Bill Laswell、山下洋輔、坂田明、吉田達也
2007/4/30 新宿PIT-INN
ビル・ラズウェルの"TOKYO ROTATION"3日目、この日は坂田明、吉田達也とのトリオを中心にしたセッションです。私が観戦した1stセットはこれに山下洋輔を加えた4人での演奏。ちなみに2ndのゲストは大友良英ですが、ひょっとしたら山下も飛び入りで参戦していたかもしれません。
１．まずは坂田のアルトサックスとアンビエントなベースのバッキングを中心にメロディアスな展開からスタート。吉田はスネアにタオルを置いてミュートした音色でプレイ。リズムが明確になってからは吉田とラズウェルによるロック色の強いリズムパートと山下＆坂田のフリージャズ的インタープレイのぶつかり合い。聴感上はハイレベルなジャズロックという感じ。10分過ぎに坂田が吹くのをやめるとそこからは激しいピアノトリオに。とにかく山下と吉田のバトルの力の入りっぷりが凄い。この間、坂田はステージ中央ですっかり客になってました(^_^;)。坂田がアルトを手にとって、演奏が落ち着いたところで吹こうかとしたところで、拍手が起きてしまっていったん終了。約15分。
２．坂田のサックスソロから演奏再開。ラズウェルはここでフェンダーのプレシジョンからグレッチのペースに持ち替え、ギターぽい音色＆奏法での演奏。速いBPMをベースに次々にリズムチェンジしていく展開に。リズムセクションが抜けて山下と坂田のデュオから吉田が入ってフリートリオとなり、ラズウェルが再びプレベに持ち替えてからは、ラズウェルの重いレゲエ風のベースラインを軸にした演奏。吉田はリムショット等も多用しますが決して普通のレゲエ風のリズムにはならないのが面白い。続く山下のソロの場面では得意の肘打ち、平手打ちが炸裂！ その後はリズムセクションが入って爆走ピアノトリオ、ディレイを多用したアンビエント名ベースソロを挟んで坂田のヴォイスソロへ。得意の「東の野にかぎろひの立つ見えて」を熱唱。最後はラズウェルのランニングベース、吉田のライドシンバルを多用したドラムとジャズ「風」の演奏で終了。約25分。
３．坂田のクラリネットによる叙情的なソロからスタート。これに静かなピアノのバッキング、抑え気味のリズムが入りメロディアスなアンサンブルへ。徐々にリズムが走り出してからは３＋４拍子のポリリズム的な展開のピアノトリオへ。続く吉田＆ラズウェルのデュオでは、ラズウェルのオートワウを強烈に効かせたベースの音色が凄い。ベースソロの後半でファズを入れてロックぽいリフを弾き出すと、これに全員合わせる形で全員爆走して大団円。約15分の演奏。アンコールは無し。
８ビート一本で勝負する28日とは対照的に、フリーにも定型ビートにも対応できる吉田とラズウェルによるかなり多彩なアンサンブルが楽しめました。特にロック色の強いリズムパートをバックに山下と坂田がインタープレイを繰り広げる場面はかなり面白い。吉田と山下は昨年のナスノを加えたトリオでも好演だったので、また違った形態での共演を見てみたいところです。