是巨人＋梅津和時
2014/3/2 関内STORMY MONDAY
ゲストに梅津和時(sax)を迎えた是巨人のライヴです。この組み合わせはもちろん初で、果たしてどんな選曲になるかが注目です。是巨人はこの日ダブルヘッダーで、昼はクラブチッタで行われた若手のインストバンドが多数出演するフェスティバル的なライヴに出演。こちらは持ち時間が少なかったためコアなファンはあまり行っておらず、初見の客向けという感じだったようでしたが、ネットで見る限りおおむね好評のようでした。
ステージ向かって左から鬼怒、吉田、ナスノ、そして前方中央に梅津が位置します。鬼怒はハムバッカー搭載のストラトといつものエフェクターセット。吉田は店置きの２タム１フロアのセット。スネアはオリーブをボディの素材に使ったものだそうで、裏から見ると胴の部分の分厚さが凄い。ナスノはこの日はZOOM B3とヴォリュームペダルのみの簡素なセット。梅津はアルトサックスをコンタクトマイクで拾ってPAから出力。
１．Watershed
２．Lebanon
３．インプロ１
４．Jackson
（休憩）
５．Dislocation（旧Heritage）
６．インプロ２
７．Izumoya
８．Squirrelly Dragon
（アンコール）
９．Betwixt
１、５、９：是巨人のみでの演奏
まず是巨人の３人のみで１を演奏後、梅津が登場して以後３曲参加。なんでも鬼怒と梅津は風邪を引いていて、鬼怒はくしゃみと鼻水が、梅津は腹痛と悪寒がひどいとの事。梅津はそのためかかなり分厚く着込んで、椅子に座っての演奏。鬼怒「前の方の人は伝染るかもしれないので気をつけてください（笑）」４人でまず是巨人の２を演奏。あとで判ったことですが、吉田が梅津に是巨人曲の譜面を送ったのがわずか４日前で、さすがの梅津も準備が間に合わずこの日は２曲のみとなりました。吉田は「２月が３１日まであると思っていた（笑）」と平身低頭。梅津は「この曲のせいで熱が悪化した（笑）」しかし演奏した２曲では梅津はほぼ完璧な演奏。基本的なアンサンブルは鬼怒のパートにユニゾンおよびハモリで加わり、要所でソロやフリープレイを加えます。壷井がヴァイオリンで加わったときとはまた違った感じで、サックスの音色が加わることによりジャズロック的な色合いが強くなります。これがバスクラだったりすると、また違った感じになるかもしれませんが（チェンバーロックぽくなるかも）。是巨人曲が出来なかった余波で３のようなインプロセットが追加になりますが、これもなかなか面白い演奏。是巨人組の突っ走る高速ブレイクビーツ風のリズムに梅津がこちらも高速のソロを乗せたり、ナスノの出すブルージーな進行に乗せた演奏になったりと、普段の是巨人とはかなり違ったテイストの演奏が楽しめます。その延長線上で４を演奏。梅津が加わることによりオリジナルよりもぐっと「ジャクソン度（？）」がアップした演奏に。梅津の体調のためか時間は４０分弱と短めでしたが、実時間よりもかなり盛り沢山の内容でした。
後半最初は、世界遺産のライヴ用に書いた曲を是巨人用に再構成した５でスタート。これまで仮タイトルで呼ばれていましたが、「あえなく（鬼怒談）」正式タイトルがつきました。後半の梅津はやや体調が回復したか前半ほど着込んではいませんでした。６は先に書いたスネアの話題からの流れで、吉田のマーチング風のスネアソロからスタートし、前半セットのインプロとは一転かなり珍妙な展開を多数盛り込んだセットに。このあたりはまさに硬軟自在といったところです。７〜８はKIKI BANDで演奏している梅津の曲。鬼怒＆梅津はいつもどおりですが注目はやはり吉田＆ナスノのリズムセクションでどのように変わるか。７はオリジナルに比べてややヘヴィ度抑え目の演奏でスタートしますが、ギターソロのバックでリズムセクションが少しずつ暴れ出すあたりからこの２人ならではの持ち味が出てきます。そして８は複雑な譜割りが次々に登場するかなり難易度の高い曲。吉田＆ナスノは何気なく演奏していますがこれはかなり凄いことなのでは。この曲はクレツマー的なフレーズも要所に盛り込んだプログレ的にも質の高いもので、久しく見に行っていないKIKI BANDも久々に見てみたいなと思わせるのに十分なものでした。アンコールは３人で９を演奏して終了。後半は長めのMCなどもあって１時間弱の演奏でした。
吉田の譜面発送遅れや梅津の体調不良があってもこれほどの内容が聞かせられるのであれば、完璧な状態ならどこまで行けたのか、出来ればリベンジ再演で聞いてみたいところです。個人的にはかつての「ルインズ＋梅津」の再演的なものも聞いてみたいですが。
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