梅津和時グレート・インプロ99/11/13 新宿PIT-INN
梅津和時(sax,clarinet)によるインプロ・セッション企画です。この日の参加メンバーは鬼怒無月(g)、坂本弘道(cello)、サム・ベネット(perc,electronics)、茂木大輔(hoboe)、そして飛び入りゲストのクラース・ヘックマン(bass-sax)。この日は土曜日だったせいもあってか、客入りも良かったです。
１．梅津＋坂本＋ベネット
２．鬼怒＋ベネット
３．梅津＋坂本＋鬼怒
４．梅津＋茂木
５．梅津＋茂木＋坂本＋鬼怒
６．梅津＋ヘックマン
（休憩）
７．坂本＋ベネット
８．梅津＋茂木＋ベネット
９．坂本＋茂木
１０．梅津＋茂木＋鬼怒＋ベネット
１１．梅津＋鬼怒
１２．梅津＋茂木＋鬼怒＋坂本＋ベネット＋ヘックマン１．最初はこの３人でスタート。ベネットのリズムマシンとWAVE DRUMによるエレクトリック・リズムに坂本のディレイループを使ったリフを加えてリズムトラックを作り、その上に梅津が自在にソロを載せていきます。バランス満点。ベネットはヴォーカルマイクに直接取り付けるエフェクトを使用して自分のヴォイスを変調させて使用。
２．鬼怒はストラトを使用。ソリッドな音色での刻み中心のプレイでベネットの電子音色リズムと抜群の相性を見せます。珍しくディレイループを使った多重奏も使用。この日の鬼怒はエレクトリックを持つ場面ではテンションの高い演奏が目立ちました。
３．鬼怒はアコースティック・ギター、梅津はクラリネットでクレズマー風のフレーズも出てくる素朴な（でもよく聞くとフレーズは奇妙）演奏。これに坂本が各種電動工具を使ってノイジーな音を加えていきます。奇妙なアンサンブルです。
４．茂木は「インプロ界期待の大物新人」と紹介されます。インプロをやる人には珍しくクラシック系のフレーズが目立ちますが、あとでＮ響に在籍している人と聞いて納得。梅津のクラリネットとの木管二重奏は、室内楽ぽい演奏で、現代音楽ぽく聞こえる場面も。
５．前のセットではまともな演奏だった茂木ですが、ここでは半分にしたオーボエを演奏、だんだん本性が明らかになってきます(^_^;)。坂本もハーモニカ等の吹きもので応戦。鬼怒はヴォリューム奏法やディレイを使ったアンビエントな音像や、妙なヴィブラートを加えたフレーズ。中盤のメロディアスだけどどこかずれているアンサンブルが変テコで面白いです(^_^;)。
６．ヘックマンはロッテルダム在住で、梅津がオランダツアーで一緒に回った人だとか。巨大なバス・サックスを演奏しますが、本人も体がデカイのでそんなに大きく見えないところが凄いです(^_^;)。バス・サックスは普通のサックスよりも大きいので、キーの動きなどがよく見えて、視覚的にも面白いですね。
７．坂本は冒頭ＡＭラジオで演歌番組（ちょうど大月みやこが歌っていた(^_^;)）を流し、これにベネットがエレクトリックリズムを加えると、歌のワンフレーズをディレイでループします。演歌＋ブレイクビーツ？ 坂本は久々にチューニングメーターも使用。ディレイと組み合わせてシンセ並みの電子音響を加えます。後半はラジオのチューニングノイズをスクラッチ風に出し入れして使用したり。
８．木管２本にベネットのWAVE DRUMによるエスニック・パーカッション風の音という構成。ベネットと茂木が合わないのはわざとか？ 途中からまともっぽいフレーズに変な音を加えるあたり、茂木の確信犯かも。
９．坂本はチェロのチューニングノブを回してピッチを変えながらの演奏。調子に乗って回しているうちに、弦を派手に切ってしまいます(^_^;)。その後チェロを置いた坂本は、ノコギリやハトの鳴き真似、ヨレた歌、椅子に上に立ち上がってチェロの足で天井を叩く、口琴など飛び道具を駆使してかき回しに入りますが、茂木はマイペースで吹き続けます。この２人のとぼけたやりとりに客席は爆笑の連続。いやぁ、いいキャラです＞茂木氏(^_^;)。しかしバロック調のフレーズにノコギリは似合わないなぁ。最後はチェロのプラグを切って生音でちゃんとした？デュオを演奏、握手で終わりました。
１０．鬼怒はbandorinを使用。ベネットのパーカッションとのアンサンブルで、上物もこれに合わせれば強力なエスニック・セッションになるところですが、ここでも茂木は見事に外して変テコなアンサンブルにしてしまいます。これも確信犯か？
１１．いきなり鬼怒のハードなギターと梅津のハイブロウでテンションの高いスタート。あまりにテンションが高すぎて鬼怒のギターのストラップが外れてしまい、ギターを放り出してしまいます(^_^;)。その後はアコギに持ち替え、音量はぐっと小さくなってしまいましたが、テンションの高さは変わらず。終始このままで押し通してしまいました(^_^;)。
１２．最後は全員参加のセッション。坂本はストラップを使ってチェロをギターのように下げ、立ち上がってベースギターのように演奏。驚いたのが茂木で、オーボエを吹かずにマイクを持つとなにやら喋り始めます（ドイツ語？）。とうとうブチ切れてしまったか？(^_^;) 演奏はベネット＋坂本＋鬼怒の強力リズムを軸に延々続き、最後はベネットのかけるマーチをバックにやけくそ気味の梅津が歌い出し、坂本は派手に火花を飛ばし、むちゃくちゃなエンディング。２３時近くになっても終わらない演奏に、梅津が「今日はありがとうございました、演奏は続いていますがもう帰ってもらって結構です」(^_^;) 結局、前・後半合わせて２時間３０分近い大熱演でした。