山本精一・へん拍子とエレキ21世紀バージョン

2023/7/12　千駄木Bar Isshee
表題のテーマが付けられた山本精一のソロライブです。個人的には変拍子ではなく「へん」が平仮名表記なのが非常に気なるところです。まあ普通に変拍子テーマの演奏になるとは思えないところですが...。


山本はいつもの黒ストラトを使用。前日は気づかなかったんですが中央のピックアップの上側にガムテが貼ってあります。どんな意図があるのか気になるところです。エフェクターはDOD 250、ラインスイッチャー（この日は未使用？）、オーバードライブ、Blues Driver、SY-1（ギターシンセ）、リバーブ、ディレイ✕２を使用。後段のディレイはループ用。更にテーブル上にはカオシレーターとハーモニカ。この日はギターアンプは使用せず、すべてPAから音を出していました。

１．この日はほぼ全編５分前後の短めの演奏を続けていく形態。まずは前日のライヴでちょっと使ったタオルでネックをくるんでミュートする奏法を長めに使用。かなり長めのフリー的な演奏をディレイループで流しながらそこにさらに音を加えていきます。最後のフィードバックディレイはきれいな５拍子のループに。

２．ここでも長めのフリーな演奏のループにさらに演奏を重ねていく形態。ループをリフやカッティング以外の用途で使っているのが目立ちます。ここまではディレイ以外のエフェクターは使用せず。ストラト生音のシャープな音を生かした演奏。

３．ハーモニカをボトルネックのように使ってシャープでノイジーな音を出し、これもロングループで音を重ねていきます。ループタイムが短くなるとリフやカッティングではなくても何らかのグルーヴ感が感じられるのが面白い。

４．頭やアクセントが明確でない不思議な譜割りのカッティングギターのループに、トーンを絞った単音ソロを乗せる形で進行。明確な４拍子ではなくても、４拍単位でなんとなくノれてしまうのがこれまた面白い。

５．リズムマシン音色のカオシレーターでリズムループを作ります。一応４拍子のようですがリズムの後半部分が微妙にズレていて脱臼感のあるリズムなのが面白い。このリズムに生音を極端に絞ってリバーブ成分だけを鳴らしているような奇妙な音色でのギターを加えていきます。

６．ミュート＆ハーモニクスを使った演奏のループを軸に演奏。緩めで奇妙なグルーヴ感が感じられます。プラグノイズやSY-1によるシンセベース的な音も断続的に加わります。「だいぶヤバくなってきたｗ」ところで一旦休憩することに。

７．カオシレーターで長い空白のあるリズムを作り出し、これにシンセベースなども交えた断続的な演奏を加えます。空白部分もカウントすれば割り切れないまでもなんとなくグルーヴを感じられる演奏。

ここで山本がMCマイクを持ち、この日のライヴコンセプトについて話します。所謂変拍子＝奇数拍子ではない、真の意味で「変な」拍子を追求するのがこの日のコンセプト。不定形なもの、ノイズなどで言うところの「オールビート」なんかを想定しているが、ループを使うとフレーミングによる定型化でグルーヴを感じられるようになってしまう、というのが課題点。

８．話の流れでフリージャズ的な非ビート感を目指す演奏。最終的にはリズムがわからなくなるぐらいの高速＆ノイズ化した音に。たしかにここまで来ると拍子はどうでも良いかもしれません。

９．ゆったりとした不定形なリズムに、これも緩いメロディを非同期で載せていく形で始まり、これにポリリズムとは呼べない程度の異なるリズム感の演奏を重ねていく形。

１０．ミュート＆タッピングによる不定形なリズムのループに、低音弦のベースライン風の演奏を重ねていく形。よくあるループを使った演奏の逆パターン。

１１．この日初めてオーバードライブを使用。早い単音フレーズをどんどん重ねていく形。これも重なったいずれかの音を４拍子で取っていけばまあノレないことはないですね。

１２．フィードバックディレイを使った音で始まり、以後はちょっと訛ったグルーヴ感の４拍子のループをもとに、Blues Driverを使ったファズトーンを出し入れしながらのフレーズ弾きやずらしたカッティング、カオシレーターによるリズムやベースループ、前に使ったリバーブ音のみの音色などを出し入れしながら展開。最後はループを切ってリバーブ音ギターを残して終了。このセットはこの日唯一のロングセットで約１５分。終わったあと山本は「意外と普通になっちゃったｗ　変を追求していくな何故か普通になってしまう」というオチがついたところで演奏は終了。

最後はもうやることがないということで告知という名目のトーク（独演会）へ突入。珍しく１０月頃までライヴの予定が決まっており、それについての話から話はやがて脱線し、今話題の山下達郎関係の話題から、実は山本は「ナイアガラファミリー」の一員だったという話、毎年この時期に彼岸ぽいライヴをやっているという話から無力無善寺の話題（久々に調べたらまだ変わらず営業しているようでちょっとビックリしました）、等々、結局１５分近く話し続けました。まあ面白いから個人的にはOKですが。

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