横川理彦＋今堀恒雄2005/9/8 高円寺ペンギンハウス
横川理彦の月例デュオインプロ企画ライヴ"TWO OF US"、今回のゲストは旧知の間柄である今堀恒雄です。
横川はこの日はアコースティック・ヴァイオリンのみを使用。これとテーブル上のPanasonicのノートPCが機材のほぼすべて。あとは一部で店置きのアップライトピアノも使用。ヴァイオリンとマイクの音はPCに入力され、さまざまな形に加工されて出力されます。今堀は水色のストラトとアコースティック・ギターを使用。
１．アコギとヴァイオリンによる地中海風味のインストからスタート。すぐに次の展開に移ってしまいましたが、このスタイルでの演奏は別に機会にもっと見たいと感じました。その後はヴァイオリンのループをベースに、電気的に加工された語り風のヴォイスとアコギによる自由度の高いバッキングの組合せ。その後はテンポアップしてはねるようなリズムに。横川のヴァイオリンを弾きながらのヴォーカルも熱を帯びていきます。
２．一転して隙間の多い静謐な演奏。ヴァイオリンのピチカートのループリフに、横川の歌、アコピの和声、ストラトに持ち替えた今堀のトレモロやリングモジュレイターを使った装飾音が絡んでいく形で展開。終盤、横川のヴァイオリン単音ロングトーンがPC操作により徐々に厚みを増して最後はストリングスセクションになっていく場面は面白い。今堀もE-BOWを使ったロングトーンを加えていきます。
３．横川「始まる前にライヴでコンピュータを使う事の是非について議論した。ダサいよねって」コンピュータそのものより、ソフトウェア上のパッチが複雑すぎて指さし確認必須なのが問題なような(^_^;)。苦労してセッティングしたファズvlnによる刻みループをベースに、早いテンポのクロスリズム、刻み＆高速フレーズのギター、ヴォーカルなどが絡み合うド派手な演奏。ここで休憩。
４．横川はPCでリズムマシンの音と語り風のヴォイスに様々な加工を加えて重ねていきます。今堀はリングモジュレイターを使った単音フレーズを加えていきます。全編にわたって音程感の希薄な、かといって無機的でもない不思議な感触の音空間。終盤、横川は摩擦音のヴォイスを組み合わせてケチャのようなリズムパターンを構成します。
５．横川の曲"DIVE"をアコギ＆ヴァイオリンの編成で演奏。ここでは両者ともノーエフェクトで、トラッドの風味も加えた変化に富んだバッキングで聴かせます。素晴らしい演奏。ここまで生音のみで出来て初めてエフェクトを使う説得力が出てくるような気がします。
６．今堀のヘヴィなトーンのギターと、横川のピッチシフト音を加えてペンを使ったスライド奏法なども交えたヴァイオリンでのハイテンションのインストセットから、横川のポップな歌を今堀らしいメロウなトーンでのバッキングでサポートする形。これまた素晴らしい。アンコールは無く、トータル１時間半の演奏。
歌ものをやってほしいけどインプロ中心だろうなと予想していましたが、嬉しい方向に外れてなんと全編横川ワールド全開の歌ものばかりとなりました。特に最後の２曲の素晴らしさは絶品。個人的にはこれを機会に、デュオをベースにした歌ものユニットを本格的に始動してほしいところです。