灰野敬二＋吉田達也2000/4/19 高円寺ペンギンハウス
灰野敬二＋吉田達也デュオのライヴレコーディングです。開場３０分前に様子を見に行くとすでに行列が出来ているので、すぐに後ろに並びます。その後も列は続き、開場予定時間の１９時より１０分ほど早く開場となりました。結局満席で立ち見も数名出るほどの大盛況でした。最前列のテーブル席は当然禁煙。開演前にはステージ上でお香が焚かれます。ステージ右側に８トラックのA-DATとミキサーが置かれます。録音のスタート／ストップは吉田が行いますが、A-DATの連続録音時間が４０分という事で、テープの入れ替えなども吉田が行います。灰野は各種民族楽器を多数持ち込み、セットごとに持ち替えて演奏します。
１．灰野のエスラージと吉田のキーボードのデュオ。エスラージはインドの楽器で、シタールのような形で４本の弦と数１０本の共鳴弦がついており、灰野は床に座り込んで弓で弾いて鳴らします。コンタクトマイクで拾って深いリバーブをかけての演奏。サーランギに似た感じかな。吉田はパーカッションの音色で演奏。ピッチベンドを使ったタブラ音色などを聞かせます。後半は吉田はブラシを使ったドラム演奏へ移行。まるで東方沙羅のような印象でした。２０分弱の演奏。
２．灰野の名称不明(^_^;)の楽器と吉田のピアノのデュオ。灰野の楽器は小型のギターのような形で、フレットは無く高く張られた８本の弦を指で押し下げて音程を変えながらピックで弾きます。押さえる強さによって音程がかなり極端に変わるので、変調感が凄く聴いてて酔ってきそう(^_^;)。吉田は店備え付けのアップライトピアノを使用。相変わらず手癖中心のパーカッシヴな演奏ですが、トップスピード時はキース・ティペットに匹敵するほどです。途中からはピアノを弾きながらハイハットなど足も使います。これは吉田ならでは。後半は吉田はヴォイスとやはりブラシを使ったドラムの演奏に移行。１０分強の演奏。
３．灰野のタンブーラと吉田のダラブッカのデュオ。この組み合わせは１月の高円寺UFO CLUBでも見られましたが、今回も期待通りの高速疾走アコースティックセッションです。吉田はドラムセットに座った状態で両足にこれを挟んで演奏。演奏に熱が入ってくるとスネアやタムを素手で叩いたり、バスドラやハイハットも加わります。途中灰野はタンブーラにディレイをかけ、空間的な美しい音色を聴かせます。吉田は終盤ドラムスティックを持ち出します。なんとダラブッカもスティックで演奏(^_^;)。時間は１０分強。
４．灰野のエレクトリックギターと吉田のドラムのデュオ。吉田はまたブラシを使用し、灰野もノーエフェクトの音色でジャズぽい雰囲気の演奏でスタート。後半は吉田の目まぐるしいリズムチェンジと灰野の切れ味鋭いカッティングがぶつかり合います。相変わらずハイテンションですが、過去のデュオに比べるとちょっと抑え目か。１０分ほどの演奏。
５．エレクトリックギターとドラムのデュオをもう１曲。吉田の超高速ツービートに始まり、今度は３分弱という短時間疾走の爆裂セッション。ここで休憩。
６．灰野のギュンバリと吉田のマレットを使ったドラムのデュオ。ギュンバリはモロッコの楽器で、巨大なボディにゴムのような太い弦を３本張ったもの。ベースギターのような音です。演奏前に灰野の必需品？ ドライヤーを使って楽器のコンディションを整えます。灰野はこの日初めての振り絞るようなヴォイスも。ギュンバリは演奏中に何度か弦を支えるブリッジの部分が外れてしまい、最後はそのまま中途半端な形で終わってしまい両者苦笑(^_^;)。１０分ほどの演奏。
７．灰野のサロッドと吉田のキーボードのデュオ。サロッドはインドの楽器で、やはり共鳴弦が多数付いた巨大な琵琶のような形の８弦の楽器。ネックの後ろに球形の鐘のようなものが付いているのが面白い。これも共鳴して音を出すんでしょうか。灰野は床に座り込み、つま弾くように演奏します。後半はギターのようにかき鳴らして演奏。吉田はここでもタブラ等のパーカッション音を中心にした演奏。約２０分。
８．灰野の木製三味線と吉田のブラシを使ったドラムのデュオ。三味線はすべて木で作られたもので、熊本にしかないものだそうです。音は三味線とタンブーラの中間のような感じ。バチは使わず爪で弾きます。スピード感のある演奏。最後は灰野のヴォイスも加わります。約１５分。
９．灰野のギターと吉田のダラブッカ＆ヴォーカルでスタート。途中から灰野はダラブッカに持ち替え、史上初？(^_^;)のダラブッカデュオでの演奏へ。目一杯の手数で叩きまくる吉田とシンプルなリズムで掌を目一杯使ったミュートを交えて叩く灰野は実に対照的です。ダラブッカデュオ時にも吉田のハイテンションなヴォーカルが加わります。その後は吉田がリム打ちを多用したドラムに移行し灰野のダラブッカとのデュオで終了。約２０分。
１０．灰野のブズーキと吉田のキーボードのデュオ。ブズーキのみコンタクトマイクを使用せず、直接マイクで音を拾います。繊細でメロディアスな演奏。吉田もこれに合わせてシェイカーやベルなどの音色中心。後半は吉田の刻むゆったりとしたリズムをバックに灰野が弾き語りでダイナミックレンジの大きいヴォーカルを披露。１０分弱。
１１．灰野のエレクトリックギターと吉田のドラムのデュオ。灰野の弾くリフに素速く反応して、吉田がリズムパターンを合わせるのは見事。灰野は飛ばしすぎのためか演奏中何度もピックを飛ばし、その都度後ろのテーブルから取りますが最後には無くなって床から拾うハメに(^_^;)。１０分強。
以上トータル２時間４０分に及ぶ演奏でした。灰野は他に笛なども用意していたようですがこれは使用せず。灰野の楽器の持ち替え時のセッティングやテープ交換の時間が入ったとはいえ、ボリューム満点、多用な楽器の音が楽しめて大満足でした。かなりの量の録音になりましたが、ノイズやハウリングが入った箇所も多かったので編集して使うんでしょう。リリースが楽しみです。