2025/12/6 新宿PIT-INN
アルタード・ステイツ恒例年末3DAYSの最終日、「懐かしのアニソンTVドラマ主題歌特集」と銘打たれたライヴです。ゲストは天鼓vo、三橋美香子vo、田中悠美子vo,三味線,大正琴、吉田隆一bs,flというメンツ。この顔ぶれだとやはりキッチンドリンカーを想起せざるを得ません。こちらも懐かしテレビネタを多数レパートリーにしていますが果たしてどうなるでしょうか。
ステージ配置は以下の通り。
ナスノミツル(b) 内橋和久(g)
芳垣安洋(ds) 天鼓(vo) 三橋美香子(vo) 田中悠美子(vo,他) 吉田隆一(bs,fl)
メインヴォーカルの人は最前センターに出てきて歌います（田中は演奏がある時は定位置のまま）。
芳垣は客側から見て横向きにドラムをセット。１タム１フロアでスネアの上にミュート用の部材を置いていたでしょうか。ナスノは奥側なので詳細セットは確認できませんでしたが、足元＋手元もあったのでいつものセッティングだったようです。この日はあまり大きな音色変更は使っていないようでした。また持ち込みのベースアンプを使用（自分に向けていたのでモニター用？）。天鼓の位置にはスタンドマイク、三橋の位置には手持ちのヴォーカルマイクがあり、出番がないときも随時コーラスなどで加わります。田中は定位置にエレクトリック大正琴と太棹三味線をセット。内橋はギブソンSGを使用。エフェクターはXotic BB Preamp、electro-harmonix PITCHFORK（ピッチシフター）、PLADASK ELEKTRISK TÅKEN(マルチヘッドディレイ)、BAKLENGS(グラニューラー系)、Chase Bliss Audio blooper（ルーパー）、OTO MACHINES BAM（リバーブ）、electro-harmonix MEL9（メロトロン・シミュレイター）、BOSS RC-500（ルーパー）。また手元のMacBookで後ろに流れる映像をコントロール。
１．前略おふくろ様（アルタードの3人）
２．太陽にほえろ（＋吉田）
３．キイハンター（＋田中）
４．デビルマン（＋三橋）
５．タイガーマスク（＋天皷）
６．ゲゲゲの鬼太郎（＋田中）
７．海のトリトン（＋三橋）
８．巨人の星（＋天皷）
９．スーパージェッター（＋田中）
１０．妖怪人間ベム（＋三橋）
１１．宇宙少年ソラン（＋天皷）
１２．アルプスの少女ハイジ（＋田中）
１３．無限に広がる大宇宙（＋三橋）
１４．宇宙戦艦ヤマト（＋天皷）
１５．アタックNo.1（＋田中）
（休憩）
１６．傷だらけの天使（＋吉田）
１７．寺内貫太郎一家（＋吉田、三橋）
１８．ウルトラマン（＋三橋）
１９．ウルトラセブン（＋三橋）
２０．あしたのジョー（＋天鼓）
２１．キューティーハニー（＋田中）
２２．エースをねらえ（＋三橋）
２３．ひょっこりひょうたん島（＋天鼓）
２４．キングコング（＋田中）
２５．魔法使いサリー（＋田中）
２６．いなかっぺ大将（＋三橋）
２７．エイトマン（＋天鼓）
２８．レインボーマン（＋田中）
２９．ジャイアントロボ（＋三橋）
３０．サザエさんのうた～あかるいサザエさん（＋天鼓）
（アンコール）
３１．天才バカボン（全員＋飛び入りの巻上公一）
リハで用意した全30曲＋リハをやっていない１曲、２時間弱で全てやり切りました。頑張った！(^_^;)
演奏前に後方のスクリーンの映像が切り替わって次の曲がわかるという仕掛けですが、画面が変わるたびに「おお～」という声や笑い声が客席から起こるのが面白い。また、全然関係ない日本語字幕（時々ヒンディー語みたいなのも出てくる）が頻繁に流れ、それが後に出てくる曲の歌詞（しかも微妙に変）だったり、全く意味不明のかなり電波の入った文言が出てきて、一部観客にはかなりツボでした(^_^;)。あとで見返せないのが残念。
１～３はインスト。１はアルタードの3人のみで演奏。２から吉田が入り、以後はずっと継続参加。この曲の冒頭のギターの刻み、サックスの入り（バリトンですが）のオリジナル再現性はさすが。３は田中が大正琴で参加。ここまでは比較的まともでしたが、田中が元のメロディに加え時代劇風メロを付け、早くも雲行きが怪しくなってきます(^_^;)。４から歌物に突入。各曲オリジナルと違ったテイストのアレンジを加えるのがこの企画の特色ですが、４はボサノヴァ風、５は３連のヘヴィブルーズ、といった具合。個人的にはこの企画はネタの面白さ以上に、「アルタードの普通ぽい各ジャンルの本気度高い演奏が聞ける」のが楽しみだったりしますが、この日もこの後も含めてたっぷり色々なジャンルの演奏が聞けて大満足です。６は田中の大正琴の演奏も加わりますが、ブロークンな歌に加えて低音の強烈なノイズが効果的...と思ったら普通に大正琴の電源トラブルだったようです(^_^;)。ちゃんとした演奏にノイズを入れるのを普通の効果と思い込んでしまっているのが恐ろしい…。吉田はバリサクに加えて７の冒頭などフルートも効果的に使用。８はキッチンドリンカーの持ちネタでもありますがこの日は天皷で、ギターのみのバラードに始まって後半は爆走パートも交えて天皷のシャウトも強烈なハードコアヴァージョン。９は一転して緩めのレゲエ風。最後は田中の子供の頃の思い出話から「ギャー！終わりました...」が発動。このシメも定番ですが久々に聞きました(^_^;)。１０はジャズ調で、吉田のバスフルートが効果的。１１はサーフロック風で、終盤にはMEL9のストリングス音も。ちなみに私はほとんどの曲を知ってましたがこれとエイトマンだけは知りませんでした。１２は軽めのR&Rからヘヴィブルーズに移行する流れ。フロントに出てきて歌う田中が暴走し、終盤には歌詞が「教えろよ爺さん！」になってしまったり、ヨーデルが絶叫ヴォイスになってしまったり凄まじい状況に。内橋もディレイ早回しの音を入れてカオス度をさらに上げて行きます。１３～１４はヤマトメドレー。１３のスキャットパートは三橋の独壇場。ここでもフルート音色のMEL9がドラマチックな盛り上げに貢献。天鼓に交代した１４は内橋曰く「サンタナ風」。過去のカバー企画でロータス完全再現なんてやった事もありましたね。１５は田中が歌いますがコードが大幅に改変されていて、よくこれで歌えるなという気が(^_^;)。最後は「ジェンダーハラスメント！」というシャウトで締め。ここで前半終了ですがすでにネタや演奏の密度の濃さでもう満腹状態です(^_^;)。休憩中ずっと流れていたアタックNo.1の映像が妙にサイケというかトリッピーなのが面白かった。これも時代性だったんでしょうか...。
後半最初の１６～１７はインスト。後ろで流している映像は基本演奏とは非同期ですが、１６の時だけ演奏の終わりとスクリーンの「終」がバッチリ合っていて感嘆の声が。１７はインストですが三橋がスキャットで参加。この番組のオープニング（出演者の似顔絵が次々出てくる）も名作ですね。１８～１９はなんと両方とも速いテンポの９拍子のアレンジ。９拍子だけならいいんですが時々８拍子に戻るのがまた難易度高い。これは歌う三橋がある程度ずれることを想定していたとの事でしたが、内橋曰く「ちょうどいい具合にズレてた。きっちり歌われたらどうしようかと思ったw」という事で合格点が。２０は天鼓が「また熱血もの...」とこぼして全員爆笑。確かに漢っぽいものばかりでしたね。そのせいか歌い出しがタイガーマスクのメロディになってしまってまた爆笑。熱血ものを天鼓さんに寄せてしまった弊害でしょうか...。２１は田中。「いやよ...」のところで豪快に崩しが入るのと、最後ちゃんとキメ台詞で締めるのがさすが（？）。２２はラテン～レゲエ調に変転するバラード調のアレンジ。三橋は「今日は自分が一番まともに見える」まあはにわなんかでは一番の色物枠ですからね...(^_^;)。この曲のエンディングの一枚絵のオシャレ感が他のものと一線を画していたのが面白かった。２３もキッチンの持ちネタですがやはり天鼓が担当。しかしというかやはりというか、キッチンでもやっていた「テキーラ」のフレーズを吉田が入れてくるのが笑えます。ここでも全員で「テキーラ！」をやるかと思って身構えてしまいました(^_^;)。２４は内橋が「これみんな知らんやろ」と言っていましたが私は聞いて思い出しました。ジャングルビートものとしてDJの擦りネタとしても結構使われてるんだとか（ジャングル大帝なんかが使われてたのは知っていた）。ここでも田中の義太夫語りが炸裂。２５も引き続き田中。前半は前の曲を引き継いでジャングルビート、後半はヘヴィな３連ブルーズと１曲で２度美味しい構成。ここでは内橋＆芳垣もコーラスで参加。サゲの「よ〝し〝こ〝ち〝ゃーん〝」には爆笑。２６はご存じ天童よしみの大ヒット曲。芳垣のフロアタムリム打ちを入れた大太鼓再現の技はさすが。２７はなぜ知らなかったのかと思って調べたら克美しげるが歌ってたので私の年代では聞く機会が無かったんですね...ちょっと納得。内橋のギターソロの豪快な外しっぷりがすごい（多分意図的）。終盤はテンポアップして最終的にはハードコア化。２８は田中がチアリーダーのようなボンボンを振りながら歌います。この曲はR&Rぽく始まりますが終盤近くのインスト部が最初期のソフトマシーンを思わせるサイケロック化していたのが個人的にツボ。２９は１コーラス目の同音ヴォイスドローンのみのバックで歌うのが凄い。２コーラス目からはベースリフ中心のヘヴィロックに戻りますが、一体どうしたらこんなアレンジが思いつくんでしょう(^_^;)。そしてついに本編ラストの３０。とは言いつつ２曲メドレーです。テーマ曲の方はグルーヴィなファンク風。跳ねるリズムが素晴らしい。エンディングの方は高速＆ユニゾン決め多発のアレンジで締め。
ここでリハをやったもち曲は全部消化しましたが、アンコールがかかるとリハはやっていないが候補曲の１つだった３１を、しかも客で来ていた巻上を（終電ギリギリにも関わらず）ステージに上げて演奏。巻上は口琴を出して演奏し始めた時は「ど根性ガエルかな？」と思ったりしましたがこれは別の機会に聞きたいところ。しかし「東へ沈む」のくだりなど巻上参加を想定していたようなハマりっぷりで笑ってしまいます。この曲は６番までありますが、歌い出しのところを3人＋吉田、巻上の順で歌い、最後は観客も交えて６番を歌う形で締め。さすがにリハなしという事で演奏は一番普通でしたが、盛り上がって終了。
とにかく出演者陣（特に全曲をほぼ１日でアレンジしたという内橋）はお疲れ様と言った内容でした。楽しかったですがこの企画（もしくは対象を広げて）は是非またやって欲しいところです。
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