sgt.、THE WORLD HERITAGE
2006/12/1 青山・月見ル君想フ
sgt.の主催するライヴシリーズ「生命 VOL.12」、ゲストにTHE WORLD HERITAGEを迎えてのライヴです。この日はゲストのWORLD HERITAGEが先攻です。
・THE WORLD HERITAGE（鬼怒無月g、勝井祐二vln、ナスノミツルb、吉田達也ds）
鬼怒はストラトと12弦アコギを使用。吉田はREMOのセットを使用。後でsgt.も同じセットを使っていたので借りたんでしょうか。この日は司会進行はなぜかナスノが(^_^;)。
１．比較的疾走度の高いインプロセットからスタート。前日に勝井を抜いた３人でのインプロを聴いていますが、勝井が１人入るだけでぐっと印象が変わることがよく判ります。それは特に鬼怒に顕著で、前日のトリオでは先頭を切って突っ走っていく形が、この日は勝井のプレイと相互反応しながら展開をしていきます。ボンフルが最近ライヴを行っていないので、鬼怒と勝井がバンド編成でガンガンぶつかり合うのは最近ではこのWORLD HERITAGEがほぼ唯一といっていいですが、さすがに長年のパートナーだけあって相変わらず息はピッタリです。
２．鬼怒は12弦アコギに持ち替え、吉田の素手で叩くドラムなどを交えて静かに立ち上がります。この編成でアコギを使うのは今までありそうでなかったので面白い。終盤はまた疾走バトルとなったため、音量的にちょっと厳しかったですが、今後はダラブッカやアコースティック・ヴァイオリンなんかも使ったセットもやると面白いかもしれません。
３．勝井のディレイ重ねによる１人ストリングスアンサンブルに、鬼怒のボトルネック奏法、ナスノのブルージーな３連リズムが加わる形でスタート。その後は速いテンポの５拍子リズムを中心に展開。途中鬼怒のタッピングディレイを使ったミニマル的な展開も挟みます。しかし、変拍子をこれほど長時間に渡って正確にキープし、それをベースに延々即興を続けるというのも凄いもんです。
４．全員にマイクを回しての告知MCコーナーを挟んで最終セットへ。鬼怒はイントロ部分だけ12弦アコギを使用し、その後ストラトへ。１セット目に近い感じの演奏で終了。この日は「世界遺産のテーマ」は演奏しませんでした(^_^;)。１時間弱で終了。
・sgt.
バンド名通り（？）、ビートルズの「サージェント・ペパーズ」を出囃子に登場。g、b、vln、dsの４人編成のバンド。gとdsは勝井と共演歴のあるバンド、旅団のメンバーでもあるようです。ヴァイオリン奏者は女性。ZETAの４弦エレクトリックを使用し、音的には勝井の影響が強い印象を受けました（使用エフェクトもかなり似ていたような）。gはエフェクトを多数使用し、ノイジーなドローン風の音色を多用します。そのノイズドローン音の洪水の中からヴァイオリンの叙情的なメロディが現れ、シンプルなコード進行とタイトなリズムが加わる形。ちょっとGY!BEをコンパクトにして、メロディアスにしたような印象か。決して難しいことをやっているわけではないですが、スケールの大きさを感じさせる良質の音楽です。場面転換が効果的で、映像的な音作りです。後半はゲストのキーボード＆サックス奏者を加えた５人編成で、セッション的要素の強い演奏となりましたが、個人的にはしっかりと構成された前半の演奏の方が魅力的に感じました。１時間ほどで終了。
この会場のブッキングは、ベテランバンドと若手という組み合わせのツーマンが多く、単独では見に行く機会のなさそうな若手バンドのライヴを見ることが出来るのが良いところです。たまにはこういうのも新鮮味があっていいですね。