山下洋輔、ナスノミツル、吉田達也
2006/10/1 吉祥寺MANDALA-2
山下洋輔(p)、ナスノミツル(b)、吉田達也(ds,vo)のトリオによるライヴです。最近はジャズ系のミュージシャンとも共演の多い吉田ですが、山下との共演はおそらく初。菊地雅章以来の大物との対決です。
ステージ向かって左から山下のグランドピアノ、おなじみプレシジョンベースを持ったナスノ、吉田のドラムセットと並びます。吉田は２タム１フロアのセットでセカンドスネアは使用せず。右手側にレコーディング用のiBookをセットしています。この日の音源もいつかリリースされるでしょう。
１．３人がステージに現れて位置につき、しばらくの静寂の後にいきなり３者ハイスパートの演奏でスタート。吉田は要所に７拍子や５拍子の定型リズムを入れたりしますが、あまり持続せずすぐにクラッシュしたり次に展開したりします。山下対ナスノ＆吉田という変則タッグマッチの図式となりますが、山下は音数・音量とも相手の２人に負けず互角のバトルです。基本的にこの日の演奏は全てこうした全編直球勝負のガチンコバトルで展開。後半に出てくるマグマばりの重いファンクロック風のリズムに山下の突っ走るフレーズが乗る場面はこの組合せならではの面白さ。ノンストップで３０分弱のこの日一番のロングセット。
２．今度は静かな立ち上がりから、山下のメロディアスなプレイに吉田のヴォイスが乗る形で盛り上がっていき、やはり３人爆裂するバトルへ。１０分弱。ここで休憩。
３．後半最初のセットは、３者がポリリズミックにぶつかり合う隙間の多いやりとりから、多彩な７拍子のバリエーションをへて、最後は山下の提示したリフレインに吉田とナスノが合わせる形で終了。１０分弱。
４．フリーな中にポップな要素が所々に顔を出すユニークな演奏。途中で出てくる吉田の５拍子に、ナスノが３・４拍子のリフをポリリズミックにぶつける場面が面白い。１０分強。
ここでいったん長めのMC休憩(^_^;)。主な内容は以下の通り。
・来年１月のオペラシティリサイタルホールでの山下のコンサートで、超大物ピアニストC.T.とピアノデュオを行うとの事（オフィシャル告知しているのかわからないので一応イニシャルのまま）。まさか酔っぱらった山本精一が「セ○ルで〜す」とか言って出て来ないとは思いますが（それなら個人的に是非見たい(^_^;)）。
・10月2日の石橋英子＋ナスノ＋吉田ではジェネシスの"TIME TABLE"をカバーするとか。
・10月16日の是巨人＆大文字のライヴは、両バンドの時間は短くして、合体バンド「大巨人」での演奏を「CD1枚分ぐらい（笑）」やるそうです。
・11月27日の今堀＆吉田レコ発では、会場限定で未発表曲を収録したCD-Rをつけて販売するそうです「没テイク・・・って言ったらまずいか（笑）」
５．ナスノがベースアンプに向かい、さまざまな種類のフィードバックノイズを繰り出し、これにあとの２人の演奏が乗る形で展開。１０分弱。
６．山下の指示（？）で、吉田の早口ヴォイスに山下の高速ピアノが加わる形でスタートする演奏。約５分。
７．アンコールセット。山下と吉田の激しいバトルの合間で、ナスノがペダルポイント＆ファズトーンを使ったメロディアスな流れを入れるのが面白い演奏。約５分。
トータル時間は短めでしたが、演奏の密度（というか出演者の疲労度）はかなり高めのライヴでした。ピットインなどではなく、PAの強力なこの会場でやったのは正解だったかもしれません。私の位置から山下の手の動きはやや見づらかったですが、彼の気合いが入ったり、楽しげに笑ったりしながら演奏している表情がその音を雄弁に物語っています。こうしたライヴを見ると、まだまだ山下のパワーは健在と感じられます。しかし、一噌幸弘から灰野敬二、そして今回の山下と誰を相手にしても相手に合わせることなく自身のスタイルを押し通してアンサンブルを成立させてしまうナスノと吉田には改めて脱帽。