GROUND ZERO／CONSUME RED（日CREATIVEMAN DISC CMDD-00046）全1曲 57分02秒 定価\2,500
初めに、"CONSUME RED"と"PLAYS STANDARDS"の２作のCDを作成したメンバーによる GROUND ZEROは、本稿執筆時点で行われている欧州ツアーを最後に解体する事になったようである。帰国後の大友は新しい形態で活動を続ける模様だが、それが GROUND ZEROという名前になるかどうかは現時点では確認出来ていない。まぁ潔いといえばそうなのかもしれないが、あの圧倒的な８人編成によるライヴが体験出来なくなるのは、残念ではある。
まずはCONSUME REDから。すでにライヴハウス等でチラシを入手している方はご存じだろうが、今後STOCKHAUSEN AND WALKMANや暴力温泉芸者らがこの曲をリミックスするCDや、一般公募によるリミックス作が順次リリースされていく事になっている。いわばこの曲、それらの素材に過ぎないというわけである。実際、このCDを出さないという話もあったらしい。
収録されているのは57分に及ぶタイトル曲１曲のみ。韓国の人間国宝・金石出による胡笛（ホジョク）のフレーズサンプリングを組み合わせた演奏がこの曲の支柱となる。この霊的な響きに大友の出す断続的なノイズや田中悠美子の日本的情感を強調した三味線の音が少しずつ重ねられ、曲はゆったりと展開していく。大友のノイズとシンバルのロールが徐々にヴォルテージを上げ、それが頂点に達したところで初めてリズムが加わる。あくまでヘヴィなミドルテンポの８ビートはまるでクリムゾンのREDをも思わせる。そして曲は破壊的なベースソロとノイズによるカタストロフを迎える。アルバム発表以前にライヴで演奏されていたアレンジでは、このまま他の楽器がフェードアウトして胡笛のサンプリングのみが最後まで残る、というアレンジであったが、ここでは胡笛もノイズの奔流に飲み込まれて消えてしまうという形に変わっている。何故こうした形に変えたのか、ちょっと気になるところだ。
かつてのスピーディーで情報密度の高い「革命京劇」とは全く正反対の世界がここには展開されている。これがGROUND ZERO流ヘヴィロックの究極の姿なのだろう。果たしてこの素材がどのような形でリミックスされるのか、現時点では全く想像がつかない。