BONDAGE FRUIT2000/8/22 渋谷クロコダイル
BONDAGE FRUITの、今年に入ってから２月、５月に続いて３度目のワンマンライヴです。最近新曲がどんどん増えていく傾向にあるので、今回も要注目のライヴ。開演前の店内ＢＧＶはクリムゾンの"THREE OF A PERFECT PAIR LIVE"。岡部が熱心に見ていたのが印象的でした。
１．無題（新曲） １５分
２．チタンフィールド（新曲） １５分
３．○Ａ（マルエー） ５分
４．ＨＩＶＥ １０分
（休憩）
５．ＴＲＡＩＮ ２５分
６．ＬＯＣＯＭＯＴＩＶＥ（新曲）１０分
７．ＳＫＩＮ ３０分
（アンコール）
８．ＯＬＤ ＢＬＩＮＤ ＣＡＴ ５分この日も新曲が３つ。２月のライヴで初演した２曲、５月に初演した２曲と合わせ、アンコールの８以外はすべて今年になってからの新曲ばかりという新鮮味のあるセット。１年前とは別バンドのようです。
岡部は通常のスネアの左にもう１台ピッコロスネアをセットして使用。最近芳垣がこのセッティングをよく使っていますね。WAVE DRUMやCDJは今回は使っていなかったもようで、代わって最近セットに加わったローランドのエレクトリックパッドが活躍していました。５月のライヴで使っていたゴムベースはこの日は使用せず。鬼怒は１と８でスチール弦、４はナイロン弦の２本のアコギと、他では水色のストラトを使用。さらに６では珍しくテレキャスターを使っていました。勝井は５月のライヴで久々に使っていた小型サンプラーはこの日は使用せず、フィードバック量を極端に上げたディレイを多用し、発信ノイズのような効果も出していました。高良のセットは５月のライヴとほぼ同様。コンガや多数吊り下げられた各種金物を効果的に使用します。
１は鬼怒のカントリー風の淡々としたギターリフが延々と続き、これに鬼怒のアナログシンセ＆岡部のパッドによるＳＥ、勝井のフィードバックディレイ音、高良の弓弾きヴィブラフォンなどが絡んでいく形で曲が進みます。アメリカーナ＋音響の、まるでジム・オルークに捧げられたかのような演奏。
２は５拍子と６拍子が各パート入れ替わりながら同時に進行していくスリリングな曲。エキゾチックなリフやテーマ部のメロディが印象的。ヴィブラフォンのリフがPIERRE MOERLEN'S GONGを思わせます。リズムセクションが６拍子で揃ったときの疾走感はさすが。一部でスティーヴ・ライヒか？ との声もありましたが、終演後に鬼怒に聞いたところアフリカのポリリズムがアイディアの元になっているんだそうです。
３は５月のライヴで初演した曲。こういう勢い勝負の曲が珍しくなっているところに最近のボンフルの変容具合が感じられて面白いです。
４は岡部がSURDOを演奏せず、エレクトリック・パッド＞ジャンベ太鼓＞ブラシを使ったスネアでリズムを刻んでいました。このため過去２回の演奏に比べて若干ブラジル風味は薄まったでしょうか。ソロは高良のヴィブラフォンと大坪のヴォイス＆ベースを各々フィーチュア。
５は５月のライヴで聴いた時点では、２回目にしてかなり曲が固まってきた印象だったんですが、この日はＡパートとＢパートのフレーズが相互に侵食しあったり、ベースの定型リフを崩していったりと、かなりスリリングな展開になっていて興味深いです。
６は鬼怒がMt.Fuji Aidで見たモロッコのグループに触発されて作ったという曲。高良の細かく刻むシェイカーとベースのリフ、岡部の１人ポリリズム（これは凄い！）がそれらしいんですが、鬼怒のテレキャスを使ったブルージーなスライドギターが妙にミスマッチで面白い。鬼怒は「このまま何十分でも弾きつづけられるよ」と言ってましたが、あまりのミスマッチぶりに勝井は「途中で２度ほどメゲそうになった」とか(^_^;)。
７は３０分に及ぶヘヴィ＆ダーク＆ノイジーな超大作。５月のライヴでは勝井＆大坪の弓弾きファズサウンドと、真っ暗な中でのストロボライトが効果的でしたが、この日はどちらも無くて暗黒度はやや低めか。それでも終盤の鬼怒のノイズギター炸裂はやはり圧巻でした。前回演奏後に勝井に聞いたところ、 GODSPEED YOU BLACK EMPERORを意識したと言っていましたが、今回は「言われてみればSONIC YOUTHかもしれないね。向こうはもっと速いけどね」との事でした。
アンコールは一転してあっさり風味で終了。岡部はタブラやWAVE DRUMを用意していないため、ジャンベ太鼓とスネアを使ってリズムを刻みます。タブラが無いとかなり雰囲気変わりますね。５月に続き、２時間を大幅に越えるボリュームたっぷりのライヴでした。
今のボンフルは９６年後半〜９７年の、最もクリエイティヴだった時期に匹敵するほどのアイディアとエネルギーに満ち溢れています。次々に新しい曲が出てくるのは凄いですが、そのため１回やっただけで切り捨てられる曲も多いのは勿体無いくらいです。今ライヴを見逃すと損しますよ。