さがゆき、山本精一
2017/8/30 千駄木Bar Isshee
さがゆきと山本精一のデュオライヴです。この２人が共演するのは大友良英仕切りの中村八大トリビュート制作時の2006年以来、純粋なデュオは今回が初だとか。
ステージ向かって左にさが、右に山本が配置。さがはテレキャスターとガットギターを使用。テレキャスはエフェクターは通さずヤマハの小型アンプ（THR5）に直結。このアンプ、見た目はレトロ風ですがソフトウェアのアップデートで機能追加出来るなど実はハイテクというのが面白い。山本はいつもの黒ストラト、エフェクターはオーバードライブ、トレモロパン、リバーブ、ディレイとこの日はいつもよりも少なめ。出力は店のPA＋小型アンプから。
１．風に吹かれて（ボブ・ディラン）さが
２．男はつらいよ（渥美清）山本
３．少年時代（井上陽水）さが
４．傘がない（井上陽水）山本
５．少年（浅川マキ）山本
６．お定のモリタート（安田南）さが
７．さらば恋人（堺正章）山本
８．突然の贈り物（大貫妙子）さが
９．雨やどり（さだまさし）山本
（休憩）
１０．みかんの花咲く丘（唱歌）さが
１１．ざんげの値打ちもない（北原ミレイ）デュオ
１２．石狩挽歌（北原ミレイ）山本
１３．青いエアメイル（荒井由美）さが
１４．さようなら世界夫人よ（頭脳警察）山本
１５．空に星があるように（荒木一郎）デュオ
（アンコール）
１６．Come Together（ビートルズ）さが
この日の演奏曲は全てカバー。互いの用意した曲を交互に弾き語りで歌い、もう１人がそれに即興的に演奏を加える形が基本形。１は日本語詞ヴァージョン。弾き語りとはいえさがはテレキャスを使って高音域の強烈なノイジーな音を使用し、山本のフリー度の高い演奏も相まってのっけからかなり凶悪な音に(^_^;)。２は山本の弾き語りにさががノイズギターを加える形。これも山本のテンションが上がってヴォーカルの音が割れるほどの熱唱に。３からさがはガットギターに持ち替えてちょっと落ち着いた感じに。３はさがのアコギ弾き語りに山本がディレイを使った空間的な音を加えるという、この日のもう１つの主軸的なスタイル。４は「じゃあ僕も井上陽水で」と、得意の替え歌ヴァージョン「金がない」で歌います。ここでのさがのサビの歌に絡んだり、間奏ソロでのフリースキャットのキレは私がさがのライヴをよく見ていた２０年ほど前と全く変わりありません。５はかなり珍しい選曲か。６は劇団黒テントの安田南が歌っていた、クルト・ワイルのマック・ザ・ナイフに阿部定の話の日本語詞を付けた曲。さがは新宿某店でこの曲を歌って出禁になったとか。「僕もよく出禁になってますよ。出禁ボーイ（笑）」そんな漫画が昔ありましたね(^_^;)。そういえば以前山本と共演した時の上野洋子も阿部定ネタのパフォーマンスをやっており、なにげに縁のある組み合わせかも(^_^;)。７は山本ソロでごくたまにライヴでやっているちょいレア曲。８で山本は前半は店置きのスチール弦のアコギを、後半はストラトに持ち替えて演奏。「大貫さんも集団就職で田舎から出てきたのかな」「彼女はバリバリ東京の人ですよ（笑）」そして問題の９。山本のさだまさしについての非常に面白い話が聞けたんですが当然書けません(^_^;)。しかしちゃんとフルコーラス歌いきれてしまうというのが恐ろしい。さがのノイズギターによる茶々入れも完璧。山本「大友超えたね（笑）」。ちなみにAMT河端一は「さだまさしとヴィヴァルディ以外の音楽家は認めん」というのが座右の銘だとか。いやあそれにしてもこんな凄いものが聞けるとは思いませんでした。ある意味この日のハイライトのこの曲で前半終了。
後半は唱歌の１０からスタート。歌パートが終わってから延々続く山本のフィードバックギターとさがの高音キリキリノイズの組み合わせのバランスが絶妙な音。山本の音響ノイズ路線のソロとして聞いてもクオリティの高い場面です。１１は１コーラスずつ交代で歌い、一部でデュオとなる形。これは両者共通の持ち歌ということもあったんでしょうが、２人同時に歌う場面はこの日は意外に少なめでした。１２は引き続き北原ミレイの曲。１３は荒井由美の曲。さがは荒井由美時代の曲は全部ばっちり弾けて歌えるんだそうで、それを聞いた山本は「『天気雨』をさがさんに弾いて貰って歌おうかな」早くも次回の演し物決定でしょうか(^_^;)。１４は先日の横浜のライヴでも演奏していた曲。さがのノイズギターも相まって頭脳警察というより「頭脳階段」のカバーといった感じか。本編ラストの１５は１１と同様、１コーラス交互＆同時に歌う形。さがヴォーカル＋山本スキャットのバッキングという役割を交代したような場面も。アンコールはさがの歌う日本語詞ヴァージョンの１６。テレキャスを使う予定でしたが１２で弦を切ってしまったためガットギターでやることに。さがのヴォーカルのはっちゃけ具合がすごい。山本はディレイのセッティングを変えて電子音のような音での演奏。演奏はこれで終了ですがここからのトークが例によって長い。いつもは山本が延々喋り倒すんですがこの日はさがが暴走。しかも内容が各方面に飛び火する危険な内容でさらに各所で地雷も炸裂（もちろん書けません(^_^;)）、山本ですらドン引きするほど。「ここまで○○な人だとは思わなかったわー...」トークも含め結局トータル２時間をはるかに越す演奏でした。
曲のレア度、演奏内容、そしてトークの危険度とこれ以上無いというぐらいの濃い内容でした（正直疲れました...(^_^;)）。しかし、なんでも事前に準備した曲が７０曲（！）もあるそうで、「3DAYSやろっか（笑）」という話も出るほどで、この続きがまたあるかもしれません。その時はこの日やったさだまさしのような「○○な曲ばかりのライヴ」とか、全曲荒井由美なんてことになってしまうかもしれません。山本は１２月の水道メガネに出ないか声をかけていましたがすでに予定が入っているそうで、「残念だなー（棒）」もし出たらどんな事態になってしまうのか、恐ろしい話です...(^_^;)。
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