この日もステージ上は中央に山本が座るのみで、左後方にアンプが１台あるだけでステージ上は閑散としています。山本は黒ストラト１台のみを使用。エフェクターはIbanezの緑のオーバードライブ、BOSSの黄色のオーバードライブ、METAZL ZONE、ピッチシフター、リバーブ、ギガディレイ、コンパクト型ディレイ。

　１．Turn Turn Turn （ピート・シーガー）
　２．Circle Game （ジョニ・ミッチェル）
　３．（一人でいると何かが〜）
　４．何かある
　５．もの投げるなや
　６．（水には水だけの　土には土だけの〜）
　７．（思ったより世界は静かだ〜）
　８．パソコン
（休憩？）
　９．バケツの歌
１０．太っ腹
１１．（当たり前に疲れてる〜）
１２．（朝目が覚めたらどこかでさよなら〜）
１３．夢の半周
（アンコール）
１４．名前なんて付けたくないうた
１５．空の名前
１６．人形が好きなんだ

（曲名不明のものは歌い出し部分を記載）

ちなみに開演前のBGMはロジャー・ニコルズ（昨年１０月のライヴで山本が「ドリフター」をカバーした）。冒頭２曲はいきなりのカバー、しかも山本の趣味性が強いフォークナンバーを直球の弾き語りで。「今日は僕の曲はあまりやりませんから」とMCで脅してましたが、結局カバーはこの２曲だけでした（個人的にはカバー大会にちょっと期待してしまいましたが(^_^;)。３からは山本ナンバーが続きます。この日は前回のライヴで使っていたバックトラックやCDJなどは使用せず、代わってギガディレイを使ってループ＆重ねを多用していました。この３でも中間部で使用。おなじみの「なぞなぞ」ナンバー２曲を挟んで、６は初めて聴く曲。この日は前２回のライヴであった意味不明のショートナンバーはありませんでしたが、代わって６、８、１１と初めて聴く３曲が加わっています（東京以外のライヴではすでに披露済の曲かもしれません）。しかもこれらの曲がまた完成度が高い。曲の構成自体は極めてシンプルなのですが、とにかく歌詞が凄い。例によって難解な言葉を全く使用しないのに、予想もしない物語展開や、がらっと場面が変わったかと思いきやしばらくすると元の世界観に戻るといった感じで、先が全く読めないスリリングさが感じられます。これは山本らによるインプロ・セッションの音の展開の仕方に共通するものがあって、非常に興味深かったです。６では終盤、なぜかボサノヴァ風のコード展開のギターとスキャットが入ったりしますが、これは曲の一部なのかは不明。７は過去２回のライヴでも演奏された日常的で叙情的な曲。８はフィードバック量を目一杯上げたディレイをかけたギターをバックにこれまた独特すぎる世界の歌詞が展開される曲。この曲は珍しく山本がタイトルを言いましたが、歌詞の中でパソコンという言葉が出てくるのが最後の一節だけという(^_^;)。

ここまで１時間弱演奏し、「これで終わりです」と山本は引っ込んでしまいます。当然アンコールの拍手が起きますが、再び出てきた山本は「さっきまでが本編。このあとは好きにやらせてもらいます。それまで１０分の休憩」しかし山本は客電が付き、店内BGMが流れてもステージに居すわり続け、「CMのつもりで適当に歌ってますから」と言いつつ９を歌い出します。個人的にはこの曲好きなので、まさかここで聴けるとは思わず嬉しかった。さらにP-VINEから想い出波止場の旧作が再発されるので、その販促（？）をかねて１０を歌います。２番の歌詞はアルバム収録に近いヴァージョン。以前ペンギンハウスで歌ったときの２番の歌詞は何だったんでしょうか(^_^;)。１１は６、８に通ずる完成度が高い曲。１２は過去２回のライヴでもやっている曲ですが、歌詞がかなり変わっています。この辺のよく知っている曲の歌詞の一部を変えることにより、聞き手を覚醒させる効果は倉地久美夫の持ち味にも共通するものが感じられます。しかし山本の歌詞に出てくるコンビニはファミマが多いのは何故でしょう(^_^;)。曲の終盤はピッチシフターやディレイを使った幻想的な音空間を作り出し、それとクロスフェードするかのように１３へ。曲の中間部でもディレイを効果的に使って歌詞世界を補完します。ここで本編は終了。そして今度こそ本当の（？）アンコールへ。１４を歌ったあと、１５を歌おうとしますがなかなかコード進行が思い出せない場面も。最後に客席から何を歌うかリクエストを募りますが、遠慮深い人が多いのとせっかく出た曲も歌詞カードが無い等で没となり、結局用意してあったと思われる１６を歌って終了。後半はアンコールも含めて約１時間。