梅津和時KIKI BANDプログレッシヴ・ナイト Vol.32002/8/17 新宿PIT-INN
梅津和時の「夏のブリブリ」の恒例企画、鬼怒無月１日バンマスによるKIKI BANDのプログレカバー大会も、回を重ねて第３回。今回のゲストは壺井彰久(vln)、野崎洋一(kb)の２人。
１．クローラー (KIKI BAND)
２．イズモヤ (KIKI BAND)
３．無益の５％（イエス／こわれもの）＋野崎
４．THE PINE MARTIN'S JIG（ジェスロ・タル／Ａ）＋壺井
５．悪魔の呪文（フォーカス／ムーヴィング・ウェイヴス）＋野崎、壺井
（休憩）
６．水の精（キング・クリムゾン／リザード）鬼怒＋梅津＋壺井
７．玄武（KIKI BAND）
８．MOON ON THE GROUND（旧名グリグリ：KIKI BAND）＋野崎、壺井
９．FOLLOW YOU, FOLLOW ME（ジェネシス／そして３人が残った）＋野崎、壺井
１０．荒野の追放者（アレア／１９７８）＋野崎、壺井
（アンコール）
１１．マネー（ピンク・フロイド／狂気）＋野崎、壺井
１と２はKIKI BANDの９月発売の新譜からの曲。「プログレナイトなのにこの曲をやるのはどうか」との声もありましたが、５拍子爆走ハードロックの１、フロイド張りの超ヘヴィ・ブルースナンバーの２と、どちらもプログレとして聴いても十分楽しめるものでした。３以降はプログレカバーが続きます。今回は比較的メジャーなアーティストの意外な曲を取り上げる、というのがコンセプトだったようです。３は本編だけではあっという間に終わってしまうということで、これをテーマ部として繰り返し、その間に各人のソロを挟む形で進行していきます。野崎はCOILの田中栄二からの紹介で参加することになったそうですが、ルーツはソウル／ファンクとのことで、プログレと全然関係無い(^_^;)。しかし実力は文句無し。この曲のピアノソロなどは疾走感のある素晴らしいものでした。４は鬼怒のバンドリン、壺井のトラッドスタイルのフィドルをフィーチュアしたジグナンバー。５はヨーデルパートをピアノに置き換えてハードなパートとの落差で笑わされたり、フルートの速いフレーズを梅津＆壺井でユニゾンで聴かせたりと、完コピというよりも、誰でも知ってる曲を意外な調理法で楽しませるという内容。こういうのも面白いです。
休憩明けの６は３人での演奏。鬼怒はアコギ、梅津はクラリネット、壺井はリバーブの効いた音色で、静謐に聴かせます。ここからKIKI BANDの曲に戻って、早川作のヘヴィロックナンバー６，これまた５拍子リズムにバルカン風のメロディが乗るハイテンションな曲７を演奏。KIKI BANDの曲をゲスト入りで演奏するというのも面白い試みです。野崎はアコピに加えコルグのオルガンCX-3を使用。９はゆるーいレゲエ調のアレンジで聴かせます。これも５と同じ路線か。ラストの１０の中間部はファンク調のリズムで各人のソロ回しが入ります。野崎はソロでプロフェット５を使用していましたが、これはテーマ部のところで使った方がオリジナルに近くなって良かったのではないでしょうか。アンコールは前回の「イージー・マネー」に続く、鬼怒の暴走ヴォーカルをフィーチュアした演奏。自分のソロの途中で鬼怒が他のメンバーを煽って、最後は全員ソロのカオス状態のまま終了。計２時間をはるかに超える内容の濃いライヴでした。
鬼怒は３回目でもうネタもないし、プログレ大会は今回で終了して来年はブルースロック大会にしたいということでしたが、そう言わずに続けて欲しいです。プログレを知らないKIKI BANDのファンは１回限定の新曲ばかりのライヴと思って楽しんでるでしょうしね。