今堀恒雄 Unbeltipo +
2007/8/11 新宿PIT-INN
今堀恒雄 Unbeltipoのアルバム"Pheasantism"の発売記念ツアーの一環として行われた本公演は、「スタジオテイクを再現するため」ということで多数のゲストを加えた大編成でのライヴです。メンバー及び配置は以下の通り。
ナスノミツル(b) 佐野康夫(ds) 岡部洋一(perc)
清水一登(p) 梅津和時(sax) MIYA(fl) 相内昭徳(tb) 松本治(tb) 今堀恒雄(g)
楽器編成的にティポグラフィカにかなり似ていて、なおかつ松本以外のメンバーが一新されているところが興味深いところです。岡部はジュンジュン、ジャンベ、トゥバーノ×２、ボンゴ、カホン、ウィンドチャイム他金物類を使用。佐野は１タム１フロア（フロア部はスタンド固定のミッドタム程度の大きさのもの）のセッティング。清水はグランドピアノとシンセ１台（音源は横のモジュールのもの）。ナスノはテーブル上にディレイ、足下にはベースシンセ、ファズ、ヴォリュームペダルを配備。今堀は２月のライヴでも使っていたエレハのディレイ＋フットコントローラーを今回も使用。梅津はアルトサックス、クラリネット、バスクラを持ち替えて使用。
１．Dash Freezing (UBT#15)
２．Method Of Panic
３．The Tape Eater (UBT#16)
４．Secom Man Walking (UBT#14)
（休憩）
５．UBT#18
６．Pheasantism (UBT#11)
７．Oil On The Pan On Canvas (UBT#12)
８．Back Stage Moss (UBT#17)
９．The Grid Of The Wind (UBT#13)
（アンコール）
１０．D.V.Bleach
１は集団即興ぽくスタートし、テーマ部では管パートが重なってアンサンブルがかなり厚くなり、いつものトリオとはかなり違った印象。特にトロンボーン２本というのが硬質なリズムセクションと対照的な柔らかい音で面白い。また、梅津や清水のソロなどゲストパートのソロ回し場面でもトリオ時とはひと味違ったリズムアンサンブルが聴かれます。清水はピアノや薄目のオルガン音色でのバッキングパート等でソロ以外の場面でもフル稼働。２の中間部は集団即興的なパートも出てきます。３はナスノのディレイや今堀のエフェクトなども加えた音響インプロぽい場面からスタート。途中でMIYAのソロパートも。彼女が入ったアンサンブルはどことなくラテン風味が感じられるのが面白い。これはティポ時代には無かった新要素。
後半はナスノにMCマイクが渡って曲間にまったりとした喋りを挟みながら進行。冒頭の５は最新曲をトリオのみで演奏。解釈不能ないびつなリズムと思われる前半からグルーヴ感のある３拍子系のリズムが中盤以降浮かび上がってくる場面が鮮やかな曲。６はトリオに清水・岡部を加えた５人での演奏。この編成だとトリオのフレキシビリティも保ちつつリズムやアンサンブルもちょっと厚くできるなかなか良い感じ。この５人編成もセミレギュラー的に定期的にやっても良いのでは。７以降は再び全員での演奏。ここでナスノのMCで緩みすぎたか？ 今堀が曲を間違えるハプニング。「間違ったタイトル言っても反応無いって事はみんな番号でしか把握してないんですね（笑）」岡部のカホンの叩く音が佐野のドラムとほぼツインドラム状態で凄い。８では松本のソロをフィーチュア。もう１人のtb奏者の相内は松本のお弟子さんだそうで、ソロを取る場面はありませんでしたが松本と２人で管アンサンブルを支える役回り。９は前半のテンポが徐々に上がっていく場面での清水のピアノソロが凄まじい。中盤のドラムソロではヴィブラフォン音色でのバッキングも聴かせます。アンコール１０は岡部のパーカッションも加わってトリオ時よりかなり派手目の演奏に。ソロ回し場面ではナスノのファンク調のベースラインをバックに梅津・MIYAと続きます。結局トータル２時間半以上。終演時間は23時20分にも及んでいました。
ティポグラフィカ解散から１０年、遂にこの音が帰ってきたかという感慨を覚えたライヴでした。とにかくリハ１回（しかもリハ後に大量の譜面を送りつけて「当日までに準備お願いします」とか非道(^_^;)）でこのクオリティ。さすがに毎回このメンツを集めるのは厳しいので、年１〜２回程度でいいからセミレギュラー化して欲しいものです。また、この顔ぶれで昔のティポの曲をカバーしてみるというのも面白いかも知れません。
この日は演奏も長かったですがMCもかなり長め。特に面白かったのは以下の通り。
・モットーは「譜面は目安です」今ツアーから佐野が暗譜になりました。
・岡部と佐野の昔のエピソードで、新ピ朝の部の出演依頼を電報で誘ってそれがギャラより高く付いたとか(^_^;) 今堀「鳩じゃなくて良かった」
・ナスノと岡部は一昨年のサンタナカバーが初共演だったそうで。トラップドラムの岡部とナスノのリズムセクションをフィーチュアしたバンドなんて面白そうですが、誰かやらない？
・各自ライヴ予定を告知する中、岡部だけは「甲府に旅行！」これには全員爆笑