DAVID CROSS＋是巨人2005/8/27 吉祥寺STAR PINE'S CAFE
元キング・クリムゾンのヴァイオリン奏者、デヴィッド・クロスの来日公演、この日は是巨人とのジョイントです。この日は前売りだけで１５０枚ほど出ていたそうで、立ち見も多数出る盛況でした。
最初は是巨人単独での演奏。吉田は高チューニングのセカンドスネア、ツーバス用のペダル等も使用。ナスノは先日のサンヘドリンに続いて、ワウペダルを使って中音域を強調した音作りに活用。鬼怒は逆にこの日はワウペダルを使ってませんでした。
１．ARABESQUE
２．BETWIXT
３．HASH
４．YOU KNOW WHAT I LIKE
５．新曲K
６．新曲L
７．太陽と戦慄パート２
８．DOLDRUMS
９．FREESTONE
１０．JACKSON
１１．ISOTOPE
１は前半ぐっとテンポを落として始まり、中間部およびインプロパートを挟んで戻った後のテーマ部はかなりテンポアップした形。いろいろ工夫してますね。２は中間部のインプロパートからテーマに戻る際なかなか息が合わず、それがかえって今までにない展開となって面白かった。やってる方は冷や汗ものだったでしょうが(^_^;)。３は私はライヴでやるのは初めて聴きます。単一コードのテンポの違う刻みをさまざまに組み合わせてポリリズム化するという趣向。この一アイディアだけで曲にしてしまうのはかなり凄いですが、今回のように４とつなげて導入部的な使い方をするのは効果的かもしれません。５と６は全くの新曲で、仮タイトルはやっぱりアルファベット順(^_^;)。５は５拍子のリズムとアラブ風味のフレーズによる、是巨人としては割とシンプルな構成の曲。後半に出てくる３拍子と４拍子の組み合わせ幻惑フレーズはらしいですが。６は速いテンポの７拍子の刻みリフを中心に、８拍子とのポリリズムなども加えて進行。どちらも中間部はぐっと抑え目のパートを挿入してリズムが飛ばすテーマ部との対比を聴かせます。７はクロスがクリムゾンの曲をやるのにあまり乗り気でないということで、３人のみで演奏。この曲は昨年６月に勝井祐二を加えた４人編成でライヴで披露していますが、今回もほぼそのままのアレンジで３人での演奏。鬼怒はこの曲のみちゃんとレスポールに持ち替え。演奏前、鬼怒は「緊張しますね、天覧試合みたいなもんか」終演後はナスノが「やっぱりヴァイオリン無いとねー」まあ仕方ないでしょう。その後はセカンド収録の８〜９、その後に出たライヴ盤収録の１０〜１１とつないで終了。ここまでで既に７５分ほどの演奏。ボリューム満点で新鮮味もあって是巨人単独のライヴとして見てもすでに満腹ですが、果たして後半はどうなるやら(^_^;)。
後半はクロスを加えた４人編成で、全てインプロでの演奏。クロスは白のZETAの５弦エレクトリック・ヴァイオリンのみを使用。ネックにフレットが打ってあるタイプなのが面白い。これをBOSSのマルチタイプエフェクターに入れ（足下にセッティング表が置いてあって、たまにこれとにらめっこ状態になることも(^_^;)）、アンプには出さずにライン直結で鳴らします。
１．クロスのアラブ風フレーズを軸に、細かいリズムチェンジを含んだ展開で進行。吉田は一部でブラシを使ったり、ダラブッカを使ったりします。後半は６／８拍子のリズムを中心に展開。
２．ピッチシフトで和声化したヴァイオリンのフレーズを中心に展開。その後はなぜかゴング風の展開に。鬼怒のギターソロの場面ではクロスは袖に引っ込み、終わると拍手を要求。後半はファズヴァイオリンとナスノが提示した重厚な２コードの繰り返しを中心に展開。
３．前のセットから続けて鬼怒のアコギと吉田のヴォイスを中心にした展開に。速いフレーズを延々弾き続けたクロスがその後手を振って「もう疲れたよ」と言いたげな表情だったのは笑った。
４．吉田のダラブッカで始まる、トラッド風味の疾走感のある５拍子を中心に展開。終盤は穏やかでピースフルな展開に。ちょっとだけGY!BEを思い出させた。
５．アンコールセット。鬼怒はレスポールに持ち替え。クリムゾン風味の展開もちょっとだけ交えつつ、この日一番のハイテンションな演奏。
是巨人の３人に比べて、決してクロスは凄まじい演奏だったというわけではないですが、ともすれば突っ走ってマニアックになりがちな是巨人組の演奏を、平易な展開に引き戻すような役割となって結果的にはかなりバランスの良い内容となりました（この辺は昨年６月の勝井を入れた４人でのセッションと比べるとかなり判りやすい）。この日の内容を見る限り、２月のSeffer&Cahenの時も今回のようにインプロ中心にした方が面白い演奏になったのではないかと思いました。