ROVO、mouse on the keys
2019/12/11 代官山UNIT
ROVOとmouse on the keysのツーマンライヴです。この日は開場時間が18:15、開演が19:00という時間設定。個人的には開場後の待ち時間が少しでも短くなるのは歓迎したいところです。
先行はmouse on the keys。キーボード×２、ドラムスの3人が基本編成。ドラムは２タム１フロアのセットを使用。ライドシンバルの位置を確保するため、タム×２を左手側に寄せているのが面白い。キーボードは２人ともROLAND RD-700を使用。１人はこれに加えてArturaのKeylab 49（主にシンセベースに使用）、もう１人はKORGの小型シンセ（アナログ的な音に使用）と音源モジュール（RDの音は使用せずこちらの音を使用）というセッティング。この他にトランペット奏者（曲によってはフルートも使用）、ギター、女性ヴォーカリスト(２曲で参加。この時はトランペット奏者がコーラスを担当）も加わります。パワープレイ的なドラムとピアノ×２を基本としたアンサンブルで、コンパクトできっちり構成された曲が多い印象。ミニマル的な曲や難易度高めの変拍子曲、ギターを前面に出したポストロックぽい曲。そしてヴォーカル入りの曲はすっとAORぽい音と非常に多彩な音で面白い。曲によってはバックトラックも使っているようでした。
途中、勝井を加えた編成でドラマ「詐欺の子」のテーマ曲を演奏。これは両バンドの対バン時ぐらいしか見る機会が無いレアな場面。このツーマンが実現したのもこの時の縁あってのものと言えるかもしれません。トータル演奏時間は１時間弱。この後かなり大掛かりなセッティング変更を挟んでROVOの演奏へ。これだけ大掛かりだと益子や山本のエフェクター類にトラブルが出たり、ドラムやアンプ等のマイクセッティングにあとで問題が出てくるのもやむを得ないかも。
ステージ構成はいつも通り。益子はこの日はアナログシーケンサー（？）を使用。山本のエフェクターは歪み系と思われる青いボックス、DOD 250、Morley Bad Horses、TS(?)、BOSSのオーバードライブ、Angry Driver、ヤマハのフェイザー、BOSSのトレモロパン、Earthquaker DevicesのAvaranche Run(リバーブ&ディレイ)、BOSSのディレイ×２という構成。BOSSのリバーブに代わってAvaranche Runが新たに加わっているのが注目点。この日はリバースディレイのような特殊効果程度にしか使っていないようでしたが。BOSSのディレイ２台は前段が通常の、後段はフィードバック量を上げてカオス的な効果を出すのに使用。
１．sino（冒頭）
２．（ジャンベを使う曲）
３．（カホンを使う曲）
４．（７拍子に展開する曲）
５．Eclipse
６．（山本の曲）
（アンコール）
７．（メロディアスな曲）
事前に勝井がこのライヴを前に２日間みっちりリハをやって新しい曲を固めたというツイートをしていた点、ライヴ直前に来年の活動に向けた内容になるという予告をしていた点などから予想していた通り、１と５を除く５曲が"XI"発表後にライヴのレパートリーに追加された曲。一回のライヴで全曲を演奏するのはおそらく初。そしてそれだけではなく、各曲とも新たな要素やアレンジが追加されているのが大きな特徴。例えば２では終盤ギターのコードの当て方を変えていたり、４の後半７拍子に展開したあとや６の後半に、ギターの単音フレーズを中心にしたパートが追加されていたりしています。この付加パートのせいかこの日は山本の演奏は刻み度よりもフレーズ演奏度が高め。新曲以外でも１の最初と最後に出てくるキーボードのパートが従来と大きく異なるアナログシーケンサーを使った生々しい電子音に変わっています。ちょっとジャーマン・ニューウェーブなんかと思わせる音。こういう音は過去あまり使っていなかったので非常にインパクトがありました。また音とは直接関係ないですが冒頭のシーケンスをカットしてリズムセクションが入るところで、山本がいったんギターを置いてシャツの襟を直してから、おもむろに大きなアクションでキューを出すのが面白かった。新曲群の中では山本の曲６の仕上がり度が凄い。イントロのディレイを使ったミニマルギターソロから、若干テンポを抑えて始まったりギターソロの爆走度を抑えて（代わりと言っては何ですが２でのギターソロが強烈）いたりしますが全体の完成度はこれまで以上に上がっていると感じました。もう現時点でも今のROVOの代表曲と言っても過言ではないでしょう。アンコールは８月のサムズでのライヴで初演した曲。勝井のディレイループから静かに始まり、きっちり盛り上げてから最後はまた冒頭のループを静かにフェードアウトして美しく終わる曲。この６〜７の流れは今後ライヴの定番になるかもしれません。ROVOの演奏時間は約８０分。
次のライヴの予定はこの日告知はありませんでしたが、勝井によるとかなり驚くような企画が進行中との事。新曲群を収録したアルバムの制作を含めて来年の活動に期待したいところです。
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