GONG 25TH BIRTHDAY PARTY94/10/8〜9 LONDON,THE FORUM
（このレポートは、マーキー誌５８号のために書いたものです）
94年10月8、9の両日、ロンドンのTHE FORUMで行なわれた"GONG 25TH BIRTHDAY PARTY" は、17年ぶりにオリジナルメンバーのMIKE HOWLETT,TIM BLAKEの両名が復帰した再結成ゴングのステージをメインに、ゴングゆかりのアーティストが多数出演し、のべ24時間に及ぶ一大ビッグイベントとなった。
会場はロンドン中央部やや北よりの地下鉄KENTISH TOWN駅から歩いてすぐの、ホール級の大きさのライブハウス。１階席がスタンディングということもあり、観客は非常にリラックスして楽しんでいるように感じた。照明設備が非常に充実しており、ヴァリライト等を使用した強力なライティングが印象的。客層は年季の入ったコアなファンから、クラブに踊りに来たというノリの若者まで、老若男女入り交じっていた。当初参加予定だったPIERRE MOERLENは不参加で、代役はPIP PYLE。ギターのED WYNNEもOZRIC TENTACLESの米ツアーのため不参加で、こちらはPLANET GONGのSTEFFY SHARPSTRINGSが代役を務めた。ステージは、１バンド目を除くと２日ともほぼ同じ内容であった。
(INVISIBLE OPERA COMPANY OF TIBET)初日１番手のこのバンド、VOICEPRINTからＣＤを出しているバンドとは違い、IOCT UKと呼ばれている。メンバーはJIM PETERS(KB),BRIAN ABBOTT(G),TIM HALL(B),STEVE HICKENSON(DS)の４人。HERE & NOWを多少ポップにしたような印象のサウンド。中でも、"MASTER BUILDER"のカバー演奏と、いきなりアレン御大が登場して歌った最後の１曲は、ひときわ盛り上がった。
(KANGAROO MOON)こちらは２日目の１番手。１日目、会場前で開門を待っていた我々の前に現れ、ストリートパフォーマンスを見せてくれた彼らの演奏である。メンバーは、"THE MAGICK BROTHERS" にも参加したMARK ROBSONを中心とした４人編成。アコースティック・エスノ・ダンスグループといった感じで、ROBSONがキーボードを弾きながら吹くDidgeridu（オーストラリアの管楽器）の低音の響きと紅一点の女性ヴァイオリニストの演奏が印象に残った。
(DIDIER MALHERBE'S FLUVIUS)マレーブが率いる４人編成のバンド。マレーブの軽妙なＭＣで進行するステージは、民族音楽色が濃く、非常に聴きごたえがあった。コラを初めとする民族楽器を次々に持ち替えるキーボード奏者、強力な速弾きを聴かせるブズーキ奏者等、マレーブ以外のメンバーの演奏も質の高いものであった。
(JAY FISHER)ここで登場したのは、ごくフツーのギター弾き語りのフォーク・シンガー。どうやらマイク・ハウレットの関係で出演したようだが、さすがに場違いの感は否めなかった。
(HERE & NOW / PLANET GONG)HERE & NOWはロック色の強い骨太の演奏。キーボードがEMSのシンセを使用しており、往年のティム・ブレイク・サウンドを再現しているのが嬉しい。
後半は、アレンを加えてアルバム"PLANET GONG"の曲をパンキッシュに演奏し、大いに盛り上がった。
(TIM BLAKE SOLO)彼のステージは予想通り、ATARIのコンピューターによるシーケンスをバックに、シンセを弾きながら歌うという構成。派手なデジタルドラムに、フィードバックギターを模したデジタルシンセの音が妙にくどくて、曲の雰囲気を壊していたように感じられたのは残念。せっかく"SONG FOR A NEW AGE"や"SELENE"といった懐かしい曲も演奏してくれたのだが。
(SHORT WAVE)時間は短かったが、非常に充実した演奏だった。他の３人がステージの奥まったところで黙々と演奏するのに対して、マレーブはステージの一番客席寄りで観客とのコミュニケーションを楽しむように演奏していたのが対照的で面白い。演奏曲はいずれもＣＤ収録の "SHUFFLE DEMONS"、"2 P.M."、"THE BALLADIN"、"THE FOX"、"NAN TRUE'S HOLE"の５曲。
セッティングの合間に、レディ・ジューンが登場。詩の朗読等のパフォーマンスを行なって喝采を浴びていた。
(KEVIN AYERS)前半は来日公演でもお馴染みのアコースティック・デュオ形式で、後半は豪華なゲストプレイヤーの目白押し。まず"SUPER SALESMAN"で先ほど出番を終えたSHORT WAVEのホッパー、ミラー、パイルの３人が登場。続く"MAY I?" "SHOUTING IN A BACKET BLUES"ではマレーブがフルート＆サックスで参加。さらに驚いたことに、デイヴィド・アレンまでもがステージに登場。アレンのグリッサンド・ギターをフィーチュアした"LADY RACHEL"が演奏され、会場の盛り上がりもピークに達した。
(SHAPESHIFTER GONG)現在進行形のゴングの登場。92年のアルバム"SHAPESHIFTER"からの曲を中心に、"EST QUE JE SUIS"、"TROPICAL FISH:SELENE"といった古い曲を演奏していたが、これらの曲は SHAPESHIFTER GONGのステージでは定番ナンバーになっているようで、アレンはこのバンドにCAMEMBERTの頃のようなサウンドを期待しているようである。
(MOTHER GONG)いったいどんな編成で行なわれるのか、と思っていたのだが、ステージに登場したのは何と、スミスとサックスのROB CALVERTの２人のみ。演奏はテープをバックに２人でインプロヴィゼーションを繰り広げる、といった構成。"I AM YOUR FANTASY" "DYNAMITE:I AM YOUR ANIMAL"といったお馴染みの曲のフレーズも交えながらのステージだった。遠目で見ていたせいか、スミスの老けぶりはさほど気にはならなかった。
(ORIGINAL GONG)さあ、ようやくお待ちかねのメインアクトの登場である。
ブレイクとスミスによるイントロから始まり、徐々にメンバーが姿を現す。そして"YOU CAN'T KILL ME"からスタート。アレンは肩まで伸ばした白髪にヘアバンド、裃のようなジャケット、アンクレットと銀で統一した衣装に身を包んで登場。90年の再結成でも感じたのだが、パイルがドラムに入るとテンポが上がり、全体に締まった印象を与える。"PROSTITUTE POEM"では、司会者がシルクハットとステッキ姿で登場、ショールをまとった娼婦姿のスミスとパフォーマンスを繰り広げた。ブレイクはソロのステージでのセットをそのまま使用し、往年のクリスタル・マシーン・サウンドの再現とは行かなかったのは残念だったが、"FLUTE SALAD"の前の狂言回しや"INNER TEMPLE"での紅茶パフォーマンスなど、彼のもう１つの役割であるライブでのヴォーカル／パフォーマンスでの貢献は非常に大きかった。マレーブは他のステージ同様、飄々とマイペースを貫いていたようだったが、２日目の"FLUTE SALAD"でのソロは特に気合いが入っていたようで、リズミックなソロに観客も手拍子で応えていたのが印象的だった。"MASTER BUILDER" "SPRINKLING OF CLOUDS" "ISLE OF EVERYWHERE"など、アルバム "YOU"からの曲になると、俄然マイク・ハウレットのベースが光ってくる。この人のベースの存在感はやはりさすがである。ピプ・パイルとのコンビネーションもピッタリだった。ギターのSTEFFY SHARPSTRINGSはなかなか健闘していたが、さすがに"YOU"の曲あたりではちょっと荷が重いかな、という印象を感じさせたのは仕方無いか。ちなみに、ヒレッジからは祝辞が寄せられており、セッティングの合間に司会者から紹介されていた。最後は例によって"YOU ARE I,AND I AM YOU"の大合唱で、ステージは幕を閉じた。アンコールがあった２日目のフィナーレでは、パイルからアレンへバースデイ・プレゼントが手渡されたが、これがなんとバナナ。アレンが１本煙草のようにくわえて見せると、すかさずパイルがライターで火を付ける。これには会場もバカうけ。アンコールがまたとんでもないもので、SHORT WAVE、SHAPESHIFTER GONGのメンバーらが全員ステージに登場して、超豪華メンバーによる一大セッションが繰り広げられた。 最後に、この日の模様はビデオ収録されていたようで、G.A.S.あたりからリリースされるという話もあるようだ。行けなくて後悔している皆さんも、楽しみに待っていましょう。
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（タイムテーブル）
13:30 〜 14:10 INVISIBLE OPERA COMPANY OF TIBET（１日目）
KANGAROO MOON（２日目）
14:25 〜 15:05 DIDIER MALHERBE'S FLUVIUS
15:15 〜 15:35 JAY FISHER
15:40 〜 16:50 HERE & NOW / PLANET GONG
17:05 〜 17:45 TIM BLEKE SOLO
18:00 〜 18:40 SHORT WAVE
18:55 〜 19:35 KEVIN AYERS
19:50 〜 20:50 SHAPESHIFTER GONG
21:05 〜 21:45 MOTHER GONG
22:00 〜 ORIGINAL GONG（セットリスト）
ORIGINAL GONG
1.INTRODUCTION
2.YOU CAN'T KILL ME
3.RADIO GNOME INVISIBLE
4.WITCH'S SONG:I AM YOUR PUSSY
5.POT HEAD PIXIES
6.I NIVER GLID BEFORE
7.PROSTITUTE POEM
8.EAT THAT PHONE BOOK CODA
9.FLUTE SALAD
10.OILY WAY
11.INNER TEMPLE
12.OUTER TEMPLE
13.MASTER BUILDER
14.A SPRINKLING OF CLOUDS
15.THE ISLE OF EVERYWHERE
16.YOU NEVER BLOW YR TRIP FOREVER
(ENCORE) FOHAT DIGS HOLES IN SPACE（２日目のみ）