ステージ上は向かって左に千住、右に山本という配置。2人ともステージの後方に位置していて、ステージ前半分はがらんとしているのが可笑しい。山本は黒ストラトを中心に、Eastman ER1ギターとスチール弦のアコギを使用。アコギはサウンドホールにコンタクトマイクを付けた形。エフェクターは詳細確認できませんでしたが、おそらくTube Screamer、Dual Overdrive、ピッチシフター、ディレイ、リバーブだったと思われます。アンプは2台使用し、それぞれに2本ずつマイクが立てられています。千住はヤマハの白の1タム1フロアのセット。スネアにはタオルを置いてミュートして使用し、またブラシを使ってアタックの強さや音量を抑えて演奏する場面が目立ちました。会場は過去の山本のライヴでもやっていた、青い照明の前にビニールを下げて海中のようなゆらぎのある効果を出すもの。また、ミラーボールも使用していました。
１．日蝕
２．人形が好きなんだ
３．赤ん坊の目
４．とぶ人
５．水
６．宝石の海
７．Playground
８．（次のアルバム収録曲）
９．鼻
１０．Days
１１．待ち合わせ
１２．めざめのバラッド
１３．名前なんて付けたくない歌
１４．ふたつの木のうた
（アンコール）
１５．まさおの歌
１６．夢の半周
１７．空の名前
（再アンコール）
１８．Candy Says
１９．You Know My Loneliness
１〜３は山本ソロ、４〜１９は千住とのデュオ
まずはディレイギターを中心にした静謐な１からスタート。次いで「なぞなぞ」収録曲２〜３と続きます。ここまで来たところで山本は初めて「こんばんわ」と口を開きます。そして千住を呼び込み、自らはER1にギターを持ち替えてPHEWとのデュオアルバム「幸福のとびら」にも収録されている４を演奏。７月に見たライヴでこの曲をやっていてちょっと意外だったんですが、Playgroundに入っているからだったんですね。千住のプレイは山本の弾き語りをサポートするため、手数・音量とも通常よりもかなり控えめです。続いてストラトに再び持ち替えてPlayground収録の５〜６と続きます。６あたりからはファズトーンも使い始め、ラウドな面も少しずつ見せ始めます。７ではアコギを使用。パーカッシヴな奏法を中心にしたバッキングと千住のリム打ちを多用したプレイが好相性。８は次のアルバム収録予定という曲。これはもう録音を始めていて、来年早々にはリリース予定とのこと。Playgroundの後編的な位置づけだそうで、よりロック色が強くなっているとか。確かにこの曲、イントロや間奏部はファズトーンを使っていますが、メインパートはやはり歌をしっかり聴かせる構成で、途中リズムチェンジが入るなど凝った構成の曲。９は「幸福のとびら」収録曲ですが、山本が歌うヴァージョンで聴くのは私は初めてです。これはレアかも。１０〜１２はまたPlayground収録曲が続きます。１０は歌パートが終わって最後のインストパートに入るところで、千住がさっとスネアのタオルを取ってシャープな音に移行する場面展開が鮮やか。１２は山本のかなり激しく音程をずらしたピッチシフターをかけたギターを使ったギタープレイが印象的で、インスト場面では千住とのバトルインプロ的な要素も強くなります。「今日は主要なレパートリーは全部やります」ということで、「なぞなぞ」のキメ曲１３を演奏した後、最後はPlaygroundのラス曲１４で意外とあっさり目に本編は終了。ここまで約１時間半。
アンコールで出てきた山本は「時間があと４０分あるので持ち曲を全部やります」と宣言し、１５〜１７を立て続けに３曲演奏。まさに名曲ぞろいです。３曲終えて引っ込んだところで再度のアンコール。ここで山本はいろいろ悩んだ挙句ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバー曲１８を選択。これは７月のライヴでは未汐麻衣とのデュオで歌っていた曲。山本は外していたサングラスをここでまた着用。「ヴェルヴェットやるからね（笑）」そして次の曲も迷った後「バケツの歌にしようかな」と言った後、それではなく昨年の想い出波止場のツアーでやっていた１９を演奏。この曲は山本ソロ的な色の強い曲なのでここで出てきても違和感はありません。ここでそれまで比較的暗めだったステージ照明が突然明るくなって、客席を煌々と照らします。演奏後山本は「照明明るすぎだよね。決してそんなふうに盛り上がってないから（笑）」そしてまだ演奏を続けるかと思わせていきなり終了。微妙に尻切れっぽい感じで終わりましたがそれでもアンコールは１回合わせて４０分弱。終わってみれば予定通りでありました。
この２人のデュオは山本の弾き語りの世界観を十分残したままで、バンド的な音の方向に持っていける自由度の高いもので、継続的に活動しても良さそうな感じでした。次のアルバムリリース時にもこの形態でのレコ発ライヴをやって欲しいところです。