石橋英子＋吉田達也、鬼怒無月＋ナスノミツル＋吉田達也
2006/11/30 高円寺ペンギンハウス
"PULSE BEAT"と銘打たれた、MONG-HANGやPANIC SMILEで活動する石橋英子を中心にしたライヴ企画です。客層が普段の是巨人のライヴとはちょっと違ったように感じられたのは石橋方面からの人が多かったせいでしょうか。
・石橋英子＋吉田達也
１．ホスピタル（石橋の曲）
２．Ffilhizabmn（ルインズの曲）
３．Komnigriss（ルインズの曲）
４．As Long As He Lies Perfectly Still（ソフト・マシーンの曲）＋鬼怒
５．Twilight Furniture（ディス・ヒートの曲）
６．Time Table（ジェネシスの曲）＋ナスノ
７．（戸川純バンドのために書いた曲）
８．ベラのテーマ（石橋の曲）
９．詩人と農夫（是巨人の曲）
１０．クラシックメドレー（ルインズの曲）
石橋は店置きのピアノを使用。吉田に対して背を向ける形となるため、ピアノの上に鏡を置いて吉田の様子を見ながらの演奏となります。鏡がずれてしまって演奏をやり直す場面も。石橋はルインズや是巨人の曲は譜面を見ながら演奏していましたが、自分で起こしたんでしょうか。
１はインスト曲。小じゃれた感じですが、１３拍子と１２拍子が交錯するかなり難易度の高い曲。２と３はルインズの曲。２では吉田は小型サンプラーを使ってリフパートを出し入れします。ピアノを使ったアレンジだとオリジナルとはかなり違った印象を受けます。３はソフト・マシーンの"Volume 2"のB面１曲目。リハで聴いて「俺もやりたい」と立候補した鬼怒を急遽加えての演奏。吉田＆石橋のコーラスをフィーチュアし、中間部はリフをサンプラーに任せて石橋はフルートのソロ。５はディス・ヒートのファーストアルバム収録曲。やはり２人のコーラスを中心に、マレット打ちの淡々としたドラムと音数を減らしたピアノによる渋めの演奏。６はジェネシスの"Foxtrot"収録曲。ナスノを加えた３人での演奏。石橋がメインヴォーカルを取り、さびのコーラスで吉田が入ってくる形。ピアノを中心にした楽器編成とナスノのオリジナルにかなり忠実なベースラインにより、かなり正統派の仕上がり。しかしカバーで取り上げた３曲はいずれも渋いところばかりで面白い。７は吉田が戸川純バンド用に書いたが、「歌いにくい」という理由で没になったという曲。速いテンポの５拍子や７拍子が随時挿入される、確かにこれは歌いにくい曲。８は突っ走るリズムとメロディアスな歌と展開の組合せが絶妙な曲。石橋の２曲はいずれもクオリティの高いもので、もっと聴いてみたい気にさせられます。９は是巨人の曲。サンプラーとフルートによる途中のパートが７拍子になっていたり、一部のパートがピアノアレンジに合わせてテンポを落としていたりとオリジナルと変わっている部分が面白い。最後はピアノ入り編成でのお約束、クラシックメドレーで終了。５０分弱の演奏時間。ここで休憩。
・鬼怒無月＋ナスノミツル＋吉田達也
是巨人の３人が「たまには難しくない事もやりたい」ということでインプロをやってみようという企画です。「３人の新しい出会いを・・・」「出会い系インプロ？（笑）」なんてやりとりから演奏開始。１セット目は彼ららしいハイスピードで次々と展開していく派手な演奏。ナスノはなにげに是巨人の曲"Betwixt"のベースラインを弾いていましたが、あとの２人に気づいてもらえずに「ちゃんと人の演奏を聴きながらやろうよ！（笑）」２セット目は比較的抑えた場面やミニマル・ポリリズム的な部分も加えつつの演奏。３セット目の前にナスノが照明を暗めにするよう頼んだところから話が進んで、３セット目は３人に縁の深い某ミュージシャン（「内緒ね」ということなので名を伏せますが、まあバレバレですね(^_^;)）風味の演奏。鬼怒の物まねぶりがなかなかリアルで客席、ステージ上ともも爆笑。終わったあと鬼怒は「あー疲れた。○○さんって体力あるよねー（笑）」そして熱演のあまり弦を切ってしまい、さらに張り替えたばかりの弦まで切れてしまったため、しばしステージ上はMCというよりメンバーの雑談タイムへ突入(^_^;)。ここで吉田とのデュオアルバムを作った今堀恒雄の話題になり（これもオフレコ秘話あり）、流れ上今度は今堀風の演奏ということに。話題に出た今堀スタイルを意識した（？）演奏でしたが、鬼怒のフレーズやコードの入れ方がこれまたちゃんと今堀風で面白いです。
ここからはアンコールまで石橋を加えた４人での演奏へ。
１．Nervecell（是巨人の曲）
２．She Makes Me（クイーンの曲）
（アンコール）
３．詩人と農夫
１は石橋はピアノによる鬼怒のパートに近い演奏。鬼怒は石橋に基本パートをまかせ、通常とは違ったフレーズを入れるなど、３人での演奏とはまた違った味があって面白い。２はナスノの希望で採り上げられた、クイーンの「シアー・ハート・アタック」収録曲。ナスノと石橋のコーラスを中心に進行。中間部の鬼怒のソロパートはディレイで音を重ねて、ちょっとだけブライアン・メイ風味に。アンコールは前半にデュオでやった曲を４人で再演。アンコールは決めていなかったようで、鬼怒とナスノが必死に曲展開をおさらいしていたのが面白かった。普段何気なくやっているように聞こえる曲ですが、実際は大変なんですねえ。後半は途中の時間ロスがあったため、１時間２０分近い演奏時間に。
新鮮味の感じられる、充実した内容のライヴでした。個人的にはこれをシリーズ化して、毎回新ネタを入れつつ続けてほしいところです。