灰野敬二＋羽野昌二2000/3/2 新宿PIT-INN
灰野敬二(g)と羽野昌二(ds)のデュオライヴです。アルバム"THE STRANGE FRUIT"発売記念と銘打たれていましたが、ＣＤは間に合わなかったようで販売されていませんでした(^_^;)。また、ゲストで参加する予定だった小沢靖(b)はなぜか出演せず。ベースアンプはちゃんとセッティングされていたようでしたが。
まずは前半。灰野はギターのみを使用。終始椅子に座り、ヴォリュームペダルを多用して小音量でのプレイが目立ちます。吉田達也やPILLといった爆発系のプレイヤーとの共演とはかなり違った趣です。途中、金属片をギターの弦に挟んで金属的な倍音を出したり、カポタストのようなデバイスをネックに取り付けて演奏します。中盤の厚い音色での単音フレーズがヘヴィ＆ダークで印象的でした。羽野はリズムを刻む場面は少なく、連打系の奏法で灰野のギターに音を重ねていきます。舞踏のようなゆったりとした大きなアクションが印象的です。前半は４０分弱で終了。期待したような激突バトルといった場面は少なく、ちょっと意外でした。手の内を探り合っている間に終わってしまった感じか？
後半、灰野はギターの弦に輪ゴムを縛り付け、その輪ゴムを引っ張ったり弾いたりして音を出します。素朴なアプローチですがこれがまるでフランジャーのかかったような音になったりしてなかなか面白いです。前半の延長のような形で演奏は続き、終盤遂に灰野が椅子から立ち上がり、激しくギターをかき鳴らし、この日初めてヴォイスを繰り出します。これからド迫力バトルが始まるかと思いきや、そのまま演奏はフェードアウトしてしまって終了。後半も４０分足らずで、新ピでのライヴにはきわめて珍しく２１時４０分頃に終わってしまいました。
やはり以前に見た吉田やPILLとの共演の比較になってしまいますが、この日の羽野はちょっと灰野に合わせすぎたのではないでしょうか。灰野がガーっと来れば行くし、灰野が引けば同じタイミングで引いてしまう。これが吉田やPILLだったら灰野が引こうがお構いなしでガンガン突っ走り、これに対して灰野が打ち返すというやりとりの面白さがあったんですが、この日はそう言う場面が見られませんでした。小沢を入れた演奏を想定して準備していたのが中止になり、こうなってしまったのかもしれませんが、灰野と共演するにはあえて自分をガンガン出していった方が、灰野としてもやりがいが出るのではないでしょうか。そんなことを考えさせられたこの日の演奏でした。
灰野と羽野は３月末から４月上旬にかけて、ペーター・ブロッツマンを加えたトリオでヨーロッパツアーを行い、１０月頃にはブロッツマンを呼んで日本でライヴを行う計画もあるそうです。これは楽しみです。