今堀恒雄 unbeltipo SOLO
2006/1/22 下北沢LADY JANE
今堀恒雄(g)のunbeltipo SOLOと銘打たれたライヴです。これは今堀のunbeltipoのレパートリーを、アコースティックギター１本のみで演奏するというプロジェクトです。楽器のセッティングはアコースティックギター２本を持ち替えて使用し、これを２本のマイクで拾ってPAに出す形。エフェクターはおろかラインも使用しないという徹底ぶり。さらに足元の床にプラ板を貼り付け、これを踏む音をマイクで拾って出します。カーペット敷きのLADY JANEならではのセッティング。
１．Desert for dessert
２．Joujoushka
３．UBT#13
（休憩）
４．クローム襲来
５．Method of panic
６．UBT#12
７．D.V.Bleach
前半はガットギターを使用して３曲。ガットギターということでスパニッシュ風やクラシック風に聴こえる部分も交えつつの演奏。とにかく超人的なテクニックですが、それを曲を構築（時には脱構築）する方向一点に絞っての演奏です。当然複雑怪奇なポリリズムやテーマフレーズなどが満載ですが、ギター１本のみでアンサンブルがほとんど再現できてしまうのは改めて驚きました。今堀の作曲メソッドの一部を窺い知れるような、興味深い演奏ばかりでした。３は個人的には初めて聴いた、最近出来たばかりの新曲のようです。ちなみに曲タイトルについてMCで、自分で付けることは全く無く、unbeltipoになってからの曲は岸野雄一氏に付けてもらっているそうです（ティポ時代はもちろん菊地成孔による命名）。２は「チェコの農夫の名前」だそうです（なぜ？）。
後半はスチール弦のギターに持ち替え、ピックを使用しての演奏。前半とは変わって、ピックによる鋭いリズムカッティングや、ブルース風のフレーズなども交えた演奏に。この辺のギターの性質による違いも面白い。今堀の足踏みである程度ベーシックなリズムがつかめるかと思ってみていたのですが、気がつくとギターの演奏と聴感上全く違ったリズムを踏んでいる（もちろん今堀的にはポリリズムでぴったり合っている）ので、全く油断がなりません(^_^;)。６は昨年10月に見たPIT-INNのライヴでも演奏していた新し目の曲ですが、ギター１台のみでも３人でのアンサンブル並のポリリズム感が感じられるのが面白いです。
今堀によると、今年は轟音トリオ（本人は轟音にする気はないそうですが、編成を見たPAの人がそうしてしまうのだとか）に加え、今回のソロのような小音量・小編成でのユニットも並行してやっていくそうで、次回は清水一登とのデュオでUBTの曲をやるとか。さらに年内には小編成ユニットをまとめた形の活動（レコーディングかライヴ？）も予定しているそうです。トリオ以前の打ち込みをベースにしたものとは全く違った方向性になるようですが、果たしてどんなものが見られるでしょうか。楽しみです。