Nik Turner's New Space Ritual　10/15

Nik Turner's New Space Ritual

2016/10/15　新宿MARZ

元ホークウィンドのニック・ターナーのグループ、New Space Ritualの来日公演です。1996年にターナーの名前を冠したHAWKWIND名義で来日していますが、それ以来の来日。昨年はデイヴ・ブロックの本家が来日しており、こちらも負けられない（？）ところです。オリジナルメンバーがずらりと揃った前回と違い、今回はターナー以外は新顔ということもあり、客入りは程々と言った感じでした。

ステージ向かって左からGary Smart(b)、Charlie Scarr(ds)、Steve Jones(g)、そして前方中央にNik Turner(vo,ts,fl)という配置。Smartはジャズベースタイプのものを、Jonesはレスポールを使用。Scarrは１タム１フロアのシンプルなセット。キーボード類の不在に加え、ギターとベースもエフェクターを一切使用せず。ベースはともかくギターが全く使わないというのは非常に珍しい。音色はマーシャルアンプの歪みのみを使用。Turnerはヴォーカルに加えテナーサックス、フルートを使用。Turnerの音にかかっているエコー系の音以外はスペース色はほとんど無く、シンプルなハードロック的な音色がほぼ全編続きます。この辺前回来日時や昨年の本家とはかなり違っているのが興味深い。

　１．Earth Calling
　２．Born to Go
　３．Watching the Grass Grow
　４．Cybernetic Love
　５．Fallen Angel STS-51-L
　６．Sonic Savages
　７．Walking Backwards
　８．Time Crypt
　９．D-Rider
１０．（Inst）
１１．SteppenWolf
１２．Solitary Ashtray
１３．Orgone Acumulator
１４．Children of the Sun
１５．Master of Universe
１６．Brain Storm
１７．Dangle from the Angle
１８．Silver Machine
１９．Something's Not Right
２０．(standard?)

基本的なセットの流れは前日のライヴと同じだったようです。まずはアルバム"Space Ritual"と同じ１～２の流れでスタート。しかしこのアルバムからの曲はそれ以外は１３、１５、１６ぐらいと意外に少なく、その代わりにInner City Unitや2000年代に入ってからのアルバムからが多めです。このあたりは昨年の本家と同様、このバンドが現在進行形であるということの現れでしょう。音的には前述のようにハッタリや変化の少ないシンプルな演奏が続きますが、それに彩りを加えたのが女性ダンサーのMs Angelの存在。３で初登場してからは毎回衣装を変えて登場。その衣装もベリーダンス風からＳＦ風、バレリーナ、果てはタイトなスーツからナース風やチャイナドレスまで、楽器類よりもよほど荷物になったであろうほどのバリエーション。ほとんど彼女のコスプレファッションショーといった趣です(^_^;)。御歳は不明ですがプロポーションと動きのキレはなかなかのもので、バンドの音がシンプルな分ステージの華やかさや変化を一手に彼女が引き受けていた感もあります。また、９や１６では結構パワーのあるヴォイスも披露し、音の面でも貢献していました。バンドは若手ばかりで技術や体力的には十分でしたが、特にドラムのScarrが素晴らしい。ちょうど位置的に彼のスネアを叩く手元が良く見える位置だったんですが、バックビートの入れ方や小技の利かせ方が目を引きました。１７で苦戦していたように変拍子は得意ではないようでしたが...。ベースのSmartは１０あたりからはスラップ奏法を交えだすなど、実はファンク系もいけるという面が見えたりして興味深い。彼は手首が不調のようで、初日も予定されていたセットから曲数を減らしていたようです。まあそれでもこの日の２時間半と同じくらいの時間だったようで、２日目は１曲あたりの時間を縮めて予定曲を消化できたという感じだったでしょうか。終盤は１曲ごとにまだ続行可能かを確認しながら進めていたようでした。曲目は終演後に見せてもらえたセットリストを元にしたものですが、その中に入っていないサックスインスト曲１０や最後のおまけのようにやったスタンダードと思われる２０なども演奏。そういえば２０年前にもバンドがはけた後アンコール後のさらにおまけでソロでスタンダード曲を吹いていたなあ、というのを思い出したりしました。１８で前列の客１人ずつににマイクを向けて歌わせるのもお約束。

音的にスペース度が低かったのは個人的には残念でした（前回来日時の大人数によるドロドロしたフリークアウトセッションみたいな音のほうが好みなので）が、昨年の本家には無かった女性ダンサーによる華やかさや、何よりTurnerのサックス＆フルートという、HAWKSのステージにおける欠かせない要素が補完できたのでまあ満足でした。

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