横川タダヒコ＋吉田達也2001/9/12 高円寺ペンギンハウス
横川タダヒコ主宰の、毎回違うゲストを招いてデュオインプロを行うライヴシリーズ"TWO OF US"の第３８回目、今回のゲストは吉田達也です。横川はギター、エレクトリック・ヴァイオリン、店備え付けのアップライトピアノを使用。吉田はドラムセットに加え、右手のフロアタムの置かれる位置にテーブルを置いてシンセ、ドラムマシン、ミキサーを設置。また、足下のスイッチでヴォーカルマイクのディレイを出し入れします。
１．吉田のドラムと横川のギターによる、のっけからハイテンションの応酬でスタート。しばらくはノーリズムでの激しいやりとりが続きます。横川がヴァイオリンに持ち替え、吉田の高音ヴォイス＆シンバルとの応酬に移行。横川がフレーズを提示すると吉田がこれにリズムパートを加えていきます。横川はヴァイオリンを弾きながら片手でカオスパッドを操作、ピッチシフトやファズを使って元の音がヴァイオリンとは思えないような、うねる重低音を作り出します。１２分ほどの演奏。
２．横川のピアノと吉田のシンセを使ったパーカッション音でスタート。吉田は足下のヴォリュームペダルとピッチベンドを多用し、タブラのような効果やリバーブの出し入れなどを行います。横川もカオスパッドを使って、ディレイやリバーブの効果を随時変化させながら加えます。ピアノのフレーズをループさせてヴァイオリンのフレーズに移行すると、吉田も片手でキーボード、もう片手でシンバルを加えるマルチぶり。ヴァイオリン＆ドラムで高速ハイテンションな演奏から、ピアノとシンバル＆キーボードのデュオで静かにフェードアウトして終了。１２分ほど。
３．横川が１セット目で切ってしまったギターの弦を張り替えている間に、吉田のMIDIでドラムマシンの音を同期させたキーボードによるソロでスタート。ここでもヴォリュームペダルやミキサー類のツマミを激しく動かして音の出し入れを行います。横川はギターの準備でが出来ると、ノイジーな特殊奏法で加わります。かと思うといきなり場面転換して、吉田のオルガンによるコード弾き＆ヴォーカリゼーション＋横川のメロディアスなギターソロへ。終盤はドラム＆ギターによるハイテンションなバトルへ移行して終了。約１２分。ここで休憩。
４．横川のポップなコード展開のギターに吉田が３連系のリズムを合わせる形で進む演奏。約８分。
５．吉田がリズムマシンによるリズムを走らせ、その上にキーボードのパーカッション音を加え、それに横川がファンク風のリズムギター、ヴァイオリンの演奏などを加えていきます。最後はドラム＆ヴァイオリンのハイテンションなデュオで終了。約８分。
ここでＭＣ。横川が「休憩の間、後半はもう少しゆっくりやろうと話してたんだけどね（笑）」吉田「俺はそのつもりだったんだけど（笑）」横川「（毎回同じパターンで終わるのは）定めだね。今日は....史上最低（一同爆笑）。久々に音楽の忘れていた一面を思い出しましたね」
６．吉田がリズムマシンでラテン風のリズムを走らせ、これに横川がそれっぽいギターフレーズを加えていきます。横川がヴァイオリンに持ち替えてエスニックなフレーズを弾き出すと吉田もタブラ風のパーカッション音＆ヴォイスで応戦。ここでダラブッカを出して欲しかったなぁ。約５分。
またまたＭＣ。告知からの流れで、横川「今でもクリムゾン聴いたりするの？（笑）」吉田「マグマは聴くけど、良く聴くのはドビュッシーとか、プーランクとか」横川「実はガーッとやりながら、頭の中ではプーランクが流れてたりして（笑）」吉田「それはない」横川「マグマの人とかそうかもね。コルトレーンをやってるつもりなのに、どこからともなくドビュッシーが忍び寄ってくる感じ（爆笑）」このあたりの話は面白かったです。
７．横川「実は僕ピアノ全然弾けないんですよ」吉田「大丈夫、俺も全然弾けないから」横川「じゃあピアノデュオやりましょう」ということに。横川はエフェクト自己規制付き。吉田がピッチベンドやヴォリュームペダルを使用し、ピアノ離れした音を出す場面も。なんとなく両者の演奏スタイルが似てるなと思って聴いていたら、演奏終了後、横川が「こんなに（両者の）体質が似ているとは（苦笑）」。約５分。
８．横川がボトルネックを使ったブルージーなギターフレーズを繰り出すと、吉田はドラム＆ヴォーカルで応戦、ブルースロック風の演奏に。こういうスタイルの吉田の演奏は非常に珍しいです。前のＭＣでの、横川「ブルースとか聴かないの？」吉田「全然」という会話が伏線になっていたようでしたが、面白い演奏でした。約５分。
９．横川の過剰にエフェクト処理されたヴァイオリンと吉田のハイテンションなドラム、高音ヴォイスによる演奏でスタート。少し落ち着いたリズムの上での横川の高速ヴァイオリンソロが凄い。後半はまた両者爆走しっぱなし。約５分。ここで本セット終了。
１０．アンコールセット。吉田のファズギター音色のキーボードによるコード進行に、横川のメロディアスなギターが乗る形。ドラマティックな演奏。最初小音量で始まり、徐々に音量が上がっていくのが効果的です。最後は横川のカッティングギターとドラムの爆走リズムで終了。約５分。
前半の全力突進バトル、後半のバラエティに富んだ演奏スタイルとバランス良く楽しめたライヴでした。ピアノソロではないけど、この２人は予想以上に相性が良かったので、また機会があれば共演を見てみたいです。