藤井郷子グループ2000/3/1 新宿PIT-INN
藤井郷子(p)のグループのライヴです。メンバーは田村夏樹(tp)、早川岳晴(b)、吉田達也 (ds)。このメンバーで演奏するのは昨年８月以来です。
前半はまず５０分におよぶ超大作"TOWARD TO WEST"（藤井曰く「英文法的には間違いですが(^_^;)」）でスタート。早川のピッチシフトを使ったベースソロで始まり、６拍子のコード進行の美しいパート（コードの運び方がちょっと清水一登ぽい）、吉田がマレットに持ち替えて叩くエキゾチックなメロディのパート、速いテンポで全員のキツ目のユニゾンが入るパート、吉田のヴォイスと藤井の内部奏法を中心にしたパート、などなど刻々と場面が変わります。パートの継ぎ目には各人のソロなどを交え、流れるようにパートが続いていきます。最後は田村のアラブ風フレーズを全員で盛り上げてエンディング。てっきりこれで前半終わりかと思ったらＭＣを挟んでなんとまだ続きます(^_^;)。２曲目はこの日出来あがったばかりのホヤホヤの新曲。「ワールドプレミア、世界初演です」と笑いを取っていましたが、海外でも自身のオーケストラを率いて活動している藤井なので、あながちギャグとも言えません(^_^;)。この曲は仮タイトル「ＬＨのバラード」、左手のみを使ってピアノで作曲したというもので、右脳との関係が出るとか出ないとか(^_^;)。テーマ部のメロディはかなりひねりのあるものです。ここでやっと前半終了。
後半は比較的短めの曲、と言っても５曲で１時間強です(^_^;)。どの曲も新しめの曲でタイトルはまだ付いていません。５拍子リフの続く２曲目、７拍子の５曲目などは、へヴィ・ジャズロックとしても一級品です。ルインズの時とほとんど変わらない手数とパワーで叩きまくる吉田＋ファズトーンも織り交ぜつつ重いリフや派手なソロを弾く早川のリズムセクションは、予想した通りほとんどマグマ状態です(^_^;)。このパワーリズムを生かしつつ、負けずに存在感を示す藤井と田村もさすが。この４人のバランスは非常に良好です。藤井の書く曲は、決まり切ったテーマ＞ソロ＞テーマという展開のものではなく、テーマやリフなど最小限の部分のみを示し、あとは各人のやりたいようにさせるという形のよう。書かれた部分のテーマの各楽器の絡みやリフなどは非常に個性的でユニークなもの。曲によってはジャズというよりチェンバー・ロックに近い感触のものもあって、とても面白いです。３曲目にやったピアノソロでは、そのフレーズや和声感の面白さが特に強く感じられました。
それにしても藤井は、過去に植村、芳垣、外山らを自分のバンドのドラマーに起用しているそうで、なるほどドラマーの人選にはこだわりがあるようですね。