今堀恒雄unbeltipo 5/16

今堀恒雄unbeltipo

2012/5/16　高円寺JIROKICHI

今堀恒雄のユニット、ウンベルティポのライヴです。私がライヴを見るのは昨年4月以来約1年ぶり。この日はツアーの一環というわけではなく、ぽっかりと1日だけライヴが入っていて気になって行ってみたら、案の定「今秋（10月ごろ？）」までこのトリオでのライヴはありません」との事。今回見逃した人はちょっと後悔かもしれません。

ステージ配置は向かって左からナスノ、佐野、今堀という並び。前回見たときと今堀とナスノの位置が逆になっていてちょっと戸惑いました。ナスノはBOSSのBASS OVER DRIVE、SHIN'S MUSICのファズ、ヴォリュームペダルとここまではいつも使っているエフェクターですが、この日はローランドのDC-20（アナログディレイ）を使用。これはヴィンテージと言っても過言ではない、テープエコーでもデジタルでもない当時主流だったBBEタイプのディレイ。独特のローファイな音質が逆にマイルドな温かみを演出しています。ナスノはこれをアンプのキャビネットの上に置き、演奏中も頻繁にセッティングを変えていきます。これまで使っていたDIGITECHのいかにもデジタルな効果とは正反対のアプローチなのが面白い。佐野はYAMAHAの１タム１フロアのセットで、スネアはもちろんCANOPUSが作っている佐野のシグネチャーモデル。このスネアは佐野のほしい音が出せるよう最大限の希望を取り入れて作ったものだそうで、現在完全受注生産で一般にも販売していますが、なんと佐野自身も予約を入れていて発売を待っているんだそうです(^_^;)。佐野「すでに2台持ってるんだけどもう1台欲しくて（笑）」ドラマーの方はぜひ1台いかがでしょう（ステマ）。今堀は水色のストラトを使用。この日もエレハのディレイを使って２台目のアンプに音を飛ばしていました。

１．UBT#20 - Ungentlemanly bat turn
２．UBT#25
３．UBT#19 - Uglier Beastlier Tailless
（休憩）
４．UBT#29（新曲）
５．UBT#27
６．UBT#28
（アンコール）
７．The Grid of the Wind

この日は前半に"Uncle Bunny Tongue"収録の１と３、アンコールに"Phaesantism"収録の７、残る４曲はアルバム未収録の最新曲群で構成。うち４の#29は本邦初演で、この曲のみ全員譜面を見ながらの演奏でした。おそらく今秋の次のライヴではいよいよ大台の#30が披露され、今堀のプランによるとそのままレコーディング、DVDリリースなどといったプランもあるようです。

１はナスノと今堀のディレイを使ったエレクトロニカ的なイントロから、バックビートの効いた疾走スクエアビート、ちょっとダウナーなレゲエ風ビート（ここでも２人のディレイによるダブ風効果が）、そして１１拍子に聞こえる（実際はシンコペで１２拍子？）終盤パートへと続きます。この日も曲数が少なく、その分１曲ごとを目いっぱい拡張して演奏します。この日は私はナスノ寄りの位置で見たんですが、ベースのマッシヴな低音がこの会場独特の板張りの床を振動させ、まさに大地を揺るがすというか、ボディソニックというか凄い音場でした。これは他会場ではなかなか味わえないでしょう。２は前編速いテンポの５拍子（５連譜？）で構成されていると以前聞いた曲ですが、何度聴いても５拍子であることを忘れて「歪んだ３拍子」に聞こえてしまいます(^_^;)後半は佐野のドラムソロを配置。３は前回ここで見たときと同様の配置で、前半セットの締め的なポジションを確立したようです。前半はトータル約５０分。

後半はまず新曲の４から。unbeltipoらしいユニゾンのキメからスタートしますが、以後は比較的シンプルなワンコードを軸に展開していきます。フレージングの随所にインドぽいフレーズが出てくるのがちょっと面白い。５はティポの「重力の虹」タイプのこの日のセットの中では異質に映る曲。今堀の解説によるとこの曲のコンセプトは「ピンポンダッシュ」「犬が水溜りにちょっと足を入れてみて、すぐ引っ込める様子」だそうです。うーん、なんだかわかったようなわからないような(^_^;)。本編ラストの６はナスノのソロから始まって徐々にモザイク的にアンサンブルが構築され、以後は基本BPMはそのままで５拍子・３拍子・４拍子とモーフィングするようにリズムチェンジしていく曲。聞いているうちにいつのまにかリズムがすり替わっていく部分は非常にスリリングです。アンコールセットの７はおなじみの曲ですが、この日はいつもに比べてテンポがかなり速めで、かつ遊びも多く入れてアンサンブルが崩壊寸前のところまで追い込んでいるのが面白い。後半は各人のMCなどもあって約７０分ほどでした。

今堀の話で面白かったのが「こうして３人で演奏しているのが自分にとって一番楽しいんです。そう見えないかもしれませんが（笑）」。いや十分伝わってますよ。他の２人も同じ意見かどうかは不明ですが(^_^;)。今堀「秋までに#29を完璧に仕上げて、それまでに#30を作りますから」２人「マジで～？（笑）」

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