SAADET TURKOZ＋八木美知依2002/10/6 下北沢LADY JANE
イスタンブール生まれのカザフ人ヴォーカリスト、SAADET TURKOZ（確認したところ、「サーデー・テュルコス」と発音するのが一番近いらしい）の初来日公演。共演はおなじみ箏奏者の八木美知依です。この日は観客として、後日SAADETと共演する予定のカール・ストーンや、ホッピー神山らの姿も。また、なぜか外国人客が多数詰めかけ、満員の盛況でした。
まずはSAADETのソロ。ノーマイク＆アカペラで、主にトルコのトラッド曲を歌います。中低域を中心にした唱法で、非常に安定感があります。ほとんど立って歌いますが、椅子に座って歌うときはこぶしを握りしめ、非常に力強い歌を聴かせます。節回しに日本民謡や演歌に通じるものを感じさせるのが面白い。３０分ほどの演奏。
続いて八木のソロ。八木はキーボード用のようなスタンドを使い、立って演奏します。最近はずっとこれを使っているのだとか。細工をして倍音を加えた低音弦の非調弦側を早いパッセージで弾く、ガムランのような響きのイントロから始まり、「ゆらる」収録の"IBERIAN SUNSET"をここではソロで演奏します。オリジナルは６分ですが、テーマ部を様々な形に変奏していき、これ１曲だけで２０分近い演奏を聴かせます。ここでいったん休憩。
休憩明けの後半はデュオでの演奏が続きます。
１．八木はメロディアスな演奏とトリッキーな演奏を交互に見せ、SAADETは後日共演予定の巻上公一を思わせるヴォーカリゼーションも聴かせます。後半からはSAADETもマイクを使用します。つぶやくような小音量の歌の場面では効果的。
２．八木はウッドベースの弓を使って調弦していない側を弾いて、ヴァイオリンのクラスター音のような音を聴かせます。まるで１人FOUR VIOLINS。その後はSAADETの語りのようなヴォイスに、八木が伴奏のような形でアンサンブルを加える形で進行していきます。SAADETがトルコ民謡風の歌を入れると、八木はスティックを使ったパーカッシブ＆スクラッチノイズ風の演奏で応じます。
３．八木はそれまで使っていた二十弦から十七弦に箏を変更。十七弦は低音弦中心で、まるでベースのような太く芯のある音を聴かせます。SAADETの民謡風の歌に、八木がメロディアスなバッキングを付ける形が中心。個人的にはこういう演奏が中心になるかと思っていたのですが、結局これ１曲のみで、ちょっと意外でした。
後半のデュオは約４５分。３セット目当たりからエンジンがかかってきただけに、もう少し聴いてみたかったという気もしました。