山本精一・神聖スカムトライアル
2022/12/8 千駄木Bar Isshee
山本精一のソロライヴです。これは前回11月の音楽性・凝縮性の高いソロライヴの後で「次回はこれとは正反対のスカムな内容になる」との予告を受けてのもので、とは言ってもどのようにスカムな内容になるかは事前に全く予想できない、期待と不安いっぱいのライヴです(まあ山本マニアにはいつもの通りと言ってしまえばそうなのですが…)。11月に予定されていた２本のライヴが体調不良で延期・不参加となり、心配されましたが今回は無事開催。
山本は黒ストラトを使用。エフェクターはDOD 250、オーバードライブ、ディレイ×2(後段はルーパー)。ギターとカオシレイター＆カオスパッドの音はギターアンプから出力。ヴォーカル用マイクがセットしてあってこれはPAから出力。譜面台も用意。他にダラブッカやビリンバウが用意されていますが実際に使うかどうかはまだ不明。というわけで普通の歌物やギターソロのライヴとはあまり変わりないように見えるセッティングで、さらに予想がつきにくい事に…。
1.山本が現れると何も言わずにカオシレイターを操作してリズムトラックや口琴のような電子音を鳴らし始め、かと思うとギターを持ってリズムループを作り、その上にギターソロや音色を次々に変えたカオシレイターの音を乗せたり、別のカッティングループに乗せて絶叫ヴォイスを発したりと、フリーダムというか行き当たりばったりのような進行(いや事前に緻密に考えた構成である可能性も…)。最終的にはカニエ・ウェストやQアノンなどの時事ネタを交えて「1曲目終了w」
2.とは言っても前のセットとほぼ同じノリが続きます。ハイテンションな演奏と脱力感満点のネタが出入りを繰り返し、短いスケールの笛、カオシレイターと早口ヴォイスのシンクロ、FXで儲けるコガネムシ、LGBTQ界隈から怒られそうなネタなどをランダムに繰り出して「2曲目終了」
3.さらに九州方面やネトウヨ方面、産経新聞など多方面に怒られそうなネタを続けたあと、ユーミンの中央フリーウェイの替え歌、その名も「高齢ドライバー」を歌います。タイトルからお察しに通りホントに酷い歌詞ですなんですが、言葉の合わせ方などユーミンが本当に好きでないと作れないクオリティです(いやほんとに好きならこんなに酷い替え歌作らないでしょうが…)。山本曰く「自信作ですw」その後は「剽窃家」をテーマにした歌、続いてブルージーなギターソロから高音チョーキングをディレイで無限増殖したトリッピーな音空間へ。これは強烈。
4.山本はダラブッカ持つと突然猛然と叩き出し、「猿の匂いがする…」と想い出波止場でも使っていたフレーズからストーリーを語り出します。ダラブッカの叩き語りというのもかなり異常ですが、ストーリーの内容も大統領の執事だった猿がアマゾンの山奥の大長老に会って修行し、その後追ってきた大統領と…という筋立てで、実に4部構成に及ぶ壮大(？)なストーリー。しかも最後に何も残らないのも凄い。途中カオスパッドによるノイズやギターループ、笛などによるSE、弾き語りによる挿入歌なども効果的に追加。後で見たら紙に小さな字でびっしりこの話が書かれていました。おそらくこれがこの日のライヴのコンセプトのきっかけになったのではないでしょうか。その後ギターを持つと狂ったチューニングによるヘヴィなリフに乗せて謎の歌を歌います。これがエンディングテーマという事でしょうか。
5.カオシレイターの電子音からソリッドなカッティングループやヘヴィなファズトーンを基軸にしたギターインプロの合間に謎の歌が挟まれる構成で進行。ループをカットするとカニエネタの歌を少し歌ってグダグダのうちに本編終了。
6.アンコールセット。笛を吹きながらハーモニカブルースの替え歌を歌ったり、合間にW杯ネタや山上容疑者ネタの取り留めない話などを交えたりしてやはりグダグダのうちに終了。計1時間ほどの演奏時間。
まあグダグダな場面も多かったですがユーミンの替え歌や猿のストーリー、さらに随所で思い出したように挿入される音楽性の高いパートなどもあって予想よりは普通に楽しめる内容でした。まあ上級者向けの内容ではあったかもですが…。
GO TO INDEX
TAKE's Home Page