディディアーの友人のアメリカ人女性映画製作者がやってきて、タロットカードに基づくストーリーの映画を撮りたいと申し出る。しかし撮影は頓挫する。

・ケヴィンはBenamouの家に彼の妻目当てで滞在していた。彼はバンドとセッションし、将来の共演を期待させた。娘のタスミンはケヴィンと仲良くなり、彼に写真と絵画をやるよう薦められる。

・８月、デヤの家を引き払い家財をMontaulieuとサンスへ送ることとなる。アレンはこの地から完全に離れることに抵抗を感じる。

・デヤでジリが妊娠していることを告げられる。アレンは喜ぶが、ジリは流産する。大量の出血でジリの命も危ぶまれたが、翌日パルマの病院に車で搬送され、一命を取り留める。これはアレンの大きなトラウマのひとつになる。

・ジリの話によると、流産の原因はフランスの医者に薦められた錠剤形式の妊娠テスト、そしてデヤの家の400年に及ぶ歴史の中の亡霊の仕業ではないかとの事。その後ジリは霊能者からその水子の事を言い当てられる。彼の名はDaevidで、彼女が死んだときに最初に会う人になるだろうとの事。

・デヤから家財と共にバンドに戻るが、子供を亡くしたジリはまだ弱り悲しんでいる。バンドは車で南仏から北へ向かう。途中でギグを行い、金を集めてPavillon Du Hayに到着する。

・１０月、Du Hayは空き家で湿っていた。アレンは前庭と森林を見渡す大きな出窓のある部屋に場所を取る。狩りの後の飲酒ラウンジとして使われていたガレージ２つ分のサイズの大部屋は、リハに最適だった。近くに民家はなかった。

・５キロ先にあるVoisinesの村人は、彼らをエイリアンのような目で見ていた。

・パリに車で向かい、マイケル・ブラウンの場所に泊まる。彼とは親友となり、彼との会話の中からストーリーの多くが生まれてくる。

・翌日、パリでバンドの引抜を画策するレーベルの人間との会談を持ったが、秘書の態度に怒って同行したブラウンとともにふざけて会談をお流れにする。アレンはブラウンをバンドにリードシンガーとして招くことを考える。

・ディディアーの新しいガールフレンドはアレンにとって緑色の竜に見えた。アレンの部屋で火事が起き、絵や魔法の小道具などが消失する。ローディーの黒帯のジョージが彼女の仕業であると看破し、彼女を家から追い出す。

・貴重な品々の焼失にアレンは消沈したが、より重いダメージから回復したジリの事を思い復帰する。

・家での毎日交代で作られる夕食の後、多くのディスカッションが行われ物語がブラッシュアップされていく。その過程でアレンはバート・カマンベールに、クリスチャンはサブマリン・キャプテンに、ジリはよい魔女ヨニにと、キャラ付けがされていく。

・マイケル・ブラウンは一時的にコミュニティに加わったが、なぜかすぐに去ってしまった。

・Rachidの妻はありきたりのフランス人主婦で、ブルジョア的な条件闘争をコミュニティに強いたり、彼にバンドを辞めるよう迫り、プレッシャーを与えていた。

・夕食後の喫煙の儀式でアイディアを得ると、アレンはそのまま自分の部屋に戻って作品作りを行った。「私を殺すことができません」のリフが生まれたのはトイレの中だった。

・１１月、アレンがそれまで考え出した自分のアイディアに様々な疑問を生じさせると同時に、「チベットの不可視のオペラ団」「オクターブ・ドクター」のヴィジョンがやって来る。ゴング・トリロジーのコンセプトがここで出揃ってくる。

・アレンは１９６８年に放送された「スイッチ・ドクター」がゴングのストーリーの出発点となっていることを理解する。

・アレンは創造的なエネルギーを使った翌日の、朝の寝起きに情緒不安定となる問題を抱えており、最悪の時には、人を傷つけないまでも物に当たって破壊行動を行い、その後反動で鬱状態になっていた。

・ボブBananamouの誘いで、パリへマグマのギグを見に行く。マグマには自分の惑星・象徴・言語を持つという類似があったが、アレンの受けた印象は非常に冷たく恐ろしく、圧力的なもので自分たちとは正反対に感じた。

・ジリはTritchと仲良くなり、アレンはTanerの元恋人のNatchを尋ねる。彼女は壁も家財も全て黒く塗った部屋に暮らしており、アレンは彼女からグルになることを示唆される。

・ピエール・クレマンティやジーン=Perre Kalfonらの俳優達、「Criumの一時的精神錯乱」の面々や他のアーティスト、パフォーマーたちを召集し、ラジオ・フランスの番組「ポップ・クラブ」に乱入し、テープコラージュ作品'Gong-wish Indelible'を無検閲で放送させる。

・１２月、クリスマスにジャックFivelのアイディアで、マルセル・マルソーの準ホーム、劇場de la Musiqueで公演を行う。公演は満員で成功。アレンとジリはマルソーの楽屋を使わせてもらうという恩恵を受ける。

・BYGのオフィスに契約するため向かったところ、隣の部屋でブラック・ムスリム・ミュージシャンたちがKarakosをテロで脅し始め、一悶着あった後でバンドは契約し、PAを購入することとなる。

・クリスマスを前に予定していたギグを消化し、メンバーのほとんどが家族の下へ帰り、寂しいクリスマスとなった。

（１９７１年）

・１月５日、パリのPOP2 TVショーの収録を行う。収録時は良い出来と感じたが、実際の放送は酷い演奏と音響で、アレンは落ち込む。

・アレンの３３歳の誕生日の３日後、バンドはカンヌのMIDEM(音楽産業国際商品見本市)へ、アート・アンサンブル・オブ・シカゴと共に出演するため出発する。

・演奏後にコートダジュールへ移動するため、古いおんぼろのツインプロペラ機が手配された。両バンドの機材も加え、重量制限の２倍を搭載して離陸。酷い揺れのためジリ一人がパニックとなり、他はすべてラリった状態で、通路いっぱいの荷物が踊っていた。

・１月１７日のMIDEM当日、Karakosのアイディアでバンドは海上の船の上から、カンヌの聴衆へ向けてゲリラ的に演奏することを決定。機材の重さのため水面は足元まで迫っていた。遠くからの観客の反応が返ってくるまでたっぷり１０カウントは数えられた。

・その後はカンヌのロッククラブで、「オルタナティブな徹夜のmidem」で演奏した。ジャックHigelinがフレンチ・ロックの定番シーケンスを歌い、アーチーLeggetがベースを弾いた。

・１月３１日、イエス、アイアン・バタフライ、ソフト・マシーン、ケヴィン・エアーズの新バンドとともにPalais desスポーツでの大規模ギグに出演。ステージはテレビ放送のスタッフなども入って混乱状態。

・アレンは初めてとなる数万員収容のスタジアムでの演奏に飲まれそうになるが、そのうち一部の観客が金を払わずにステージに押し寄せてくる。スタッフが中止を求めるが大群衆の熱気に押されて演奏が開始される。アレンは邪魔なテレビカメラを蹴り飛ばす。クリスチャンのベースアンプが火を吹き、代わりのアンプが来て音が戻ると共に混乱と狂騒の中演奏はクライマックスを迎える。

・ゴングの演奏は終わったが、次に出る予定のケヴィンが見当たらない。中止か続行か、会場内で混乱が続く。主催者は観客を怒鳴りつけて逆に非難を浴び、ソフツのマネージャー、ショーン・マーフィーは「警察のくそったれ！」とアジる。混乱が頂点に達したところでケヴィンが現れ、「ホール・ワールド」ともにサウンドチェックなしで演奏を開始し、大観衆を手玉に取る。アレンはこれを見て楽屋に去り、パーティをして過ごす

・翌日テレビではゴングの事を「政治的な無政府主義者の学生反乱バンド」として大々的に取り上げ、全国的に名前が知れ渡る。アレンにとって政治的云々はどうでも良いことだった。

・２月７日、ラウンドハウスでのソフト・マシーン・ファミリー・ギグにジリとのポエットリー・リーディングのパフォーマンスで出演。バッキングテープおよびワイアット、ホッパー、ディーンとのセッションを行う。アレンは内容に満足したが、観客の反応が賛否分かれたことでイギリスの聴衆の無理解ぶりに落胆し、ソフツ時代のハンブルグの記憶を呼び戻す。レディ・ジューンの激励を受ける。

・ロンドンのマーキースタジオでワイアット、レジェットらとともに「バナナ・ムーン」を録音する。アレンは事前に曲を準備せずにスタジオ入りし、メイダ・ヴェイルのレディ・ジューンのアパートに滞在する。

・ワイアットは若いドラマー、ピップ・パイルを紹介する。彼は広い心を持つやんちゃ者で、常に明るい緑のスーツを着ており、食べることと騒ぐことが大好きだった。

・セッションで、レジェットはクリスチャンの曲"Time of your life"のリフを弾き、それにあわせてピップが叩くのを聞き、アレンはゴングの新しいドラマーになると直感する。

・酒とドラッグの中、セッションは「メモリーズ」「ラリった無垢のフランケンシュタイン」などを録音する。「魚のフレッド」はロバートのすすめで取り上げられ、おまけのパーティ時に録音された。その後、アレンは各曲の歌詞を書いてヴォーカルを録音し始める。

・「白い首のブルース」ではヴォーカルのテープピッチを下げて音程を下げた。ケヴィンの幽霊が取り付いたような歌となった。

・友人でアーティスト、テクニシャンのゲリー・マウスプルーフが作った時限爆弾のような形のペダルボードは、偏頭痛をもたらすファズと分厚いオクターブ音のサンドイッチを作成した。「フリップの国の冒険」では、１９６８年の学生運動の時に作ったテープコラージュが使用された。

・もう１人、ティム・ブレイクが新たに友人となる。彼はアレンと意気投合。ゲリーとともに「白い首のブルース」のコーラスに加わる。また、ジョージ・ハリスンのセッションからゲーリー・ライトがピアノで加わった。

・「私はボウル」ではニック・エヴァンスの演奏をフィーチュアした。

・ミックスを行っている間、マーキー・クラブのステージ上ではストーンズがプロモビデオの撮影を行っていた。繰り返し行われるそのパフォーマンスを見飽きた頃、ミックスは完成した。

・フランスに戻ると、Rachidは妻からのバンドを辞めろという圧力と、バンド内からのより大きな音でプレイしろとの要求の板ばさみにあい、バンド内で浮きつつあった。南のクラブからの帰途、彼は１人車を降りて２日かけて120kmを歩いて帰った。

・その後、Rachidは脱退を申し出た。２年後、彼は自宅の高層マンションから飛び降りた。

・ジェローム・ラペルーザズは何年も構想していた映画を完成し、サントラを録音する準備が出来ていた。

・アレンはDu Hayの近くの魔術の森で、目に見えない寺院のビジョンを得る。

・ピップを新ドラマーとして迎え、ラペルーザズの映画「大陸のサーカス」のサントラの録音を行う。バナナムーンは録音に２週間かけたが、これはすべてファーストテイクで録音、オーバーダビング、ミックスを２日で終えた。

・ラペルーザズはこの３年間、アレンらを物質的・金銭的に支援し続けていた。

・サントラのサウンドコラージュ部分は家で完成させた。フランス各地の映画館で、映画の上映に合わせてバンドが３０分生演奏を行った。

・これにより、バンドは新たにバイカーたちの支持を得、「ヒッピー・サイケデリック・フュージョン・pataphysical・アニミズム信奉者・政治的・無政府主義者・学生・反逆者・バイカー・バンド」となった。この状況をアレンらは楽しんでもいた。

・Dashielヘダーヤトの「旧式」の録音を行う。これは彼の甥からの依頼によるもの。これも２日でアルバムは完成。アレンはディディアーの素晴らしい演奏の上に自分の陰鬱なギターが重ねられたのに失望。アルバムの内容は気に入っていない。

・最初のグラストンベリー・フェスティバルに招かれる。アレンはいたずらにパスポートの写真をブッダのものにしていたが、難なく通過。会場は広大な野原で、中景に巨大なピラミッド、遠景に岩山を望むロケーションだった。

・到着日の夜、アレンはテントで半分眠った状態でかつて聴いたことのない最高の音楽を耳にする。後でその時間帯はデヴィッド・ボウィが演奏していたことを知るが、聞いた音源は印象とは全く異なる退屈なものだった。

・ピップはリウマチ熱を発症していたが、演奏することを決意していた。

・ギグは午後の半ばに、非常に少ない聴衆を前に始められたが、発電機が飛んで中断。再開は日没時で、ライティングの効果と1000人ほどの観客の参加で演奏は盛り上がった。

・アレンはピラミッド・ステージに感銘を受け、これを作った人と会うことを希望した。これは後にかなえられることとなる。

・フランスに戻り、初の「真のバンドのアルバム」である「カマンベールElectrique」の録音を開始する。パリの北西、Herouvilleに最先端のスタジオを借りた。アレンが自分の小さな部屋に移ってきたとき、前にここに住んでいたビル・ワイマンが本を忘れたと思って電話をかけてきた。そのまま２人はしばし歓談。

・録音はまったく滞りなく１０日でバックトラック製作とオーバーダビングまで完了し、バンドはそのまま南仏へ出かけた。

・夏、象が水上スキーをするコートダジュールの観光地で演奏はスタートするが、プロモーターとトラブルになり仕事を失う。バンドは自力でクラブを３日間ブッキングしてギグを行う。

・その後バンドはMontaulieuへ帰還する。トムFuは相変わらず月タワーを建造していた。

・アビニョンのCirque Bonjourテントでのギグを行う。アレンとジリは演奏中にLSDを無理やり摂取させられる。ジリはテントの中のライオンとデュエットする。

・演奏後、アレンはLSDの影響かアビニョンの古い町に紛れ込んだ幻覚を見る。

・９月１２日、パリの日刊新聞、「ラ・ユマニテ」がスポンサーになったフランスの共産党の大きな例祭で演奏する。ここではケヴィンと合同で演奏を行う。ケヴィンの曲数曲を交え、最後にブリジェット・バルドーとサントロペへの回想とともに「私たちは再びそれをしました」を演奏した。

・演奏は良かったものの、彼のバックバンドとして機能することを求めるケヴィンとそれを良しとしないアレンとの間で創造的な対立が起きる。ケヴィンはその後も何度かギグに加わる。

・リールの教会で、ソフツとのジョイント・ギグ。祭壇でコカインを加工していたソフツのローディに聖職者が注意する。

・９月、Herouvilleのスタジオに戻り、完成したバックトラックにソロやヴォーカルを加え、ミキシングを行う。３日後、スタジオで聞いたミックスは十分満足のいく出来だった。

・１０月、初のイギリスツアー。ボブはフランスでのやり方がイギリスでは通用しない。ラウンドハウスで行ったギグはケヴィンの参加のおかげで盛況だった。

・１０月１５日、ロンドン私立大学でのギグは酷さにおいて忘れられないものとなった。観客もバンドも皆酔いつぶれ、演奏は酷く、ケヴィンはステージから客席に向かってうつぶせに倒れた。客席の様子はボッシュの地獄絵さながらだった。アレンはこの日のような醜態は二度とさらすまいと誓った。

・ピップは「ハットフィールド＆ザ・ノース」を結成するため、バンドを抜けたがっていた。ピップは後任にワイアットを推薦した。

・バンドはポートベロ・ロードにあるロバートの場所でリハーサルし始める。結局ワイアットはマッチング・モールを結成することとなり、ピップはクリスマスまではバンドにとどまることとなる。

・ポートベロでRavenとLeaperというカップルと仲良くなる。アレンは彼らにエルソン＆ジシカを重ね合わせるが、ジリはそれに同意しない。

・ジリは再び懐妊する。Ravenはジリに儀式のベルトを授けるが、着用したジリは腹痛を訴えそれを捨てる。

・アレンはイギリスで自ら各誌に連絡を取ってプロモーションを行う。エディンバラの輸入レコード店では「カマンベールElectrique」を宣伝していた。

・１１月９日、ロバートを通じて「ジョン・ピール・ショー」に生出演する。ピールは彼らにつけられた惑星名に興味を示す。

・イギリスツアーの最終日、レインボーシアターのコンサートにキャンセル発生により急遽出演することとなるが、前のバンドが押していたため１０分間のみの出演となった。

・ラリったピップはステージからオーケストラピットに転落する。幸いなことに怪我は軽かったが緑のスーツが破れてしまう。ピップは会場に改善を求めるが無視され、２週間後にザッパが同じ場所で落ちて足を骨折し、会場を訴える事態となった。

・冬にフランスに戻ると、ボブがピーター・フォルデスのTV映画「Je Tuエル」の音楽の仕事を持ってきた。また、Bahlsenチョコレート、インデシット冷蔵庫、Chamade香水の３つの、最初のコンピューター・アニメによるテレビコマーシャルに音楽を提供した。その年の広告賞でグランプリを受賞した。

・マルティアリス・レースの芸術映画に音楽を委嘱される。彼の紹介でMiquetteと初めて出会う。その後、ロマン・ポランスキーの映画「マクベス」の音楽製作をオファーされるが、ジリの反対で頓挫する。映画は結局サード・イアー・バンドに話を持っていく。

・１２月１４日、グルノーブルのメゾンde文化でのギグ。これは政府の支援によるもので金払いは良かったがタダ見を希望する観衆は締め出される。アレンは彼らに同情的。

・コンサートはアルバムと同じイントロテープで始まり、その後「あなたが私を殺すことができない」か「ダイナマイト」で始まるのが通例となっている。

・そのオープニングにあわせて暴徒化した観衆が乱入した。演奏は続けられるが、電源はカットされ、ステージに鉄の防火幕が下ろされる。しかしピップはさらに力強く演奏を続け、他のメンバー、観客も防火幕を叩いて加わる。それに負けてカーテンが上がり、電源が回復しギグは再開。演奏はその後３時間続いた。

・その間にボブはちゃっかり会場側から前もってギャラをせしめていた。

・家に戻ると、新ドラマーとしてローリー・アランが到着していた。彼はピップの正反対のキャラクターで、カウボーイ・ジャズ・スタイルを得意としていた。

・彼は毎回同じ演奏をすることを良しとせず、違った形やテンポで演奏することを好んだ。ディディアーはそんな彼が好きだった。

（１９７２年）

・新年はツアーで来ていたブリュッセルのホテルで明ける。バンドは疲弊し目的を見失うが、カトリックの僧院でのギグでの尼僧たちの爆発的な反応に勇気付けられる。このギグにはアメリカ人の身障者の詩人、ピーター・プッシードッグ・タンジェリン・フラッシュが参加。ここでの録音は「グラストンベリーFayre」アルバムの「Fohat」と「熱帯魚」と密かに差し替えられた。

・その直後にアレンはイエスのライヴを見て、ギグのイントロダクションの重要性を強く感じ、テープの作成をVenuxとともに始める。

・ボルドーでのライヴの最後の曲のときに、主催者が会場を爆破するという脅迫があったとして演奏を止めようとするが、アレンはかまわず続行。結局いたずらだった。

・春、マルティアリスRayseと別れたMiquette、「電子音楽万歳」のパトリシア(またはジェシカ)が家にやって来る。

・モンパルナスのクラブで、ロートルロッカーのヴィンス・テーラーのギグを見に行くが、古典的なロックンロールに興味のないアレンの印象に残ったのは、Fivelが連れてきたLyraという女性のほうだった。

・Portbelloの魔女、Ravenが家にやってきたが、魔術の森で迷い、錯乱する。ジリの呪いか？

・４月、ゲリーMouseproofが家に来る。アレンはセカンドギタリストとして彼を入れることを考えるが音楽性の違いにより断念。しかしギグについて多くの示唆を受ける。

・４月２６日、ナンテールのギグで空飛ぶティーポットの最も初期の目撃が報告される。アレンはローリーと衝突。ローリーはよりジャズぽく演奏することを望み、バンドを抜けることを決意。

・イースターの日、Montaulieuの水車小屋に行ってみると、荒らされ破壊されている。魔女Ravenと彼女の魔術師によるもの。アレンは怒りの後、彼らに哀れみを感じる。

・Du Hayへの帰り道にジリは再び出血する。２日で回復したが、以後彼女は長いツアーへの参加をやめる事となる。

・４月９日、バーミンガム出身の新ドラマーのマック・プールが到着、４月１９日に初ギグを行う。彼はジョン・ボーナムの後継者を名乗り、大きな音で演奏した。そのパフォーマンスは観客に受け入れられたが、他のメンバーの要望でより繊細に演奏することを渋々受け入れる。

・ジリは身重となり、参加するギグは減ったがパフォーマンスはより母の力が増大し、バンドに大きな影響を及ぼす。

・アレンはバンドのリーダとして、統率するよりも一歩引いてそれらを整理すること、編集し整理することでバンドをまとめることを志した。

・ボブとマグマのマネージャ、ジョルジオが手を組み、合同ツアーを行うこととなる。両バンドは全てにおいて反対の個性を持っていた。従来のマフィアたちが独占していた音楽興行形態とは別に、青年の家・サーカスのテント・ただの野原といった独自のサーキットコースと、若いプロモーターを開拓していった。１ヶ月間に２５回の公演を行った。両バンドは互いに刺激を与え合って成長していった。

・年初からしばしばNicoとサポーティングアクトとして共演。アレンは彼女がお気に入りでよく世話を焼いていた。

・６月までにマック・プールはフランス流のやり方にだんだん付いていけなくなり、サンスでのビデオ撮影中についにぶち切れてバンドを脱退。６９日間の在籍に終わる。

・チャールズ・ヘイワードが替わって加入。彼はカトラーを信奉したアートロックかぶれの元公立高生で、人間的には素晴らしかったがドラマーとしては当時はまだ駆け出しだった。

・クリスチャンが脱退を申し出る。彼の脱退により、アレンは新しく入ってくるドラマーにその都度セットを教える負担と、それに伴うセットの固定化を憂慮する。

・ＴＶクルーが家に来てヒッピーの共同生活ぶりと、周囲の反応を３日間撮影する。

・７月４日、タリエシンが生まれる。パリの自然分娩病院で、バンドや関係者全員が見守る中、彼はいったん顔を出して「Oh NO!」と言ってまた中に戻ろうとしたという。

・子供と共にMontaulieuの家に帰る。サソリが数匹現れ、体に色を塗って数を確かめ、最後は石細工のハンマーで殺すことを決意。

・さらにマグマと一緒に数日ツアーを行うが、アレンは家族のことで頭がいっぱいとなる。さらにクリスチャンの後任が見つからず、アレンは逆切れして暴れ、初めてバンドを辞めたいと思う。

・ボブとジョルジオが来て、アレンに解決策を示す。元マグマのフランソワMozeをベーシストに加えること、ロンドンに出来る新レーベルとの契約。

・アレンはしばらくデヤで休養し、ロンドンでサイモン・ドレイパーと会う。その後オクスフォードにあるマナー・スタジオで新ドラマーのオーディションを行い、ロブ・テート（と彼女でヴォーカリストのジ・バンド）が採用される。ローリー・アランはレコーディングのみに参加することに決まる。

・アレンのヒルトン・ヴァレンタインから譲られたテレキャスがDu Hayで盗まれる。ボブの支援で欲しかったギブソンSGゴールドを新品で購入。モーズの参加によりクリスチャンはセカンドベース＆リズムギタリストとなる。

・モーズはアパッチ族とフランス人のハーフで、音楽的才能がある反面、実力が下のものを見下し軽蔑する傾向があった。ジミとは対照的。ローリーと彼は馬が合った。

・ティム・ブレイクが家に来る。彼はローディで空き時間にVCS3シンセの操作方法を研究していた。アレンは彼をバンドに入れたがジリは「彼はあなたといずれ衝突する」と警告する。

・ジリは母の役目ととギグをするミュージシャンの仕事を両立していた。

・１１月２５日、小さなクラブでの演奏で、モーズの見ている前で自分のギター演奏への不満を爆発させ、新しいギターを破壊する。音楽面・ボブの不遇・Karakosの破産・フランスのシーンの停滞がアレンに不満を感じさせる。

・フォンテンブロー近くへケヴィンのバンドのギグを見に行き、ギタリストとして参加していたスティーヴ・ヒレッジにほれ込み、家に招いてバンドに入ることを求める。

・クリスマスに、ボブとジョルジオが見守る中でリハーサルを行う。

・アルバムの製作へ向けてアイディアを煮詰め始める。その中で小さな衝突や軋轢も起こり始める。アレンのアイディアに、ディディアーが意見すると意外にもモーズが擁護に回った。

・新年のロンドンでのレコーディングのために海を渡る。

（１９７３年）

・元日、マナースタジオに到着。スタジオにはマイク・オールドフィールドと彼のパートナーのトム・ニューマンがいる。

・ゴングのプロデューサーにはサイモン・ヘイワースが着く。彼の音響技師としての力量は不十分なものだった。

・チューブラー・ベルズのラフミックスを聞かされ、「ポップなウィリアム・ウォルトンのようで美しいがヒットしないだろう」と答える。パープル・ヘイズの時のデジャ・ヴ。

・マイクとトムは夜中中働き、ゴングとヘイワースは昼間働いた。グリッサンドやスペース・ウィスパーの音響的な問題に当たる。ティムはシンセの音に満足する。

・カマンベール録音時のスムーズさに比べて録音は難航。対してチューブラー・ベルズは着々と進んでおり、ここでもジミが階上でリハをしていた時のデジャヴが発生する。

・徐々に録音は軌道に乗ってくる。ヒレッジが遅れて到着するが、すでにトラックの多くは埋まっており入るスペースは限られていた。

・サイモンはだんだんノイローゼ状態となる。彼を挟んでモーズとジョルジオが激しく対立するに至り、ついにサイモンは逃げ出す決意をする。

・モーズは「空飛ぶティーポット」にピアノのカデンツァを入れることを主張していた。アレンは怒る彼にピアノを弾くよう薦め、出て行こうとするサイモンにそれを録音するよう頼む。演奏はワンテイクで終了し、モーズはそのままスタジオを出て行く。

・モーズは翌日アレンのリーダーシップ欠如をなじるが、アレンも引かない。スタジオの予約時間が切れ、その時点でミックスを実施。パリへ帰る。

・ライアンとMalakoffでのギグを行う。アレンは録音時の軋轢で疲弊し、バンドのメンバーはボブに対して非難を向ける。

・Malakovでのギグはクリスチャンとの最後の演奏となった。ドラムにはロブ・テートが加わった。ギグの後、アレンはピエールMoerlenと会う。彼は「自分はゴングのドラマーになる」と宣言する。

・モーズが脱退する。英国人女性マギー・トマスによりマイク・ハウレットが推薦される。アレンとトマスはすぐに車でロンドンに向かい、彼が演奏しているクラブに行き、彼を雇うことにする。その直前にピエールがDu Hayにやって来る。

・スティーヴはMiquetteと同じ部屋に住み始める。

・マイクの話によると、彼は前年のクリスマスにマナースタジオでのパーティでバンドに一度会っている。マギーは占星術に凝っており、星座の組合せから見てバンドに入るべきだと主張した。

・メンバーが揃い、家のリハーサル室でセッションが始まるが、実力のあるメンバーの中でアレンは自分の入るスペースが無く、存在理由が揺らいでいるのを感じる。アレンは他のメンバーが自分に対する尊敬を失っているのではと危惧したが、それは取り越し苦労だった。彼らはただ演奏を楽しんでいるだけだった。

・アレンはドラッグの使用に対する疑問を少しずつ感じ始める。

・バンドのメンバーが刷新され、ボブが微妙な立場となる。最終的に金銭問題となり、アレンとボブは袂を分かつ。古きよきゴングの終わりの始まり。

・アレンはボブとの別れに傷つき、１年間の休養を申し出る。バンドはPARAGONGとして活動することを決定する。

・家に残ったアレンはKarakosと会う。アレンは彼の再起を助けたいと考える。

・アレンは休養期間中、ロンドンで友人と会ったりストム・ヤマシタのギグを見て、儀式的なコンサートのあり方のヒントを得る。フィンズベリー公園に住む若い友人、ポールとジと出会う。彼らが一番好きなのは実はヘンリー・カウでゴングは３番手。

・アレンは1960年代の彼のアイドル、「Y'hup OMP」のアイヴォ・カトラーと会う。アレンは彼のBBCラジオの番組を愛聴していた。

・ヒースロー空港でアレンはブランソンとKarakosのゴングのマネジメントに関するミーティングに立ち会う。アレンはKarakos寄りの立場。会談は決裂し、ブランソンは立ち去る。

・アレンは家族とバルセロナまでドライブし、「黒いマリア」で有名な、モントセラト僧院を訪問する。マギー・トマスの紹介で、ブラザー・フランシスという僧を紹介される。彼はアレンの話を聞き、大聖堂の黒いマリアの前で演奏することを依頼する。

・その後アレンはデヤへ帰り、友人で亡くなった詩人のクリス・ペレの家に投宿する。その一週間前に、ジリはパリのフラットとMantaulieuの半分建った家を売り、デヤで家を買うことを決める。谷でアレンは瞑想し、１９６６年以来の活動を振り返る。

・その時、アレンは自分は演奏する必要が無く、儀式のコンダクターとして働くことに専念すべしという啓示を受ける。

・アレンはバンドに戻り、自分のバンドでの新しい役割をメンバーに示す。ディディアー、スティーヴ、マイクは賛意を示し、ピエールとティムは無関心だった。

・ヴァージンレコードはインストアライヴによるプロモーションを企画する。また、レーベルメイトのファウストとの合同ライヴ、「脂じみたトラック運転手」の録音のためのギグと予定が続く。

・マイクが持ってきた朝鮮朝顔により、スティーヴは酩酊し家の２階から転落する。幸い軽傷ですんだがこれは前兆だった。

・パリのBataclanでのギグはやや焦点のぼやけたものとなる。アレンはこれを薬物の使用過多に起因していると考える。

・アレンは自分の朝の癇癪を治すために朝鮮朝顔を試してみる。アレンは効果があったと考えるが...。

・ジリが２人目の子供を懐妊する。

・２度目のイギリスツアーを行う前に、アレンはヴァージン関係各社と３年契約を結ぶ。最初のギグはブライトンのヴァージンストア。ストアは薄給で熱心に働く若者の熱気があった。バンドは１時間演奏し、観衆により交通渋滞を引き起こし、ローカルニュースのネタとなった。

・２度目のギグはリーズの店の裏の駐車場だった。動員はより成功したが、住民からのクレームで中断となり、音楽的にも満たされなかった。

・マンチェスターのフリー・トレード・ホールでのファウストとのギグ。シングル価格のアルバムが売れてファウストのファンが多数詰め掛けたが、ゴングはそのファンを奪い取ってしまった。ファウストの演奏は対して平坦で凡庸だった。

・続くジングウォールでのライヴは小会場だったが超満員で、バンドは波に乗ってきた。

・イギリスツアーで最も印象深かったのは、シェファード・ブッシュの環状交差路で行われた屋外ギグ。土曜の午後で、Portbello市場の終わりに合わせた時間設定により大観衆が詰め掛ける。ブランソンは紙皿にメッセージを書き、聴衆に向かって飛ばす。これは後にコレクターズアイテムとなった。

・６月１日の満月の夜、レディ・ジューンのメイダ・ヴェイルのアパートで彼女とジリの誕生パーティが盛大に行われる。多くの著名人・友人たちに混じって、ガードに囲まれたキース・リチャーズも姿を見せる。

・そのうち、ワイアットが窓から転落したという知らせを聞く。スティーヴの落下事故が即座にリコールされる。ワイアットは他の女の子と遊んでいたところをアルフィーに見つかりそうになり、慌てて逃げようとして落ちたようだった。

・ワイアットは命は取り留めたものの、一生下半身麻痺となり、ドラマーとしてのキャリアを終えた。アレンはワイアット宅に下宿していたときに、亡くなる直前の彼の父親が車椅子に座ってピアノを弾いていた光景を思い出す...。

・アレンは宗教的・儀式的な奥義に興味を持ち、探求する。そしてある古本の中に挟まれたメモから、偶然「Dartington太陽探究」の存在を知る。アレンはここと手紙のやり取りを始める。

・マイルス・デイヴィスが出演するチュニジアでのTabarkaフェスティバルに出ることが決まる。空いた日程でバンドは６月３０日、モントセラト僧院に立ち寄り、ギグを行うことにする。イタリアのテレビ局がこれを撮影する。

・演奏は３０分に限定され、イントロから「空の反対側」「ダイナマイト」「熱帯魚」「セレーネー」を演奏した。残響が大きすぎて全体に不調和で、アレンは満足しなかった。

・７月１日、Tarassaの屋外の円形劇場でライヴを行う。スティーヴ、ディディアー、ティム、マイクは演奏前にLSDを摂取する。アレンは断る。

・演奏は美しく始まったが、次第に全員の調子が合わなくなってくる。アレンは途中で演奏を放棄し楽屋に引っ込む。演奏はやや持ち直したもののアレンは怒り、当り散らす。

・マイクによると、演奏開始後１５分でアレンはステージを降り、以後はPARAGONGのセットを急遽続けることとする。30分後にアレンはステージ下に現れ、彼らの演奏をずっと聴きながら様々に表情を作っていく。薬から覚めたマイクはアレンに精査されているように感じ、冷や汗をかきながら演奏を続けた。

・7月18日〜21日、チュニジアに向かう。ジリは出血のため入院し、タリも病気で寝込んでしまう。しかしバンドは家族のトラブルに対してあまり同情的ではない。

・アレンはチュニスに向かうバスに乗って、バンドのために何か得ることを試みる。バスは荒地を揺れながら進み、途中でアラビアのアカペラコーラス隊が乗り込んでくるなど、賑やかな旅となった。

・アレンはチュニスで怪しげな売人につかまり、ただのターメリックを持たされて、警察による逮捕とその後の終身刑に怯えながら帰ってくる。しかしバンドの面々は、すでにマイルスのローディから麻薬を入手していた...。

・夜はマイルスのギグを見る。マイルスは3人の「医者」（Venux談）を伴って現れる。マイルスはきっかり29分演奏した。

・アレンは草小屋でマイルスのローディからもらったハッシュをやりながら瞑想し、トリップする。

・その後、アレンは演奏に向かう。演奏のさなかに幻覚を起こしたアレンは奇行の末ステージを後にし、他を心配させる。

・普通に終わった２回目のギグの後、アレンは親しくなったアラビア人に警察と知らずにジョイントを薦めてしまい、終身刑の危機に直面する。しかし、その法律はアラビア人のみに適用するものだった。アレンはバンドにRachidがいないことに安堵した。

・帰ってきたアレンはジリを病院から拾って帰る。先日撮影したTVドキュメンタリーが放送されたことにより、周囲からからかわれる。また、TVを見たDu Hayの家主が他の買い手がいることを思い出し、半年以内での立ち退きを求める。

・「天使の卵」の録音のために、Du Hayに２４トラックのモバイルスタジオが到着する。それぞれの部屋にマイクとヘッドフォンがセットされ、録音が出来るようにされる。

・その翌日、放浪する水の占い師の訪問を受け、モバイルの配置や将来の住居などの示唆を得る。家の中はインスピレーションに満ちており、皆が曲を書いていた。

・１日目、"I Never Glid Before"のリズムセクションの録音。

・２日目、１日目の続き、ディディアーを加えて"Oily way"の録音。

・３日目、グリッサンドの音の録音についての既知の問題が発生。"Sold to the Highest Buddha"の録音。

・４日目、ティムの日、他のメンバーはパリに消耗部材の買い物へ出かける。

・５日目、"Prostitute Poem"の録音

・６日目、"Selene"とinner templeのグリッサンドパート

・７日目、不明

・８〜９日目、"Eat that phone book"と"Love is How You Make It"のバックトラック

・１０日目、２４時間のインスピレーション旅行

・１１日目、アシッドを投下してのセッションで"The Other Side Of The Sky"が録音される。リズムセクションはリハ室、アレンは自室、ジリ、ディディアー、ティムはそれぞれ森の離れた場所にセッティング。

・セッション後、アレンは部屋の祭壇にクモの群れがいるのを見つけ絶叫し、それを聞いた他のメンバーも騒ぎまわる。この様子はサイモンによってそのまま録音されており、アレンらは夜明けまで聞いて楽しんだ

・１２日目、"Oily Way"の再録音と"Sold to the Highest Buddha"の録音。

・１３〜１４日目、インストパートの完成を急ぐ

・１５〜１６日目、ロアンヌの虹と呼ばれるクラブでのギグを録音。初日はドラムの音の技術的問題により消却、２日目はまず成功。バンドは仕事続きで疲れていたが、フェスティバルに出演するためエディンバラへ車で向かう。

・８月２１日、午前１０時にエディンバラに到着、夜７時まで眠り、そのまま夕食抜きでステージに向かう。
その後ロンドンへ向かい、ヴァージンとのミーティングに臨む。

・ノルマンディに家を探しに出かける。ウサギには歓迎されるが地元の農民に追い返される。

・Montaulieuの水車小屋をケヴィンに、さらにパリのBeaubourg97番の屋根裏部屋を売り、Deyaの家を購入する。

・マナースタジオで、"Angel's Egg"のヴォーカル録音と最終ミックスを行う。

・３度目のイギリスツアーが９月２８日から始まる。アレンはジリとピエールが寝ており、見つかったピエールが出て行く夢を見る。

・ジングウォールで２つのギグを行う。

・ロンドン・クラブの２日目のギグの後。ピエールが脱退を表明する。バンドは狼狽する。ピエールはマック・プールとは逆に、イギリスでの文化と言葉の違いに直面していた。

・ティムはマナーで「空の反対側」をミックスしていた。彼はあまりにも多くの薬物を摂取し、働き続けていた。

・１０月８日、シェフィールド・シティ・ホールでのギグを最後にピエールは脱退する。アレンはあきらめ、ティムは怒りを表す。後任にはロブ・テート（とジ・ボンド）が着く。

・ミックスはモバイルで行われる。モニターの問題のため作業は難航。翌日にモバイルが行ってしまったため、残りの曲はマナーで上手くミックスされる。

・デヤの家への支払いをなんとか終える。

・ロブ＆ジを加えた編成での演奏が軌道に乗り始める。ロブはプレイを徹底的に楽しむタイプで、ジはソウル的なサブヴォーカルをバンドに加えた。

・ロンドンのポール＆ジの家に滞在する。ジリはDukeの運転でデヤから子供とやってくるが、ジリは指を毒で侵され、Dukeは入国を止められてしまう。ジリはなんとか自分で運転して到着し、そのまま入院する。

・スコットランドのツアーのためにヴァージンは大型バスを手配する。道路工事のためバスが止められるが、官僚的なドライバーの怒りをよそにバンドはピクニックを始める。

・６つのギグを行い、フィンズベリーの家に帰る。ポールは英仏のハーフで生真面目、ジは金髪で決然としたタイプ。彼らは若き中流階級で、尊敬すべきことに９時から５時まで毎日働いていた。

・Jaolでのギグは酔った状態で行われ、音響の悪さと観客の稚拙な反応にアレンは失望する。１１月に入り、１６日にハットフィールズとともにニューカッスルで驚くほど凄いギグを行う。１７日にロンドンで「200モーテルズ」と「ネッド・ケリー」の２本の映画を見る。

・ヴァージンはゴングの口座を開設する。それは当然のように赤字だった。ゴングやハットフィールズ、ヘンリー・カウらの運営資金はチューブラー・ベルズの売上で補填されていた。

・ヴァージンはゴングが赤字から脱するため、ワールドワイドの契約を結ぶことを望む。

・アレンはツアーの投宿先で、ヒレッジとミケットを驚かそうとして足を痛め、スウィンドンのギグを休み、ファーンバラでは座って演奏する。

・ツアーを終えて、メイダ・ヴェイルのレディ・ジューン宅で家を探すための打合せが行われる。

・１２月５日、マグマのマーキー公演をサポートする。クラウスの狂気のヴォーカルはヴァンデを上回る存在感で、アレンを窒息させた。アレン以外のメンバーは普通に楽しんでいた。

・マンチェスターのストーングラウンドで「天使の卵」のリリースパーティを行う。その後ロンドン周辺を回った後、アムステルダムのMelkwegでのギグへと続いた。アレンはMelkwegを神秘の寺院の雛形とみなし始める。

・ロンドンはクリスマス。アレンはクリスマスを嫌っている。

・１２月２８日、アレンの発案でコホーテク彗星の接近を祝うギグを行い、様々な宗教団体を招待する。休憩中にはジェロームの１９６８年の学生暴動のフィルムが流され、ハイドパークのイエスがMCとして雇われる。プラグを抜いてもヒレッジの音が鳴り続けるなど、奇怪な出来事が起こる。アレンは参加した人々の精神交流が足りなかったことに不満を感じる。

・ジリの話によると、コホーテク彗星は翌年１月には肉眼でも良く見えた。ロンドンの市立病院に入院し、オーランドーが誕生した。ペチジンの投与によりものが二重に見えたことにより笑い話が多数生まれ、それはオーランドーの性格と重なっている。

（１９７４年）

・１月７日、ローディのデービッドIDとウェールズのマイク・オールドフィールドの所に向かう。マギー・トマスはマイクの彼女となっており、マイクは突然の名声のため偏執病となっていた。マギーは同様な状態のスティーヴ・ウィンウッドと同居していたこともあった。

・次いでIDの案内で古い牧師館に向かう。そこでビルHarkinと出会う。彼はグラストンベリーFayreのピラミッド・ステージをデザインした人で、アレンは彼の教えからゴング曼荼羅の創造のヒントを得る。

・インクレディブル・ストリングス・バンド宅を訪ねた際、パリ時代からの旧友でドラッグ学の権威、ジョージ・アンドリュースと偶然出会い、旧交を温める。

・再びティムとディディアーを伴い牧師館に向かうが、ティムは話しぶりとエキセントリックさからそこの住人から拒絶される。アレンは彼を弁護する。

・ゴングのバンド精神についての考察。わざとばかげたストーリーを用いること、スクエアなリズムを使わないこと、サイケデリックなシャーマンとなること。

・フィンズベリーの家の近くでアーセナルとアストン・ヴィラのサッカーの試合を見に行く。群衆のエネルギーとタロットカードに見立てた選手たちの動きが印象に残る。アレンは将来の戦争の形をゲームの中に見る。

・２月６日、ブレストでの満月のギグ。演奏中にアレンはトリップしてしまい、リフレインの終了のサインをディディアーに出せずに延々繰り返させてしまう。

・その後フランス各地をツアーして回る。アレンはステージに上がってきた客を下に突き落としてしまう。朝の瞑想はホテルの清掃係に妨害される。

・ピエールをバンドに戻したいという意見が現れ始め、バンド内にさまざまな議論が起こる。ロブとジはバンド内で浮いた存在となる。

・ピエールは次のアルバムが完成するまで、そしてストラスブールでのクラシックの仕事との兼任を認める条件でバンドに復帰する。

・あるギグで、１人の女性がステージに上がって荼枳尼天のようなダンスを踊る。これはアレンのステージパフォーマンスに影響を及ぼす。

・バンドはギグの前は食事をせず、演奏後の遅い時間に食事とパーティをして、午前５時から１１時までホテルで眠るというルーチン。アレンはその中から瞑想のため２時間を取らなければならない。

・ジリは車を運転していて小さな事故を起こし、それがトラウマとなってしまう。

・ミケットのすすめで友人のホドロフスキーの「神聖な山」という映画を見るが、あまり感銘を受けず、その映画は公開されなかった。

・Du Hayに最後の荷造りをしに出かけ、フランスでの生活にさよならをする。そして昨年レコーディング時に家を訪ねてきた占い師による示唆を突然思い出す。

・その６日後、オクスフォードの近くのウイットニーのはずれの、「中流のファーム」と呼ばれる農家に移り住むこととなる。

・３月１７日、ラウンドハウスでのロブ＆ジとの最後のギグ。ジリのマイクを奪った観客の一人がそれに向かって叫び出し、ギグを妨害する事件が起こる。

・「中流のファーム」への移転。マイクは到着が遅れ、クリーニング室で寝る羽目になる。ティムとブリジェットは離れの小屋に住む。鍵のかかっていたある部屋の中に、灰の入った箱とコロンブス以前の小像を見つける。捨てたその日の夜は悪夢にうなされるが、それは浄化のためのものだった。

・Reptonパブリック・スクールで、ピエール復帰後初のギグ。

・４月１日〜１０日、「You」のための素材作りに着手する。ピエール、マイク、ブルームはウェザー・リポートのようなアルバムを作りたいと言い、ティムも触発されてキーボード演奏の練習に取り組む。アレンは当然難色を示す。

・アレンは前作のように曲を各自作って持ち寄ることを考えたが、スティーヴはグループによる全員での曲作りを支持。方法として全員でのジャムを録音し、そこから素材を得る方法を提案。

・いくつかの断片が浮かび上がってくるがまだ不十分だった。４月６日のイースターの満月の日、スティーヴの提案で全員アシッドを取ることが提案される。

・「YOU」の楽曲構造について。「オーム・リフ」は３拍子×８＋７拍子＋１拍のシンコペーションという構造。ブレイクのユニゾンはマイクによって示唆され、スティーヴが最終的に完成させる。IAOチャントはベルゼブル、母の力、道、今といった言葉を組み合わせてマントラ化されている。

・「サイクル・グリス」は８拍子からスタートし、短３度づつ４回移調して次のサイクルから７拍子、次いで６拍子へと変化していく。変化しつつ永遠に上昇していくようなイメージ。

・「雲の散布」はマイク、ピエール、ティムによって作られた５拍子×４＋４拍子で計２４拍となり割り切れるリフ＆リズム。後半は７拍子×３＋３拍となる。ピエールの２４拍をどのようにでも分割しアクセントを加えることが出来る才能による。

・ジリが書いた「炎の詩」は不吉なものとしてアレンにその扱いをどうするか悩ませる。スティーヴ、マイク、ピエールは「あなたは旅を永久に吹き飛ばせない」の基本となるリフのいくつかを作り出す。

・ブルームはオープニングの曲、"Get It Inner"と"You Am I and I Am You"のリフを生み出す。アレンは「完璧なな謎」「試みてはどうですか」「それは幻覚の世界である」などのパートを提示する。

・ピエールによるバリ島のパーカッションアンサンブルは「PHPの助言」となる。

・アレンはある日、捜し求めていた「天球の音楽」のヴィジョンを得る。それは完璧に美しいグリッサンドのドローンで、その日の夢の中までアレンの頭の中で鳴り続ける。

・３日後、新しいセットによるギグをオランダで行う。アレンの朝の癇癪が再発する。ギグはまだ不安定で、日によって出来不出来の差が大きい。ハットフィールズとの合同ツアーを前にイギリス税関はバンドの機材の半分を押収してしまう。

・４月２０日、プリマスのギグの前に入ったパブで無名時代のAC/DCが演奏していたのを見る。バンドの演奏は次第に明確になってくる。

・Dartingtonソーラー探究のビル・エルムハーストと、ドラッグの可否について手紙でやり取りを始める。その反応は一貫してドラッグの否定。完全ドープフリーのピエールとギグ後の一服を嗜むだけのジリ以外はこれに反発する。アレンもまだこれを受け入れることが出来ない。

・アレンは突如体の各部に痛みを感じ、４本ほどギグを休む。リバプール競技場でのギグには鎮痛剤と送風で臨む。ブルームはステージ上で愛用のフルートを盗まれて落ち込む。演奏後は対バンの「地球村トラッキング社」のツアーバスで寛ぐ。

・４月２７日から１０日間、ピエールがクラシックの仕事のためバンドを離れる。トラでクリス・カトラーが加わる。ブリストルには非常に高いとんがり帽をかぶった観客がいて印象を与える。オクスフォードのメーデーの広場でのギグで、ピップ・パイルやロル・コクスヒルが加わる。

・ウイットニーでついにゴング曼荼羅が完成する。これは７および２２分割の数学上解決不可能な分数を解決したもので、ゴングのパフォーマンスを記号化したものと捕らえられる。ローディのウィズのドイツ人ＧＦ、ドリスによってステージ用の大判のデザインが始められる。

・５月６日、ピエールがバンドに戻る。アレンはピエールが時々バンドにうんざりし始めていることに気づく。バンドはただ「YOU」の曲を繰り返すだけとなり、アレンはリフレッシュとアレンジの微調整に取り組む。

・アーサー・ブラウンとソフツ時代以来久々に共演する。彼は「キングダム・カム」とともにツアーを行っている。「空飛ぶティーポット」でアレンは口パクをし、バックステージでアーサーに歌わせるいたずらを試み、ファンを驚かせる。

・ヴァージン・レコードはファウストでの成功に倣い、カマンベールをシングルの価格でリリースすることを決める。問題は録音のためのスタジオ代をBYGが肩代わりしていた点だった。

・「YOU」録音前の最終リハーサルに入る。インストパートはほぼ出来上がっていたが、歌詞はこの時点ではまだ完成していない。出来上がっている楽曲は歌詞を必要としないようにも感じられ、アレンは悩む。

・Dartingtonソーラー探究からのドープに関する質問の回答を受け取る。ドープは精神的探求への近道となりえるが、その代償としてオーラの損壊を招くとの内容。これを読んだアレンはドラッグをやめることを決意する。

・他のメンバーの反応はまちまち。スティーヴ、ジリ、マイクは賛同。ディディアー、ティム、ピエール、Venuxは反抗または無視、ミケットは中立の立場をとる。

・アレンはこの決断を反映し、バンドのメッセージをドープ礼賛から改めるにはちょうどいいタイミングと捕らえる。スティーヴはアレンを支持する。

・録音のため、マナースタジオへ移動する。

・１日目、瞑想と交遊、リズムセクションのリハ、ドラムのマイクセッティングで終わる。

・全体の工程は、「無の考え」「完全な謎」は従来の手法、バックトラックに他の音を重ねる形で進行。

・「創造主」「雲の散布」「至る所の島」「内部にそれを得ろ」は全体をジャムセッション的に録音され、ソロパートを後録りしてよい出来なら差し替えるといった手法を取る。

・ティムのシンセ、「幻覚の世界」終盤のテープコラージュ、ヴォーカルパートは後でオーバーダブする形を取る。

・スティーヴとブルームは何度もソロを試し、ピエールとマイクは良い演奏が得られるまで待たねばならない。それは「禅」のようである。

・サイモンは偏執狂的にドラムのマイクのセッティングを行っている。

・２〜３日目、少しずつリズムセクションの録音が進む。サイモンの苦労の甲斐あってドラムは良い音が得られる。

・４日目、「オーム・リフ」のトラックが３候補に絞られる。２テイク目がピエールとマイクによって推奨され、議論の結果それに決定する。それは最も粗いヴァージョンで、所々リズムを失う危険があるテイクだったが、それ以上にパワーが感じられるものだった。

・５日目、「雲」のバックトラックが展開する。小さな地震が起こる。

・６日目、他のメンバーの様々な反応を呼びつつ、ジリは「火の詩」の録音を強行する。「エヴリウェア島」と流用されるシャッフルパートの録音。

・７日目、ジリの声はぐらつく、「完全な謎」が出来上がる。

・８日目、アレンは自殺する夢を見る。ブルームの「Mescalito」が完成。アメリカのプロモーターとヴァージンの人間が来訪する。

・９日目、アレンは花粉症に苦しむ。「シャッフル・パート2」が完成する。

・１０日目、バックトラック録音最終日。ジャーナリストが来訪し、シングル用のテープを聞かせようとするがトラブルで中止。

・安息日の翌日、アレンはティムと共同作業を始める。ティムはドープをやり、アレンはやらずにいる。ティムはアレンに対して不満や注文をぶつけ、アレンはそれをなだめドープをやめることを弁護する。

・アレンはティムの不満が、かつて自分がジリに対して行ったこととだぶらせる。アレンは自己嫌悪に陥るが、ディディアーに救われる。

・１１日目、オーバーダビングの日。アーサー・ブラウンのsynthi奏者、ヴィクターPerainoがアレンを訪ねてくる。

・１２日目、IAOとOMとコーラスを全員で録音する。

・１３〜１４日目、アレンが徹夜でアルバムのストーリーのプロットと歌詞のほとんどを一気に書き上げる。一方でスティーヴはギターソロをブラッシュアップする。

・１５日目、カマンベールが英チャートの４位に登場する。ジリのオーバーダビングは不調のため進まず、グループセッションから「パラダイス・フィールズ」と呼ばれたあいまいな結果がもたらされる。

・午後６時からヴォーカルの録音を開始するが、サイモンは肩を脱臼し治療に向かう。アレンはサイモンが戻ってくる短い間にドープを吸おうとして、後悔する。

・ヴォーカルは録音時は良いと思えたが、調整室でプレイバックすると貧弱に聞こえ、アレンはまた自己嫌悪し録音を止める。

・６月２９日、ハイドパークのコンサートに出演する。ブランソンの計らいで、ステージには巨大なゴングが置かれ、アレンはそれを鳴らす大役を受ける。

・舞台裏はフェリー&イーノ、Fripp、ボウイ、Bruford、マイク・オールドフィールド、アーサー・ブラウン、ケビンAyers、ロルCoxhill、レディ・ジューン、クラウス・シュルツ、そしてタンジェリン・ドリーム、ジェネシス、Hawkwind、キャラバン、ハットフィールド&ノースおよびヘンリー・カウのメンバーたちで賑わっている。

・帰り道にアレンはディディアーにドラッグを預かるよう頼まれる。アレンはそれをポケットに入れそのままそれを忘れてしまう。

・家に戻って歌入れのリハに備えて寝ていたところ、尋ねてきた麻薬捜査官に起こされる。アレンは自信満々に応対するが、ポケットからディディアーのドラッグが見つかってしまい、自分のものと認めざるを得なくなる。

・その後家が捜索され、ジリのパイプも見つかり、それも自分のものと認める。捜査官は罪を被ったアレンの態度に同情的になり、逮捕は見送り全員のパスポートを没収する。

・ディディアーは先にバスで到着してそこにいた村の売人とともに逮捕されていた。彼が持っていた封書から住所を割り出していた。

・ドラッグが見つかったのはアレン、ディディアー、マイク、そしてDijiの４人のみ。ディディアーはアレンが摘発された責任を感じて反省し、ティムは逆にアレンを責める。

・翌日、「サイクル・グリッサンド」のジリのヴォーカルの録音、アレンの「創造主」のヴォーカルの録音を行う。複雑なリフ＆リズムにヴォーカルを乗せるのは難しく、なんとか完了するがアレンはこの曲を２度と歌いたいとは思わなくなった。

・７月４日、アルバムの最終セクションを全員で歌う。詩の２番目のヴァースの歌詞をドープを否定するように書き換るが、結局上手く聞き取れない。

・アレンはゼロがただのアン・ヒーローではなく、周辺に影響を与えつつ自身が報われることはない存在であることを認識し始め、自分とだぶらせる。

・マイクによると、Dijiのカバンから見つかったドラッグについて、自分のものであると署名するよう警察に言われ、いったん彼は拒否するが、弁護士との協議の結果、最終的に認めることにより嫌疑は収束する。

・７月７日、オリンピア劇場でのギグを最後に、ジリは育児に専念するためギグへの不参加を決める。会場にリハのために早く着いたが、係員の官僚的な対応により入ることを拒否される。会場音響の問題からバンドは「群盲象を評す」状態となる。ジリは自分の音が聞こえないまま最後のギグを終える。

・ピエールはバンドのメンバーの時間的なルーズさ、混沌とした音の波が耐えない状態にうんざりし、自分の曲にアレンがふざけたヴォーカルを乗せるに及んで、ついに完全にバンドを去ることを決意する。

・ティムはピエールの脱退に怒る。アレンがデヤへ渡るため、没収されたパスポートを返してもらうためにロンドンにいた頃、ティムは同じくバンドを抜けたジリを責めて家の中で荒れている。

・アレンはヴォーカルの録音のためマナーに立ち寄った後で家に戻ると、ジリはティムの責めから逃れるため部屋に閉じこもっている。アレンはミーティングを開き、和解することと、アレンが家族の義務を果たすため最終ミックスへの関与を放棄することで合意する。その後全員でマナーに行き、最終パートのコーラスを全員で行い、録音は終了。

・翌日アレンは家族と乳母代わりのTazと共にフェリーと車を乗り継ぐ長旅でデヤに向かう。途中に立ち寄ったレストランで、タリは椅子から床に落ちてしまう。怪我は軽かったがかつてのアレンのトラウマのヴィジョンを刺激する。

・フェリーの上で些細なことからタリはヒステリーを起こし、泡を吹いてしまう。再びアレンは狼狽する。

・デヤに帰って温和な瞑想の日々を送る。そして自分がバンドを抜けることについて思考をめぐらす。スティーヴが「グラストンベリーFayre LP」に収録された「Fohat」にヴィジョンを得てゴングに加わったことを思い出し、後任のリーダーを彼に任せることを考える。

・同時にバンドを抜けることによる経済的問題についても考察する。ある種の教育機関についてのアイディアが浮かぶ。

・アレンは「もはや異ならない」マイケル・ブラウンとも旧交を温める。女神のテラスの瞑想の樹を訪ねるが、そこは雷に打たれ焼け落ちてしまっていた。これをアレンはゴングでの実験が失敗に終わるという不吉な兆候と受け取り、落ち込む。

・マイケル・ブラウンとともに「YOU」のラフミックスを聴くが、それはアレンにとって長たらしく退屈に感じた。

・アレンは深く考えることをやめ、肉体労働に打ち込む。デヤでの最終日、どん底にいたアレンをジリが慰め、アレンは立ち直る。

・ロンドンへ帰り、オクスフォード警察署で麻薬所持に対する評決を聞き、家で「YOU」の最終ミックスを聴く。その出来にアレンは満足する。サイモンは６人のプロデューサー達の中で揉まれ、ノイローゼになっていた。

・クリス・カトラーをドラムに迎えてミニツアーを行う。TorquayのギグをDSQの人間が見に来ていたことを後で知り、スティーブ、Miquette、マイク、デービッドIdとともにDSQを直接訪問する。

・DSQはキリスト教の記号を用いた、より神秘主義的な学校。中心人物のヴェラ・エルムハーストはアメリカ人預言者で、裕福なエルムハースト家の子息と結婚して学校を作った。ヴェラは不在で、施設を見学してそのまま帰る。アレンはティムの麻薬の影響による攻撃的な傾向を憂慮する。

・アルバムジャケットにゴング曼荼羅を使うことに異論が出る。結局それは背面に使われ、前面にはピラミッドのライトショーのイメージが使われる。また、ミックスの選択や曲順についての議論も続いて起こる。

・アレンの両親が６週間の滞在日程でロンドンにやって来る。トムFuが「中流の農場」の家にやって来る。トムは1963年にアレンとジリがモロッコからデヤに来た際に世話を受けて以来の仲。トムはアレンがバンド内の権力闘争にに取り付かれていると看破し、翌日家を去る。

・ティムとマイクが家で大喧嘩をする。アレンの両親が家を訪れ、ティムに共感する。

・マイクの話によると、ティムがDijiを罵っているのをマイクが止めようとしたところ喧嘩となり、マイクはティムを殴って小指を骨折する。幸いにもベースの演奏には支障なかった。

・８月２３日、バス・フェスティバルのギグを両親が見に来る。ピエールがギグを見に来るが、再加入は拒否する。

・数日後、ウィンザーでのフェスティバルでクリスはバンドでの仕事を終える。翌日からアレンは２週間の休暇を取り、両親とデヤで過ごす。

・ブランソンはKarakosに「カマンベール」の使用料を十分に払わずトラブルとなっている。アレンは忠告するがブランソンは譲らない。

・９月、「YOU」ツアーを開始。ドラマーにローリー・アランが復帰する。カトラー参加時と比べ演奏はラフになるが雰囲気は非常に良い。

・L.A.ラジオのためにラジオの精三部作の話を録音するが、それはその場限りのもの。

・７月２５日、ウイットニーの裁判所で罰金を科せられる。

・ディディアーとローリーの演奏がジャズぽさを増し、ヒレッジとティムの比重が低くなり、バンドの音のバランスが変わりつつある。

・ツアーはフランスへと続く。アレンは自分と観客の楽しみ具合は必ずしも比例しないことを悟り始める。

・１０月２０日、パリの蚤の市で究極のグリッサンドツールとして、ステンレス製の婦人外科用治療器具を見つける。

・アレンはドナAllmanと浮気する。「YOU」はNMEのチャートで初登場１４位となる。

・メロディ・メーカーのジャーナリスト、スティーヴ・レイクがファミリーに合流し、パーカッション奏者としてステージにも立つ。

・義眼のアメリカ人ヒッチハイカーがしばらくバンドに合流する。別れる際彼はアレンに目をプレゼントする。

・ナンシーのギグで、市長がステージに現れる。ステージ上で彼の存在は超現実的だった。

・ナンシーのはずれのケイジャンを愛するコミュニティを尋ねる。アラビア人女性Mounaと浮気する。

・フランスツアーを終え、ドイツへと向かう。国境でフランスの税関に引っかかり、ローリーが麻薬所持で逮捕される。麻薬を隠したアレンのマイクも調べられそうになるが、ギリギリで回避する。

・ローリーは出国は認められるが、再入国を拒否される。次のフランスツアーのためのドラマーをまた探す羽目になる。

・乗っていたバンが故障し、荒れたティムが相手かまわず当り散らした後ヒレッジを殴り、ブレーメンのラジオのための録音は散々な結果に終わる。「YOU」が一週間でチャートから落ちたという知らせに落胆する。

・ベルリンのクラブにディスコバンドとしてブッキングされていたのを知り苦笑。ティムはディディアーの新しいフルートを床に叩きつけて壊し、出て行ってしまう。ギグはティム抜きで行われる。

・ギグ中PAは３度も故障し、終演後マイクは車の鍵を紛失してしまう。ドイツツアーは失敗続きのまま終わると思われたが、最後に明るいニュースが入ってくる。

・フランスツアーのドラムにビル・ブラフォードが雇われたという知らせを聞く。アレンはベルリンの壁を訪ね、東側の衛兵を挑発する。

・ブラフォードが急遽決まったベルリンの小さなカフェでの２回のギグを見にやって来る。ブラフォードが来るという知らせを聞いたファンで会場は満杯となり、２日目は人が外の通りまで溢れる。その中には１５年後にアレンの盟友となるラッセル・ヒッブスも含まれている。

・演奏は最高のものとなり、ベルリンのプログレシーンの伝説となる。アレンはローリーについて、多様性と自発性をバンドにもたらす存在として高く評価する。

・ブラフォードは人柄、技術、カリスマ性いずれも突出していた。再加入したローリーが曲を思い出すのに数ヶ月かかったのに比べ、彼は２回のリハで完璧にマスターする。

・彼はアレンとディディアーによるパタフィジカルな挑発には乗らず、スティーヴとティムは彼の正確なプレイとグルーヴを最大限に活用する。集客と音響は悪かったが、初日のギグにアレンは満足する。

・アレンとディディアーは、長い残響で有名なラベイde L'Epauを訪ねる。アレンはディディアーのフルートの演奏を聞きながら瞑想するが、観光ガイドに邪魔をされて激怒する。翌日、ディディアーはアレンが来ないことを条件に礼拝堂で３０分録音する許可を得る。

・ロンドンでのブランソンとKarakosのミーティングに同席するが、相変わらず２人は反目したまま。２人は共にカニ座。ティムは２人を和解させられないアレンに怒りを表す。

・ブラフォードは受難者を志す勝者であり、同時にポピュラーになりたがる敗者でもあった。瞑想するアレンを見たブラフォードは「君はフリップに会うべきだ」と言う。

・アレンはブラフォードが契約満了まで、トラブル続きのバンドに留まってくれないのではないかと憂慮する。

・ニースでの演奏は素晴らしいものとなる。週末はマジョルカに飛んで休暇を過ごし、翌週はまたパリでギグを行う。

・パリの「ヴァーグラム広間」でのギグの後、仲間のアンドレL'Ermiteが逮捕される。ティムは次は自分だと恐れ、急いでパリを離れる。

・オランダのハーグでのギグでアレンは腹を壊す。次の日のロッテルダムでの演奏は良い出来。

・１２月８日、Melkwegでのギグで、Hashケーキのプレゼントを受ける。アレンはトリップし、「創造主」と出会い、７段階の儀式の啓示を受ける。

・翌日、マイクの運転で北へ向かう途中、フルオートの給油所でホースを抜き忘れて機械を破壊してしまう。

・スウェーデン国境の検問でチェックを受けるがここでは何も見つからず、バンの屋根を引き剥がされただけで終わる。

・午前８時にオスロに着くがまだ夜明け前でホテルが見つからず、ホテルに入った午後２時はすでに日没だった。翌朝１１時半までホテルから出てこなかった。

・タイヤチェーンなしで凍った道を運転。到着して４８時間ぶりに暖かいものを食べる。

・２つめのギグはクリスチャンサン・シネマで行われる。アレンはそこで画家のフィル・シェファードの元妻Beritと会食する。彼女はミスター・Ｔ・ビーイングと同じ養豚家になっていた。

・１３日の金曜日の朝、オールブランの朝食を取ろうとして誤ってホテルのバイキングにあったミルクと砂糖を使ってしまい、２５ポンドを請求される。女性マネージャの態度に怒って彼女にオールブランをぶちまける。

・Scavangerへ向かい午前１０時にアレンの運転で出発する。夕方までチェーンが得られず、ノロノロ運転で着いたのは２時間遅れの夜９時半。会場は温風ヒーターのある屋外のテント。寒さのあまりバンドも観客もギグどころではない。

・１２月のノルウェーでのツアーを組んだヴァージンのオフィスに怒りが向けられる。オフィスは平謝りし、バンを列車に乗せてオスロに戻る。

・マイクの話によると、１３人を乗せた小型バスを運転中に、でスリップして曲がってきた巨大なトラックと衝突し断崖へ落ちそうになり、全員肝を冷やす。なんとか事故は免れる。

・次の夜、オスロで全てにおいてクリーンな（面白みの無い？）ギグを行い、イギリスに戻る。

・ブラフォードはここでバンドと別れる。「（アレンに）君の手は老人の手だ。君たちの演奏は好きだが、もう一緒にやっていくのは無理だ」

・数々の不吉な夢を見て、１９７４年は終わる。

（１９７５年）

・新年はデヤの家で家族とTazとともに過ごす。３日、マイケル・ブラウンに引かれ、空飛ぶティーポットを目撃する。

・１月１３日、３７歳の誕生日を迎える。アレンはデヤの家をジリと子供たちに譲渡することを決める。

・「日々の本」という小ノートに、祈願と祈祷のコレクションを書き始める。また、Melkwigの演奏後に啓示を受けた７レベルの開式のチャートを作成する。

・パリに飛び、テレンス・スタンプが出演するジェロームの新しい映画「Hu-man」を見るがアレンは感銘を受けない。ディディアーも同様の意見。

・ロンドンへ飛行機で戻る。同機にはピーター・セラーズが同乗していた。新しいドラマーとのリハを行う。

・１月２８日、オーランドーの１歳の誕生日。デヤでパーティをして祝う。

・新しいドラマーは元ナイスのブライアン・デービソン。経歴はあるが大酒飲みなのが欠点。アレンはDSQからの創造性に関する手紙を受け取る。

・アレンはティムと、イーブンタイド社のハーモナイザーを使ったセッションを夜通し行う。翌日夕方起きると、ジェロームが映画を持って訪ねてくる。バンドはジェロームに対して同情的なグループと意見が分かれる。全面的な支持を得られなかったジェロームは家を去る。

・リハーサル室でジャムっているマイクとブライアンに加わって自分の思うままにギターを弾く。

・新しいツアーマネージャを紹介される。彼はあまり信用できないタイプのように見える。

・ブライアンを加えての初のギグのため、フェリーでハンブルグへ向かう。結局ここで薬をやってしまう。

・２月１５日、ハンブルグでのギグ。ソフツ時代の悪印象とは大きく変わっていた。演奏は普通。

・２月１６日、ミュンヘンでのギグの後、レストランに向かうタクシーの中で運転手にハッシュを勧められ、トリップにより彼はスイッチ・ドクターに姿を変える。

・船旅でハリッジに向かう。ティムの切れた様子を以前の自分の朝の癇癪と重ねて冷静に見る自分を発見する。

・ティムはハリッジから家に向かう途中で切れて、ロンドンで降りてしまう。バンドはもうティムに対して非共感的なムードが広がっている。

・アーサー・ブラウンが家を訪ねてくる。

・家でのヴァージンの人々との会食中に、ティムは突然切れてアレンにナイフを投げつける。ティムはローディのTamに屋外に放り出される。バンドはティムをバンドから追い出すことを一度は決定するが、ディディアーは変心してティムに同情的になる。

・スティーヴはソロアルバムの録音のため家を離れており、リハーサルはティムとスティーヴ抜きで行われる。ブライアンは酒におぼれており、アレンが注意するとしょげてしまうため結局彼に付き合うことになる。

・ティムを批判する自分を偽善的と感じるが、ジリはアレンが人を傷つけたことがないことを指摘する。アレンはティムの立場に立って考えるが、自己への疑念に苦しむ。

・マイクはアレンに賛成し、ティムを脱退させることに同意している。マイクの誘いでグラストンベリーの岩山に登る。

・家に戻ると、メンバーたちののティムに対する意見は定まらない。スティーヴが録音を終えて帰ってくるが、どちらに着くか示さない。

・スティーヴはアレンに「Aftaglid」のギターパートを弾くよう提案するが、バンド内の軋轢に疲れているアレンにそれは不可能だった。

・リハの間の休憩時にティムはアレンに要求のリストを示すが、アレンはその内容にキレてティムを追い出し、ようやく問題は決着するが、結果的に自分がティムを追い出したことについてアレンはさらに落ち込む。

・３月１９日、バンドはベルギーに向かう。ルーヴァン大学のギグの終わりごろ、飲みすぎたブライアンはドラムソロの途中でステージから転落してしまう。これを見たローディのTamがドラムセットに走って８ビートを叩き「空飛ぶティーポット」を演奏してギグは何とか終えることが出来る。

・スペース・ウィスパーに続いてシンセが無くなり、アレンはバンド内で音的に孤立したと感じる。

・ツアーのための新しいセットを組むためリハをするが、ブライアンは飲みすぎで長く演奏できず、またヒレッジは自分の新曲が上手く行かずに苛立っており、アレンは両者の板ばさみになる。

・アレンはこの時セットにもバンドにも不満で演奏したくないと思うが、今となってはなぜ不満だったのか理由を思い出すことが出来ない。

・４月９日、スウォンジーでのギグ。スティーヴの曲の演奏中にミスったアレンは演奏を放棄し、客席に飛び込む。ステージに戻ってきた時にはスティーヴはもういない。アレンは激しく自己嫌悪する。

・４月１０日、チェルテナムでのギグ。アレンは前日の行動についてスティーヴに弁解しようとするが言葉にならない。バンドはアレンの関与を最小限にしたセットを作成する。

・アレンはバックステージでハッシュを一服し、ステージに出ようとするが目に見えない何かに妨害されてステージへ進めない。パニクって会場から走って逃げてしまうが、もうこれで自分はバンドに戻れないと悟る。

・過去のギグの思い出が走馬灯のように蘇る。やがてアレンは自分が奇異なステージ衣装のままでいることに気づき、町の人に怪しまれていることを恐れる。

・潜んでいたところの墓石には「私の兄弟ティムへの思い出 R.I.P.」と書かれてある。

・雨が降り出し、アレンはようやく１台の車をヒッチハイクしてウイットニーへ帰る。運転者はGONGフリークだったようだが、彼らはアレンに何も聞かずに家に送り届ける。

・アレンは家にいたジリにバンドを辞めたことを伝える。今後の生活について心配するジリに、ようやく肩の荷を下ろしたアレンは楽観的に対応する。

・ギグから帰ってきた他のメンバーはアレンを慰留するが、アレンの決意は固い。アレンはその日、自分が乞食になり誰からも無視される夢を見る。

・翌日、サイモン・ドレイパーから電話があり、アレンにソロの契約とホームスタジオ機材の資金提供を申し出る。アレンは知人の弁護士、ロバート・アレンを雇い、彼を通じてヴァージンとソロ契約することを決める。

・カールRinpocheがEustonの友達の家で話すのを見に行く。アレンはそこで急に疎外感を感じ、退出する。外のバーで女の子に声をかけるが拒絶され、落ち込む。

・中流のファームに帰り、スティーヴ＆ミケットと会って家に別れを告げる。家族はデヤへ帰り、アレンはフィンズベリーの家に留まる。

・その後しばらくは自由に過ごす。ジョン・ケイルのライヴ、レディ・ジューンの詩の朗読、BBCのインタビューとグリッサンドの演奏、ヘンリー・カウ＋ロバート・ワイアットのライヴ、ヴァージンから出る「バナナムーン」のためのジャケットデザインなどを行う。

・最終的にソロの契約調印と、機材の購入が行われる。

・５月４日、ハマースミス・パレスに脱退後のゴングのギグを見に行く。ステージに出てほしいという話を断る。バンドはすでに新曲と、旧曲のアレンのパートをマイクが歌うという新しいモードに入っており、アレンは寂しさを感じる。

・客席から「前に歌っていたおかしな奴はどうした？ 俺は彼の歌が好きなんだ」という１人の声を聞き、それに救われる。

・ミュージシャン仲間はゴングを抜けたことについてアレンを批判する。Didiはアレンのばかげた歌詞とギターエフェクトが商業的な成功を妨げていたと鈍感に話し、アレンは鼻白む。

・デヤに帰り、DSQへ手紙を書く。

・ティムがバンドに戻りたがっている話を聞く。アレンはそうあってもかまわないと思う。リチャード・シンクレアが突然デヤを訪ねてきて、おしゃべりとジャムを行う。

・DSQからの返事を受け取る。内容はアレンの脱退を好意的に受け止め、その後の道を示唆するもので、７月４日のタリの３歳の誕生日に、アレンはこれを機に本当にドープを止めることを決意する。

・ゴングでの活動を振り返り、アレンは愚かさこそが強い固定観念に立ち向かうための最良のものであったと思う。理想はあったが、その適用に失敗した。実験には失敗したが、試みる事こそが重要であると。

・しかし、この物語とゴングという大きな実験はまだ終わらなかった...。「ゴング・ドリーミング３」へ続く。

（追記）

・アレンにとって「神」の定義とは、不可知であり、擬人化されるものではなく、音楽と等しいエネルギーの源である。そして「神」の定義はそれぞれにある。

・ピップ・パイルによる注釈。「Cirque Bonjour」のギグに自分はいた。彼はカンヌでの出来事から「私が動物だったらと本当に思います」という歌を書いた。この曲でディディアーがバスーンを吹いていた。

・ペルピニャンでの水上スキーをする象とのギグにもピップはいた記憶がある。確かケヴィンもカンヌにいっしょにいたはずである。

・Dieulefitでの観衆がジャムに参加したギグ。午前３時まで６時間続いた。

・バナナ・ムーンのセッションでの「あなたの生活の時間」録音時にクリスチャンはそこにいたはずである。

・初のレコーディングは大陸のサーカスではなく、カマンベールだったと記憶している。

・「旧式」のレコーディングで、イザドー・ダンカンの甥は私たちを侮辱し、バッキングのセッションにも顔を出さなかった。ロバートの息子のサムが「私たちはなぜそれほど高いのですか」を歌った。

・グラストンベリー・フェスティバルで、発熱を治すため抗生物質を飲んでしゃっくりが止まらなくなるが、激しく絶望したと共に治ってしまう。

・Montaulieuでは、裸ですごす私たちのためにパムがコック用のソックスを縫ってくれた。それだけを着用していたところに両親がやってきて、そのなりにショックを受けたが、すぐに適合し自分も裸になって近くの川に飛び込んだ。

・サソリのエピソードは自分がいた１９７１年に起こった。アレンがサソリを夜毎に非常に遠くまで運んでいたのを思い出す。

・ピップはティムのシンセを音の植民地主義として嫌っており、常に自分とティムのどちらを取るかをアレンに迫っていた。

・du Hayで、ツアー中に猫を家の中に閉じ込めておいたが、帰ってみると猫が血だらけで太った状態で中にいた。壁を通り抜けて獲物を取ったのだろうか？

・カマンベールのフォトセッションで、パムから女性用の下着類を借りて着用する。それを見た隣家の農民が呆然のあまり加えていたパイプを豚の糞の上に落としてしまった。

・グルノーブルでの騒ぎは、プロモーターが「金を払わなければ演奏しない」と発表したことにアレンと観客が怒ったことにより生じた。

・自分はワイアットではなく、ローリーを推薦した記憶がある。彼は自分の前のアルフィーの彼氏だった。

・私が最初にバンドに入って家に来た際、部屋に緑とピンクでプレスリーの絵を描いてから眠った。緑とピンクのスーツはレインボーでの事故でボロボロになってしまった。

・後のザッパの転落事故で、ザッパに対しては申し訳なく感じるが、忠告を聞かずその後損害賠償のため廃業になり、レインボーをクローズしたプロモーターには同情を感じない。

・リールの教会でのソフツとのギグで、ストップウォッチでスネアのエコーを計ってみたところ１４秒だった。

・聖職者たちは教会がファンで満員になるところを見たかったが、それはドアを破って入ってきたタダ見のファンにより実現した。

・観客たちが葉っぱを噴かすごとに、神父は教会を燻さないよう観客に懇願した。

・これを観客に伝えるよう頼むため神父は我々の楽屋に入ってきたが、その時まさにソフツのクルーがコークをカットしている最中だった。

・ピップはこの時（１９９４年）、パトリス・マイヤー、イエマニュエル・ベー、ディディアー、フレッド・ベイカーとバンドを組もうとしており、これにアレンも入ってほしいと願っている。

・ピップはバンドリーダーとしてアレンのように振舞う方法を学びたがっている。また、ロバートの発言にかかわらず自分はアレンのギタープレイが好きである。

（ゼロ・ザ・ヒーローの語られなかったストーリー）

（パート１）
・１９７１年のロンドン・Chiswickで、十代の少年ウォーリーはキッチンでティーポットの中にいる緑の精に出会う。

・外に出ると、プッシー・キャットウォークという名のドライバーが運転する車が止まり、それに乗る。車は特別なギグに向かっている。

・車内でラジオをつけると、音声が流れ、それを聞いたウォーリーはゼロという名の地球圏外の精神と出会う。ゼロはウォーリーの肉体を貸してくれるよう頼み、ウォーリーはなぜかそれを承諾する。

・会場に到着し、２人はチケットを買えなかったファンの暴動に巻き込まれ、そのまま会場の中に入る。ゼロ（体はウォーリー）はそのままステージに上り、そのままギグを行う。彼はなぜかステージで行うことを全て知っていた。

・ギグとパーティの後にゼロとプッシーは別のタクシーを呼び止める。それを運転しているのはスイッチ・ドクター。彼は自分の星で犯したことのペナルティとして地球で活動していると話す。

・Melkwegと呼ばれるクラブで２人は下ろされ、カフェで「創造主」と会う。彼はMelkwegが実はミステリーの寺院そのものであると明かす。

・ゼロは惑星ゴングに向かう前に７つの儀礼を通過しなければならないことを知る。

・ゼロは７つの儀礼を全て通過し、意識は肉体を離れて惑星ゴングに旅立つ。

（パート２）

・ゼロは満月に向かって飛んでいく。月の女神セレーネーは彼を出迎え、彼は彼女の陰部に吸い込まれる。彼は「空の反対側」と呼ばれる７つ目の次元に達する。

・彼は「油の道」を滑走して、惑星ゴングの表面に降り立つ。惑星は一種のドローン音で満たされている。

・彼はポット頭の小妖精に出迎えられ、周囲を案内され、天球のマスターに引き合わされる。彼によるとこの星には戦争・飢餓・不満が無いという。

・死は周期的に訪れるが、それは再生するまでの休憩時間と位置づけられている。

・惑星ゴングの中心人物がオクターブ・ドクターである。ゼロはゴング曼荼羅で示される巨大な目に直面し、中央の寺院への入り口を与えられる。

・オクターブ・ドクターはゼロの頭の内部で、多くの宇宙の真実についての話をする。

・ゼロは地球に戻り、GONGバンドで「精神的な溶けるフェスティバル」に出演することが予言される。そのステージは古代の力の場所で、幾何学的に構築されている。

・このギグにより、オクターブ・ドクターは「第三の目」を開くことが出来た聴衆の前に姿を現すことが出来るという。

・そしてそれは、2032年に空飛ぶティーポットが初めて地球に到達するための準備となるだろう。そしてこの到着により、地球上は前例の無い平和な時代になるという。

・話を聞いたゼロは「油の道」を通ってMelkwegに帰ってくる。彼は警備員に宿がないか訪ねると「その電話帳を食べろ」と言われる。

（パート３）
・ゼロはクラブを去り、カフェに「創造主」がいるのを見つける。ゼロは彼にミステリー寺院を作る方法を尋ね、「創造主」から４行の歌に記号化された指示を受ける。

・彼は街を出て完全なフェスティバルのための場所を探しに出かける。そして空の「雲の散布」を何マイルも追いかけて進む。

・やがて彼は海に出て、「キャプテンやぎ座」という名の年老いた船長とともに「エヴリウェア島」を目指して出帆する。

・長い航海と冒険の後、２人は島に到着する。神聖な場所を見つけるのは驚くほど簡単だった。彼はフェスティバルの準備を始める。

・フェスティバルが開催され、まさに観客が第三の目を開きオクターブ・ドクターが現れるその瞬間、ゼロはどこかへ行ってしまい、それまでのすべての記憶を失ってしまう。

・彼は「ジン・カデンツァのHashishis」という聖人のワイルドなグループによって焼かれたハッシュ・ケーキで、再びラリっていた。

・繰り返される失敗の完全な実現の中、彼は目覚め笑うことしか出来ない。

・これがゼロの宿命であり、彼は地球上で永久にこれを繰り返し、そこから利益を得ることはないだろう。（終）

次のエピソード（１９７５−１９８８）

・アレンは家族と共にデヤで平穏に暮らし、地元バンドのEUTAPEとともにアコースティックな２枚のソロを作成する。一方ゴングはピエールとともに軌道をはずれ、技術的な完全な忘却へと向かう。

・その間、スティーヴはギター・ヒーローの導師に、マイクはフロック・オブ・シーガルズのプロデューサーとしてグラミー賞を取り、ティムは壊れて燃え尽き、ディディアーは私たち全ての上でメロディックに心を痛めている。

・バンドはヒレッジを中心に１９７５年末まで続くがその後ヒレッジは脱退し、渡米してトッド・ラングレンのプロデュースで「L」を製作する。残ったメンバーは「シャマール」を製作、そして以後はピエールを中心にしたフュージョン路線へと向かう。ヴァージンと契約を終了したピエールのゴングは、アリスタと契約して活動を続ける。

・１９７７年、KarakosのプロモートでパリのHippodromeでゴングの再結成ギグが行われ、これをブランソンが妨害する。ヴァージンはヒッピーによる侵攻を受ける。

・このギグからプラネット・ゴングが誕生し、無料ギグのツアーを行う。

・ハウレットは元ゴング勢とポリス加入前のスティングを集めて「NUCLEAR WASTE」を製作する。

・ジリと子供たちと別れてしまう。この頃、クリス・カトラーらと「N'exist pas!」を製作。その後、ニューヨークのアレン・ギンズバーグのロフトに行き、ビル・ラズウェルとのニューヨーク・ゴングと全米ツアーに出る。

・新しいパートナーのマギー・ブラウンとともに「クロックワーク・バンド」によるソロツアーを行い、音楽的・精神的に燃え尽きて、２１年ぶりにオーストリラリアに帰り、父の臨終の床を見送る。

・音楽業界から忘れられ、タクシー運転手をして過ごす暗黒時代。メルボルンで世界詩人トムと共にストリート・パフォーマンスを行う。

・メルボルンを出てニューサウスウェールズの小屋で、「７つのドローン」を製作、車の修理を学ぶ。

・ハウレットの資金援助を受け、ブリスベーンの２ヶ月のミステリー学校に参加し、再び創造の火を燃やし始める。

・若いロブAylingの支援で1988年に英国に戻り、1990年初めのGONG再生へと向かう。

（以下追記）

・ヒレッジは一線を退いてプロデューサー業をしていたが、THE ORBへの参加をきっかけにテクノ／トランス方面に復帰。システム７を結成し活動する。

・ロブAylingにより、「ゴング鑑賞協会」(G.A.S)が設立される。

・ワンダナ、ディディアー、ハリー・ウィリアムソン、グレアム・クラーク、シャマールMaytraらと「ゴングメゾン」結成。ウィリアムソンはアンソニー・フィリップスと「タルカ」を作った人。

・アレンとウィリアムソン、クラークの３人は「マジック・ブラザーズ」を結成する。

・ＤＶＤでリリースされたゴングメゾンのギグでは、Magick Brother、Camembertなどの旧曲も演奏される。

・ＴＶ番組「Bedrock」の企画でゴングを再結成する。メンバーにピップ、ディディアー、プラネット・ゴングのステッフィ、キースらが参加する。これは日本のWOWOWでも放送される。

・ゴングメゾン＋ピップという編成で「YOU」以来１８年ぶりのゴング名義でのオリジナルアルバム「Shapeshifter」をリリースし、本格的なツアーも行う。

・１９９４年１０月、ロンドンのフォーラムでゴング生誕２５周年ギグを行う。ヒレッジを除くクラシック・メンバーが１７年ぶりにほぼ全員揃う（ドラムはピップ）。他にマザー・ゴング、Shapeshifterゴング、ケヴィン・エアーズ、ティム・ブレイク、プラネット・ゴング、ショート・ウェイヴ、カンガルー・ムーン、IOCT、Fluviusらが参加し２日間各１２時間におよぶギグが行われる。アレンはエアーズ、IOCTにもゲスト参加し共演。

・同年、Gong Dreaming 1がリリースされる。

・１９９５年、アレンのゴング名義での初来日が発表されるが直前でキャンセルとなる。このときのメンバーはヒュー・ホッパー、クレイマー、ドッグボウル、デーモン＆ナオミ、ゴースト他。

・１９９６年、クラシック・ゴング編成で遂に初来日公演が行われる。ティムは不在で、ドラムはピップ、ギターはスティフィー。岡山ではアレンのソロ公演も行われる。

・１９９７年、ドラムをピエールMoerlenに交代して２度目の来日公演が行われる。オーランドーが同行し、京都公演ではコンガを演奏する。

・1999年、アレンはクリス・カトラー、ヒュー・ホッパーとのトリオと、ジリのトランスユニット、Goddess Tranceとのデュオツアーで来日する。

・ドラムにクリス・テイラー、サックスにTheoトラヴィスらを加えた編成で「Zero to Infinity」をリリースし、2001年に来日公演を行う。またこのツアーでのライヴを収録したアルバム「Live 2 Infinity」もリリースされる。

・University of Errorsと合体してライヴ活動を行う。

・アレンは日本のミュージシャンらとAcid Motehrs Gongを結成。2004年、2006年と２度の日本ツアーを行う。２度目のツアーでは東京では初のアレンのソロ公演も行われる。

・２００６年、オランダMelkwegでの「Gong Uncon」でヒレッジ、ブレイクも加えたクラシック編成でのライヴが行われる。ドラムはクリス・テイラー。ヒレッジのゴング復帰は２９年ぶり。他にヒレッジ・バンド（ハウレット、テイラー、ミケット）、Acid Mothers Gong、アレン＋ホッパー＋カトラーのトリオ、グリッサンド・ギター・オーケストラなども出演。

・ピエールMoerlen（2005年）、ピップ・パイル（2006年）といったオリジナル・ドラマーが相次いで逝去する。

・ブラジル版IOCTに参加しライヴを行う。ゲストにステッフィーが参加。

・2009年、ヒレッジを加えた編成でアルバム「２０３２」を製作する。これがゴングの最後のオリジナルアルバムとなる。

・2009年、フジ・ロック・フェスティバルにヒレッジ入りの編成で参加する。

・2009年、Gong Dreaming 2がリリースされる。

・2012年11月、アレン、スミス、Orlandoに若手中心のメンバーで来日。

・2013年10〜11月、ユミ・ハラ、クリス・カトラーとのトリオyou me&usで来日。東京公演で内橋和久、吉田達也とともに"Facelift"を演奏。これがアレン生前最後の来日となる。

・2014年５月、アレンが癌を発症し６月に手術。６月のyou me&usでの来日は中止。

・2015年3月、アレン死去。享年77歳。

（歴代ドラマー一覧）

1. Rached Houri     1969.xx-1971.02
2. Pip Pyle             1971.02-1971.12
3. Laurie Allan        1971.12-1972.04
4. Mac Poole          1972.04-1972.06
5. Charles Hayward 1972.06-1972-07
6. Rob Tait            1972.07-1973.02
7. Laurie Allan    　 1973.01(Recording Only)
8. Pierre Moerlen    1973.02-1973.10
9. Rob Tait            1973.10-1974.03
10. Pierre Moerlen  1974.04
11. Chris Cutler     1974.04(Parttimer)
12. Pip Pyle           1974.04(Parttimer)
13. Pierre Moerlen  1974.04-1974.07
14. Chris Cutler     1974.08
15. Laurie Allan     1974.09-1974.10
16. Bill Bruford     1974.11-1974.12
17. Brian Davison   1975.02-

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