向かって左側に佐藤、右側に芳垣が配置。佐藤はギブソンSGタイプのベースを２本、アンプはマーシャル２台を並べて使用。芳垣はシルバーのパールの１タム１フロアのセット。カウベルや２枚重ねのシンバルも使用。この日は２バス構成ではありませんでした。ゲストの今堀は中央奥寄りの位置。水色のストラト１本のみを使用し、通常のアンプセットに加えてこちらもマーシャルを１本追加しています。

１．まずは佐藤と芳垣の２人による演奏からスタート。完全即興ですが佐藤の弾くフレーズが通常のロック的な要素が強い為（もちろん音数や音圧は普通ではないですが）、アヴァン色は薄めで割ととっつきやすい印象の演奏。芳垣もあまり変則的なリズムは出さず佐藤の弾きまくりのバックに回るように比較的シンプルなリズムを刻む場面が目立ちます。佐藤はロータリー系エフェクトを使ったり、ディレイループを使うなどして演奏に変化をつけていきます。約１５分の演奏。

２．今堀が加わり３人での演奏。まずはトリオでのインプロセッションから。今堀のプレイはunbeltipoでの「解体再構築されたブルース」とは一味違う、割とまっとうにブルージーなフレーズを繰り出す場面が目立ちます。スクエアなリズムから３拍子系に転換するなどポリリズミックな展開なども交えて１０分強演奏を続け、その後ノンストップで"SPOONFUL"の演奏へと移行。この曲はハウリン・ウルフの曲で鬼怒無月がよく取り上げるので個人的にはなじみの深い曲ですが、クリームもやっていたんですねえ。最初の歌パートはやや押さえ目の演奏をバックに、中間部のインストパートは高速リズム＆ギターソロで大いに盛り上げ、再び出てくる歌パートでは最初とは全く異なるヘヴィなベースリフを中心にしたアレンジで聴かせるあたりはさすがです。トータル約３０分の演奏。ここで前半終了。

３．後半も最初は２人での演奏からスタート。ここでは変拍子のベースリフを交え、クロスリズム的な展開が目立ちます。後半は佐藤のMC等も交えながら１０分〜１５分の演奏が続きます。

４．以後は今堀を加えてのトリオでの演奏。１２月にジャック・ブルースが来日してブルーノートで公演を行うんだそうで、それを記念して（？）関連曲が続きます。ここでは佐藤の作曲した"LETTER TO JACK"という曲を演奏。ベースを持ち替えた佐藤の細かいアルペジオを使った静謐なパートと、一転して音数＆動きの多いベースパートを中心に爆走するパートのコントラストが鮮やかな曲。

５．インスト曲（インプロセッション）。「今堀さんのご発声から」ということでギターのゆったりとした刻みに少しずつ隙間を埋めていくように音が加わっていく形で進行する演奏。

６．本セット最後の曲はおなじみ"SUNSHINE OF YOUR LOVE"ですが、ここではベース＆ドラムスが高速４ビート、歌とギターがオリジナルのテンポで演奏するという二重構造的なアレンジ。それぞれ異なったテンポでベースを弾きながら歌う佐藤は凄い。サビのところでリズムがちゃんとノーマルに戻ってくるところもさすが。このあたりは芸力の違いといったところでしょうか。

７．アンコールセットは芳垣もヴォーカルで加わって"I'M SO GLAD"を、これはオリジナルに忠実な形で演奏して終了。後半はトータル１時間強の演奏でした。