Yann Pittard、ナスノミツル、吉田達也
2013/6/11 荻窪VELVET SUN
パリ在住のウード＆バリトンギター奏者、ヤン・ピタールを迎えたセッションです。ヤンと吉田はSoundcloudに共演の音源がありますが、ナスノを入れた３人で演奏するのはこの日の直前リハが初との事。注目ライヴが続いた上あいにくの悪天候でしたが意外なほど良い客入りでした。
ステージ向かって左からナスノ、吉田、ピタールという並び。ナスノはBASS OVERDRIVE、BASS SYNTH、EBS BASS IQ、Hall of Fame（リバーブ）、XOTIC BASS BB+、DIGITECHのディレイなどを使用。吉田は店置きの１タム１フロアのシルバーのセット。ピタールはウード（プラグ付き）とバリトンギター（フルアコタイプ）を使用。エフェクターはファズ系数種、WHAMMYペダル、ギガディレイ、ループステーション、トレモロ等を使用。
１．まずピタールのウードによるアラブ風のフレーズを中心にした、落ち着いたエスニック・ジャズロック的な演奏からスタート。このあたりの展開はある程度予想通りでしたが、ピタールのヴォーカルが入ってくるあたりからぐっと印象が変わってきます。かなりワイルドでパンキッシュ。あとで彼の４人いるアイドルの中にニルヴァーナが入っていると聞いて納得（ちなみにあとの３人はマイケル・ジャクソン、マイルス、そして吉田(^_^;)）。さらに吉田とナスノもヴォーカルに加わってさらに狂騒度がアップ。過去の吉田の活動で言うとロンルインズやJason Willettとやった時の音なんかを感じさせます。こういうタイプの演奏はかなり久々なので新鮮でした。この日は長短さまざまなセットを多数演奏します。
２．エフェクト処理で電子ノイズのようになったウードとベースの音のやり取りからスタートし、その後疾走する演奏へ。３人のコーラスの感じが何故かやたらマグマぽいのが面白い。
３．ピタールのウードのソロにナスノがシンセベースのエフェクト音、吉田の小パーカッションが重なる演奏からスタート。エスニック＆スペイシーな音？ このあたりの対応力はさすが。その後はリズムセクションが入って疾走度の高い演奏へ移行。
４．これまたマグマを思わせる鋭角的な変拍子リズム＋執拗に繰り返されるコーラスの組み合わせによる演奏。
５．ピタールはここでバリトンギターに持ち替え。ピタールの絶叫するヴォーカル、７拍子のトランシーな場面を中心に展開。ピタールはソロを弾きまくるよりも変拍子のリフを提示する場面が目立ちます。前半は３０分ほどで終了。
６．後半もバリトンギターを使った演奏からスタート。ギターのアルペジオを使った落ち着いた展開から始まりますが最後は狂騒的な演奏で終了。
７．吉田の叩き出すブロークンなリズムから始まり、へヴィロック的な展開へ移行。
８．ピタールの提示したリフをナスノが引き継ぎ、これをベースに曲ぽい展開へ。爆速変拍子からとぼけた味のあるゆったりしたパートまで、せわしなく展開。
９．ここからピタールはウードに持ち替え、短い「アラブのチルドレン・ソング」を弾き語ってそれに吉田＆ナスノが合わせる形で４曲続きます。このネタ１０曲くらいあるとか(^_^;)。最初はピタールは客に歌わせようとしますが曲が難しくて失敗(^_^;)。いい調子の歌から美しい曲まで、なかなか多彩に聞かせます。これに適当に、しかし的確に合わせる吉田＆ナスノはさすがです。
１０．ナスノの弾くメロウなベースラインに合わせてピタールが歌う場面からスタート。その後はウードによるエキゾチックなリフを入れたり、ファズをかけて弾きまくったりと自在な演奏ぶり。
１１．ピタールはバリトンギターに持ち替え、高速５拍子から７拍子へと展開する全編テンションの高い演奏。ナスノが要所でベースリフにシンセ音を交えるのが面白い。ピタールはアラビックなフレーズを交え、ファズとピッチシフトを加えた音色で弾きまくります。ちょっとマグマのJames McGawぽい？ ここで本編は終了。
１２．アンコールセット。ピタールによる奇妙な音色＆フレージングの高速５拍子リフを中心にした演奏。
１３．さらに２度目のアンコール。ここでは再び「チルドレン・ソング」をウード弾き語りで演奏。最後はやっぱり全員爆走して終了。後半セットはアンコールも含め１時間強。
もうちょっと落ち着いたエスニック・ジャズロック的な展開になるかとの予想は裏切られましたが、これはこれで面白かった。この３人で固定ユニット化してもいいかもしれません。
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